TECHNO-FRONTIER 2019シンポジウム

2019-4-20 12:31 : カテゴリ : 
社長の部屋
執筆 : 
selco

 昨年10月末に、突然日本能率協会よりメールが入り、2019419日に幕張メッセで行われるTECHNO-FRONTIER2019のモーター技術シンポジウムの発表をして戴きたいとのこと。  

 展示会で良く開かれているシンポジウムは聴講料が3万〜4万円もし、内容はかなり技術的に先進にして高度で専門的な内容であり、我々中小の製造業にはあまり縁のなさそうな内容なため、一度も参加したこともなかったが、今回はいきなりそのようなシンポジウムの発表者をやってほしいとの依頼である。

 どんな内容か?と思って覗いてみると、モーター技術・・・とあって、日本の錚々たるメーカーの技術者が委員に連なっている。        

 私は早速、とてもセルコのような弱小製造業が発表するような場でないと思い、お断りのメールを入れた。 

 しかし、コーディネーターのデンソーのK氏より直接電話がかかってきて、再度依頼された。

「難しい質問をされても答えられませんよ」と念を押して引き受けることにした。

  これまで私も色んなことをやって来た。

 大分昔の話だがベーシック言語のパソコンの講師、結婚式の司会、親父バンドでライブ活動、最大は日野原先生の102歳の時の講演時にあやかって1400人の前でのトーク&ロックを披露、テレビでNHKの「おはよう日本」を含む3回立て続けの出演、民放へも1回、そしてセルコの技術紹介の番組で23回、ハイライトはNHKスペシャル。

 また「立ち上がれ中小零細企業」の本の出版で、日本の各地から声がかかり、出版から2年間位は月一平均でその本の内容について講演、これも最大700名位のところで講演、最近では「もづくりNAGANO2018」のグランプリ受賞で、久しぶりにテレビ出演・・・・。

 まだあった。

 FM佐久平というFM局に15分番組を毎週金曜日に持っており、毎週そこでトーク&ミュージックのディスクジョッキーのようなことをやっている。

 私は考えてみるとただの中小企業の社長ではなく、半分タレントがかった変な社長であった。

 その私が、「技術者の技術者のための技術発表会」をするということで、これまでとは違った緊張感が生じた。 

 これまでの私の講演では、パワーポイントとかは使わずに殆ど言葉だけで1時間半から2時間、聴講者に伝えてきた。

 最近は映像による説明が多く、確かに分かり易いが、同時に薄暗くなり眠くもなる。

 私の話の時も時々居眠りを始める人もいるが、そんな時は、自然に声が大きくなる。

 私の声は、結構通りが良く、マイクを通すと更に良く通る声のため、司会などにはうってつけの声質である。

 しかし、今回は技術シンポジウムであり、これは何が何でも映像で説明・・・という形式は外せない。

 当社にはUさんという優秀な女性の取締役経理部長が居り、画像とデザインには強く、これまでの画像に関する、会社のパンフレットや、会社案内のパワーポイントは全て彼女にお願いしてきた。 

 しかし、今回は満を持してその手のプロにお願いすることにした。

 東京の営業顧問の紹介で慶應大学関係で、元日航の広告を扱っていたSさんにお願いすることになった。

 航空会社とコイル巻線の弱小製造業では、それこそ天と地…それも地の中の砂ほどの違いがあり、そこに東京と佐久との距離の違いも加わり、結構大変であった。

 まず私が考えたのは、当社の技術をどう表現して伝えるか?と言うところであったが、技術の詳細に亙る説明は映像の大きさ、バランス等を中心に考えるSさんにすると余り好ましくない。

 送った写真等が重すぎてうまく届いてないところで議論をしたりして、お互い大分焼きもきする場面もあったが、どうにかお互いの接点を見出し、最終盤迄こぎつけた。

 今回は、なんといっても当社の「圧縮・成型技術」を世に知らしめるための絶好の機会であった。

 私の最大の仕事としては、いかにこの開発をしている技術者から有力情報を引き出すか?がポイントである。

 技術者は、お客様との機密保持の問題もあり、また自分の持っている技術についての明確なアピールとかはまずしないため、なかなか持っている技術のきちっとした説明が出てこない。

