会長の部屋:”国”について考える-

 衆議院の選挙戦で安定多数を確保した安倍首相は軍事大国を目指し突き進んでいるように思う。
結構我々の年代の人の中にも、また若い人達の中にもその方向性を支持する人達がいる。
私がいろいろ聞いている範囲では、戦争に行った人、あるいは関わった人は理屈では無く「絶対に戦争をしてはならない」と言うし、若者は勿論、戦争には行かなかった人は、「日本は軍隊を持って他の国につべこべ言わさないようにすべきだ」と言う人がいる。
確かに国としてもし他の国から攻められたら(?)と考えると、何も対抗できない・・・と云うのも腑甲斐無い話で、軍備を整え逆に相手に脅威を与えておく(抑止力)・・という方向もあるかもしれない。
しかし、私の幼いころからの経験からすると、戦う相手と対峙するためには、圧倒的な強さを持つ必要がある。
私は幼い頃から兄と喧嘩ばかりして育った。
学校に行ってからも、喧嘩は日常茶飯事であり、中学の番長と呼ばれるような猛者から、お前は俺の次に強い・・・などと言われていい気になっていたこともあった。
だから喧嘩に付いてはかなり体で覚えている。
鉄則は「自分より強い相手とは絶対に戦わないこと」であり、戦うと決めたら徹底して戦うことだ。手加減をしたり、途中で気を緩めたりすると逆に痛い目に会うことがある。
中途半端な強さは、逆に強い相手からの恰好の標的になる可能性が大きい。
日本の場合、今からどんなに頑張っても中国やロシア、そしてアメリカを上回る軍事力を持つことはまず不可能だ。
そして現代の戦争は、テロという目に見えぬ脅威もある。
日本の場合、テロに対しては全く無防備な国であり、一度でもどこかでテロが起きたらと想像すると、どれほど国民がパ二クルか計り知れない。
特にこの国には、核兵器が無くても原発が50ケ所近く散在し、この原発を狙われたら福島級、いやそれ以上の被害が起こる可能性が大である。
青森の六ヶ所村を狙われると、地球の半分が壊滅という話もあるため、流石にここは敵も狙っては来ないかと思うが・・・・。
アメリカでは原発には150名程の軍隊を配備しバズーカ砲迄備えてテロに備えているという。日本は良く分からないが、まさか警備保障会社にお任せではないでしょう!
このような無防備な国が、自衛の域を超えて世界に打って出る・・・と言うことは全くナンセンスな話ではないか?

“国”を純粋に守るということであれば、まずは“食糧の自給”が最も大事なことである。
日本の食糧自給率は40%を切り、もし食糧の輸入を絶たれれば、国民がすぐに十分食えなくなる。
次には”エネルギーの自給“である。
第二次世界大戦時、日本はABCD包囲網で石油を絶たれ、戦争への道に突き進んだ。
エネルギーと食糧がもし自給できれば、日本は”鎖国“してもやっていけるが、今の日本は海外から食糧、石油等が来なくなった途端に破綻する。

ということで日本は、一つの独立した国として今必要なことは、食糧とエネルギーの自給であり、軍備はその次に必要となるものではないか?
アメリカは食料も十分、エネルギーもシュールガスが出て、全く問題ない。そして軍備はダントツの世界一である。
これは間違いなく、”国”としての体を為している。
しかし、先般、トランジットで通過しただけだったがアメリカの警戒ぶりは異常であった。
カナダのテロやオーストラリアのテロを見るまでもなく、軍事力が強大であっても、いつどこで誰が仕掛けるか分からないテロは、間違いなく脅威である。
前述の話で中途半端な力を持つことは逆に非常に危うい状態になる可能性が強い。
日本が自立した”普通の国”を目指すのであれば、まず農業を改革し、完全自給体制を確立することであり、太陽光だけではなく、海洋風力発電や最も安定する水力、地熱発電で自給できる位まで早く持って行く必要がある。
メタンハイドレードの開発を急いで、日本もエネルギー大国になるという手もある。

原発を動かさないと電気料が高くなり経済的なダメージが大きくなるとまことしやかに言う人があるが、もしもこの次に”ドカン”とやったら日本経済は壊滅的な損害となることは目に見えている。
観光客を2000万人に増やす・・とか言っているが、観光客どころか、外国人はみんないなくなってしまう。
先般の福島の時は、当社で管理者にしようと雇っていたタイ人は早々に本国に逃げ帰ってしまった。
あの時、日本人は何も知らなかったが、外国の方では、かなりの警戒をしたらしい。福島があの程度で済んだのは本当に”奇跡”だったと良く言われている。

私は、一塊の中小零細製造業の社長であり、国政についてどうのこうの言う立場ではないが、ただただ自分の家族を始め、会社を存続させ、従業員が幸せになってもらいたいと思う一心から、この国が間違いない方向を向き、未来に明るい光を見れるような政策を取ってもらいたいと願う。

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