キャノンが国内にデジカメの自動機工場

キャノンが、宮崎県にデジタルカメラの新工場を建設する。

ロボットを駆使して自動化ラインを構築する。
この工場ができると、デジカメの高級機種に加え中級機種も国内回帰し全デジカメの70%が国内生産となるとのこと。
御手洗会長はこの体制で1ドル100円でも十分に採算が取れると言っている。
アジア各国の人件費が上昇し、今までのようなメリットがなくなって来たことと、ロボット・自動化技術の普及が国内自動化生産を促進させる原動力となっているようだ。
私が2013年に自主出版した「2020年東京五輪の年にメイド・イン・ジャパンが復活する!」から丸4年で、ようやくこのような記事が新聞に載った。
 この時は、ちょうどアベノミクスの第三の矢が云々と騒がれていた時期で、私はこの本の出版に当たり、どうにかしてこの本をマスコミに乗せ、世の中の流れを変えられないか?と前著の「立ち上がれ中小零細企業」の出版社ディスカヴァー・トゥェンティーワンを始め色んなアプローチをしてみたが及ばず、結局電子図書の自主出版での刊行となった。
 勿論、この本は殆ど売れず、日本の経済の真の復活=大企業の国内回帰による中小零細製造業の活性化の起爆剤にはとてもなれなかった。
 ただキャノンが国内生産にシフトすることは、私の最初の提言=大企業の国内回帰には合致するところではあるが、キャノンが使っている部品は果たして国内産のものなのかどうか?は分からない。
 私の言う国内回帰=メイン・インジャパンは、あくまでも部品はビス一本から全て国内生産にすべき・・と云うことであり、我々中小零細製造業の公差のど真ん中を狙う優秀な部品を使うことにより、一頃世界を席巻した「メイド・イン・ジャパン」を復活させることである。
 国内はコストが高いというが、最近の日本の物価は、いろんな国と比べてみてもかなり安い。
 100円ショップがマカオに行った時に入ってみたら、ほぼ皆200円近かったし、中国のデパートなどではなんでも日本よりはるかに高い。
 それと我々製造業は、同じものが一定量、何年も続くということであれば間違いなく自動化を考える。自動化ができれば、人件費の高さは関係なくなり、国際競争力は抜群である。
 本当はバブル崩壊後、日本はあれほどすさまじい勢いで海外移転すべきではなかった。
 海外移転が結局、日本のモノ造りの技術を流出させ、モノ造りの主役の座を中国等に奪われてしまった。
 トヨタのように日本の企業はあくまで本拠地は日本に置き、海外はあくまでサブ工場とすべきであった。

 最も憂うるべきは開発力である。
 開発力というのは、実際にモノを大量に造っていないとなかなか出てこない。
 いくら優秀な3Dキャドがあり、これまた優秀な技術者が創造力を掻きたてたとしても、毎日実際にモノに触れ、モノに接している技術者にはかなわない。
 私はいつも思う。
 ダイソンの掃除機もiロボットのルンバも、ノンフライヤーも全て日本発になるべき開発であったと思う。

 生産技術力はなおさらそうだ。
 モノ造りを自分自身でやる町工場の社長とか安い給料でもコツコツ身を粉にして働く従業員は経験、技術力、そして成し遂げようとする意志とか意識がとてつもなく大きい。
 結構、色んな優れたアイデアや発明が町工場から出て来るというのは決して偶然ではなく、このような「モノ造りの鉄則」があるからだ。
 現在、日本の大企業の内部留保の額は500兆円あるようだが、モノ造りに関係している企業は、この資金は訳の分からない海外のM&Aに回すのではなく、是非、「メイド・イン・ジャパン」を目指して国内に完全自動化工場を設置してもらいたい。
「モノ造りを日本に戻し、中小零細企業に十分な仕事を回す」
本当の意味での「メイド・イン・ジャパンの復活」・・・・こそが、日本を本格的に復活させる唯一の秘策なのである。