 誇張することはないが、持っている技術をいかに多くの人にその技術の安全性とか有効性をPRするか?によって新しい技術が埋没してしまうか?それともブレイクするか?の分岐点になることも十分にありうる。

 特に今回のコイルの圧縮・成型技術は本来タブーとされている変形巻きにしたコイルを潰しながら成型してしまうといういかにも危険そうな技術を、車のモーターに採用を・・・と訴えるのであるから猶更、きちっとした説得力のあるデータや写真が必要となる。

 今回は、めったにないチャンスであるから、できる限りの出せる情報を出すよう説得し、ほぼどうにかなる技術データや写真が揃った。

 この時、今までこれらのデータや写真があれば、かなりのお客様を説得できたのにな・・・と思ったが、過去は過去、今は前を向いて進むしかない。

 

 Sさんの背景を黒とか青にし、文字を白にしたデザイン性の高さと、今回私が腐心した高密度圧縮成型コイルの技術説明を中心としたパワーポイントが出来上がった。

 今回のパワーポイントは、こうして優れたデザイナーと当社のコア技術を紹介する写真や図やデータとのマッチングが、大変見た目にもインパクトがあり、分かり易く説得力のあるものになった。

 これをまた私のような経験豊富な(?)スピーカーが発表したため、それなりの反響があったのだと思う。

 しかし、今回は今までと違い、72歳という私の年齢からくる体力との戦いでもあった。

最近は自慢の喉も時折老人性の嗄れ声になってしまうこともあり、喉の調子にはかなり気を使った。

今回は、前の晩からセルパップを声帯付近に6ヶ貼り付け、プロポリス喉飴をなめながら臨んだせいか?心配された嗄れ声にはならなかった。

ただ、パワーポイントの調子が今一で、リハーサルした時にはいつも出てきた発表者用の解説文が、カーソルを当てても下に降りず、結局、書いてある文字をきちっと追うことができなかった。

私の場合は、ちょっとしたメモさえあれば、いくらでもしゃべれるため、本来はこの文字は必要ないのであるが、今回は40分という限られた時間内に終わらせなければならないということで、あらかじめ、必要な事項を吟味しながら、パワーポイントに書き込んで置き、できるだけ、それを読み、逆に余計なことを言わないようにする必要があったのだった。

書いてある文字を読むと言っても、私の場合は、ただの棒読みにはならない。

これはFMラジオのディスクジョッキーの時の技術で、書いてある文字を読みながらも普通に話すようにしゃべれるのである。 

・・・・と言うことで、若干カーソルで文字が移動しなかった部分は適当に言葉をつないだことから、言うべきことを言わなかったり、言うはずではないことを言ってしまったりということがあったが、無事終わると、結構の反応があった。 

質問がたくさん来た。

1/3位は技術者の方へ回答依頼したものが間に合わなくて、回答できなかったが、それなりの当を得た質問があったし、その後の名刺交換でもかなり有力そうなお客様の名刺が重なった。 

一番は、このパワーポイントを作ったSさんが、称賛してくれたことだ。

仕事がら色んなシンポジウムや講演等を聴いておられるSさんから、「素晴らしい!」と言われたことが私にとっては大きな金賞となった。

Sさん曰く、まずこの会場が素晴らしい。

画面も普通のプロジェクターではなく、かなりきれいに大画面に映し出された。そして音も前も後ろも同じようにはっきりくっきり聞こえたとのこと。

そして私の発表中は結構受講者の反応が良く、熱心にメモを取っている人が結構いたとのこと。

それと、私の説明が大変分かり易かったこと、また私のこのコイルに関する自信と思い入れが伝わってきたことが最高に良かった…とのことであった。 

終わった後は、かなり疲れが出たが、この言葉で疲れがすっ飛び、思わず歓びの感情が沸き上がってきた。