11月18日(月)東京ドーム
ポールがステージに現れるや否や、決して平均年齢が若くはない5万人強の大観衆が一斉に総立ちとなって、結局2時間半そのままの状態であった。
9月頃だったと思うが、早朝のテレビでポールの来日公演のお知らせを見た直後にチケットを申し込んだため、多少は前の方の席かと思ったが、チケットの席は抽選であり、抽選とかにはまるっきり弱い私は、実際東京ドームに入ってみると、1塁側スタンド席の後ろから2列目の席であり、バックスクリーンに設定されているステージの上は米粒状態であり、巨大スクリーンで見るより仕方ない状態。
これじゃーテレビで見た方が良かった・・・と思っていたが、すぐにその思いは吹きとんだ。
ポールが黒いスーツ姿でステージに現れた瞬間のこの大観衆、この雰囲気、この興奮はお茶の間では絶対に味わえない。
16,500円のチケット代は決して高くなかった。
ポールは、ビートルズ時代、非常にぶっきらぼうなジョンとは対照的に大変サービス精神が旺盛だったが、この日も最初から最後までサービス精神に溢れており、「コンニチハ!」「アリガトウ!」「タダイマ トウキョウ!」・・とたどたどしい日本語を連発し、観客の声援に応えていた。
サービス精神は選曲にも表れていた。
旧ビートルズ時代の曲が多く、これはビートルズ狂の私としては、たまらない、最初のエイト・デイ・ア・ウィーク(日本語に訳すと『一週間に10日来い』?)から、知っている曲は人の迷惑顧みず、全力で一緒にご機嫌で歌った。
またポールはやさしい。
福島の人達へ・・と“Yesterday”を演奏し、ジョン、ジョージ、前の奥さんのリンダに捧げる歌も歌うなど、亡くなった人達にも追悼の曲を捧げた。
ジョージへの曲「サムシング」を最初ウクレレで歌い始め、途中からジョージのリードギターを彷彿させるようなエレキが入り、フルバンドに移って行くところは胸にジーンと来るものがあった。
エレキのベースから始まり、生ギターを持ったり、ピアノを弾いたり、殆ど休みなしで39曲を歌い切ってしまった。
とても71歳とは思えない。
私もそろそろ歳かな?などと思い始めていた矢先のことで、これはマダマダかなり先は長い・・・と思った。
日野原先生の年まで・・・とは言わないが、75、6魔迄は、全く問題なさそう!
「007は2度死ぬ」のテーマソングで『Live And Let Die』のフレーズを繰り返した時にステージ前で花火が炸裂、これは会場がびっくりしながらも盛り上がった。
最初から演出されているものとはいえ、3度のアンコールはサービス満点、最後の最後は『アビイ・ロード』メドレーで“ゴールデン・スランバー”“キャリー・ザット・ウェイト”“ジ・エンド”の3連打。
この辺の曲は、スタジオ音楽時代のモノであり、ライブではどうか?と思っていたが、ポールはこれを見事に再現させた。
また“キャリー・ザット・ウェイト”で、あのビートルズ時代を彷彿とさせる、一本のマイクに向かって、二人で歌う“シャウト唱法スタイル”をジョージ風のギタリストとやって見せるとドーム内は絶頂に達し、最後の”ジ・エンド“で本当にジ・エンドとなったのであった。
ビートルズは、私の青春そのもの
私のたった一つの心残り・・・・
それは47年前のビートルズ来日時の武道館ライブに行かなかったこと・・・しかし、今回のポールのライブで多少、それを取り戻せたような気持ちになれた。
『また来るね!』・・・ポールの最後のたどたどしい日本語が耳に残った。