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高密度圧縮成型モータ用コイル

「高密度コイルのセルコ」として、この10数年、当社は他社とは違う方向を向いて、とにかくコイルの高占積率を狙った巻線技術を追求してきた。

最初それは丸線から始まった。
半導体メーカーに売り込みに行ったら、「丸線でも角線でも構わないから占積率(被膜込み)が90%以上のコイルが欲しい・・・と言われ必死になって巻線したが、どう頑張っても85%位止まりであり、それ以上は巻線のみでは不可能ということが分かった。
ここで諦めれば、この受注は取れない!
・・・と云うことで、「押してはいけない」、「潰してはいけない」というコイル業界のタブーを破り、コイルを占積率96%迄圧縮し得意先に持ち込んだ。
結局92%程度で良いということになり、その後10年以上、全く問題なく、この高密度コイルは半導体の露光装置用ステッパーに使われ続けている。
今回の「高密度圧縮成型コイル」の技術は、この高密度コイルの延長線上にある技術であり、モーターコイルの段付き状態の形を圧縮成型し、モーターコアを全てコイルで埋め尽くすためにそれぞれのコイルを精度よく成型すると云う画期的な技術である。(別欄「高密度圧縮成形コイル」参照)
当社は、現在補助金がらみでこのコイルの自動化を進めており、近い将来、この技術の量産化に備えている。

また、更に占積率100%を狙いたいという人は、やはり「平角α段付き積層湾曲コイルのアッセンブリー技術」をお勧めしたい。
コイルの占積率を語る時、これは「平角α巻き」しかない。
但し、このコイルは2層しか巻けない。
多層巻にするためには、コイルの巻始め、巻終わりをそれぞれつなぎ合わせる必要がある。
またコアに隙間なくコイルを埋め込むためにはこのコイルを段付きに積層し、湾曲させる必要がある。これは手がかかり大変ではあるが、最終的にはどこかのメーカーで採用される可能性があると思っている。

今のところ私はコスト含め、丸線を「高密度圧縮成型」したコイルがお奨めである。
占積率は、その仕様=線径、巻数、コイル形状等の諸条件との兼ね合いで、どこまで圧縮できるか?を被膜の耐圧レベルを考慮しながら検討する必要がある。
占積率は92%~96%位までの間と考えて戴きたい。

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日野原先生ご逝去

 105歳の聖路加病院名誉医院長、そして「新老人の会」の会長の日野原重明先生が昨朝亡くなられました。
 数年前にお会いした時のご様子からは、このまま110歳、120歳と歳を重ねられるのではないか?と思うほどお元気でしたが、最近は車椅子を使い入院されたりしているというお話もあり、ちょっと気にはかかっておりました。
 私はその「新老人の会」信州支部東信ブランチの代表として、3年前に先生を上田市の旧市民会館にお招きし、講演会を開催しました。
 1400人の超満員の講演で大盛況の裡に終わりましたが、終わった後、上田駅までお送りし、たまたま先生と駅のベンチで二人きりになる場面があり、私も間を待たせるために、「お疲れでしょう!?」と一般的な会話を持ちかけましたが、その時、先生は毅然として「疲れていない!」と仰って、私にスケジュール帳を見せてくれました。
 そのスケジュール帳には、殆ど毎日、あちらで講演、こちらで講演・・・とスケジュールがいっぱいでした。
 私はその時思いました。
「この方は、恐らくこのスケジュールによって生かされている部分があるのではないか?」と・・・。
 一般に歳を取ると、何もやることがなくなり、周りも「年寄りだから、そっとしとこう・・」と、考えるかと思うが、この先生を見ている限り、その様な考えは全く当てはまらない。
 自分の「命をとことん使いきってやる!」というような迫力がそこにあった。
 確か、上田講演の前後くらいで、新たにフィスブックを始められ、「新老人の会」のフェイスブックはかなり賑わっていた。
 我々のブランチでも、会員にスマホやタブレットの講習会を開いたりして教えた記憶がある。

 上田の講演の思い出をもう少し話すと・・・・
この講演の際、私はこの日野原先生のアトラクションで、何と例の「おやじバンド」をやってのけたのである。
はっきり言って、日野原先生はクラシック派であり、各地で行われる先生の講演のアトラクションは「合唱」というのが定番であり、私がおやじバンドをやると言い出したら、東京の本部からはかなりの抵抗があり、仲間内からも批判の声が上がったが、私はこれは「一世一代」のチャンスと思い、黒装束にサングラス、皮パンツスタイルで、「中小零細Q.C.D.」を歌いあげた。
最初は一応帽子もサングラスも取り、普通のオッサンの顔で登場し、「新老人の会」東信ブランチの代表であることを告げ、これがこうなるンです・・と言いながら帽子とサングラスをかけ「イェー!」とやったら、会場からはどっと来た。
そして、そのままロックを歌いまくった。
NHKテレビの生番組で歌ったことはあるが、1400名というこんなに大勢の人の前では、まず歌うことはない。これは日野原先生のお陰・・・というよりも殆ど強引に出張ったということである。
実を言うと、私は日野原先生の意に反したことをやるに当たり、「新老人の会破門!」を覚悟でこのイベントに臨んでいたが、結局、何のお咎めもなく、却って先生も大変喜んでいたという話も聞いた。
打ち上げの挨拶の際にも、こんなに楽しい講演会はなかった・・と言っておられたから、良くとらえれば、私の歌が受けたのかもしれない。(うぬぼれ?!)
 
 日野原先生は、常に命の大切さを説き、戦争の放棄を訴えていた。
 未だにアチコチでテロが起きたり、戦争の可能性あるため、それに備えるべきだとの動きがあるが、日野原先生が望まれたのは、間違いなく「永久平和」であったと思う。
 その昔でいえば「長老」のお言葉である。
 私達は、長老のお言葉に従い「永久平和」を目指した国家を築き上げて行く必要があるのである。
 長年にして多くの人々に大きな影響を与え、大きな精神的な遺産を残された日野原先生!
 どうか安らかにお眠りください!

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華為技術(ファーウェイ)が日本でスマホ生産

「情報から支払いまで全てが集約され重要な役割を担う機器=スマホは品質確保のため日本で造るべきだ」・・・と私は常々訴えて来たが、富士通が造っているという話の他には、どこも手を出そうとしなかった。
 ところが先日、日経の一面に華為(ファーウェイ)が千葉に50億円かけてスマホの生産工場建設の記事が流れた。
 この会社は以前から横浜に研究所があり、当社にも以前アクセスがあった。
 主要部品の4割は日本の部品メーカー製と言われているスマホを日本で、日本の最先端ロボット技術と生産技術、品質管理を駆使して造る。そしてもしこの会社が日本の中小の部品を使ったら本物のメイド・イン・ジャパンとなるが、この辺は、富士通も華為も詳細は分からない。
 しかし、この華為の経営者が、そこまで日本製にこだわった時は、逆に恐ろしいことが起きてしまう。
 日本のメーカーが忘れてしまった本物のメイド・イン・ジャパンが中国の企業によって成し遂げられるということになるからだ。
 私はこれまで、日本のモノ造りに関してずっと叫び続けて来た。
「日本のモノ造りはピカイチである。」「日本人は縄文の昔から受け継がれてきた素晴らしいDNAがあり、これは絶対に他の国には追随できない。」
 その根源の一部をなすものが、我々中小零細企業(いわゆる”下請け“)が造る違わぬ寸法精度を常に守り続ける”部品“なのである。
 このすばらしい部品を欠いた日本メーカーのモノ造りは結局、衰退の一途を辿るしかなかった。
 プラスチック成型品にしても、プレス部品にしても、もちろんコイルにしても、バラつきのない部品を組み立ててこそ、間違いのない、壊れない製品が出来上がるということを、日本のメーカーはもう一度認識すべきである。
 中国のメーカーに先を越されないうちに・・・・。

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