会長の部屋:信州大学 経営大学院での講演-

先週の土曜日、長野の信大の経営大学院で講演を行った。
 対象者は、この経営大学院の学生ということで、仕事をしながら経営について学ぼうとしている人達であり、只の学生よりは当然目的意識をもって学んでいる人達である。
 私は以前から、大学は出来れば一旦勤めてから入った方が良いのではないか?という考えを持っていた。
 親のスネをかじって入った大学で、何の目的も持たずに勉強もせず、遊びほうけていた自分自身の反省によるものであったが、卒業後にこのように問題意識をもってから学ぶことは非常に良いことだと思う。
 そんなことで、つい力が入り持ち時間2時間半(実際は質疑応答の時間が1時間位とってあった)いっぱいいっぱいの講演となってしまった。
 おりしも、ここのところのメーカーの「日本回帰現象」が起こり始めたため、こちらの関係からも力が入る。
日本のメーカーの経営者はどちらかというと”日和見“的な部分が多く、世の中の景気がよさそうだ・・・と云うと開発に力を入れ、ちょっと雲行きが怪しいと思うと、急ブレーキをかけて開発を止めてしまう。
 当社は、正に景気のバロメーターであり、当社に来る試作の数で、実質の景気動向は直ぐ分る。
 ということであるから、パナソニックとかキヤノンとかの大企業が国内回帰だということになれば、他の円安の長期化で、国内に生産を戻すかどうか迷っている経営者は、世の中のお墨付きをもらったようなもので、誰はばかりなく国内回帰に舵を切るであろう。
 ここで、私の著書「2020年東京五輪の年にメイド・イン・ジャパンが復活する」の威力が発揮する。
 今こそ、日本のモノ造りは見直されるべきだ。

 まずは、国内で消費するものは国内で造ることである。
 そして部品は日本の中小零細製造業のモノを使う。
 メーカーは、日本でモノ造りを始めたら、社内は勿論、下請も含め改善、改革を積極的に奨励し進める。
 そしてその改善が進んだ造り方を標 準化し、他の国でも全く同じ造り方をする。→国内工場の”マザー工場“化の促進。 
また国内生産の製品は、まず中国、東南アジアに向けて発信する。
 中国、東南アジアの人達は、いくら探してもない”メイド・イン・ジャパン“に飢えていおり、 こぞって日本製を買い求める。
 この傾向は、やがて中国、東南アジアのみならず、世界に広がって行く。
 ここで往年の“メイド・イン・ジャパン”が復活する。
 その時期はちょうど2020年頃になる…と云うのが私のこの本のストーリーだ。
 前置きが長くなったが、下記に今回の信州大学での講演の内容を載せて置こう。

2015年1月10日
信州大学 経営大学院
 「トップマネジメント論」レジメ
                 株式会社セルコ 代表取締役 小林延行
ビデオによる会社紹介

私は二冊の本を書きました。
一冊は、「立ち上がれ中小零細企業」という中小零細製造業の”あるべき姿”を示し、下請を脱出し、大企業に技術的には負けない技術を持つ会社を目指すこと、そして2冊目は、結局電子自主出版という形になりましたが、「2020年東京五輪の年にメイド・インジャパンが復活する」副題として「中小零細製造業の活用によりメイド・インジャパンが大復活するという本です。
 現役社長である私としてはこの本は書いておしまいではなく、書いてからの私の会社の状態がとても重要であった。私は、私の会社がそのモデルになる必要がありました。
 また、二冊目の本に関しては、まずは「日本回帰」を進め、地消地産=すなわち国内で消費するものは国内で造ること。その部品は自社で造ったり、海外から取り寄せるのではなく、日本の中小零細製造業から調達すること。そして最終的にはこの高品質な製品を海外に展開すること。海外で販売することにより、メイド・イン・ジャパンを復活させること。

1、下請けからの脱出
 株式会社セルコ45年の歴史の中で、セイコーエプソンの下請を約20年間(売上10億円~15億/年3工場120名)、アメリカのウエスタン・デジタル社4年(最高売上18億円、1工場45名)、韓国サムソン社2年(売上10億円)、最終的にアジアバブルの崩壊1997年12月に7000万円/月の注文が突然ストップ、従業員を技術者中心の13名に絞り、小林が社長就任。
 親会社から「今、この時点で会社をたたんだ方が良い」と言われたが、5200坪の土地、結構立派な社屋、中核をなす社員のため、諦めることができずに、大リストラの末社長に就任する。
 社長になっても、何をしていいか分からずに、3千万円/月あった売り上げも7~8百万/月に・・・。
 下請というのは、「何もしなくても仕事が来る」、只管待ったが、親会社の仕事も引き上げられ、じり貧に・・・。親が残してくれた遺産も食いつぶし、後は女房と子供の預金しか残っていなかった。
 自己啓発セミナーをきっかけに一年発起し、自ら営業に徹し、「人がやらない、人ができないモノ」を手掛け、徐々に売り上げを伸ばして行き、2008年(3月期:3億8千万円/年)迄順調に売り上げを伸ばしていたが、リーマンショック、引き続き大震災の影響をモロに受け、借金経営に逆戻り。
 「ノーと言わないルール」、「顧客ニーズは発明の母」等の合言葉の元に、とにかく必死で顧客の要望に答え続け、気が付いた時には、かなりの技術力が身に付いていた。
 最先端の開発関係をやっていると、不況、好況には非常に敏感→日本のメーカーの経営者は殆どがサラリーマン化しており、4半期毎の決算が自分の評価に繋がるため、不況が来ると即、2,3年後、5,6年後に花開くような開発は止めてしまうため、不況の声が聞こえ始めると、当社への注文は途端に減少する。逆に、好況だと一斉に試作の話が舞い込んで来る。
 リーマンショック、大震災時の落ち込みは特に激しかった。 

 昨年、3月期にようやく売り上げを3億8千万円/年に戻し、現在は大量受注により今年の3月期予想は一気に6億円/年の予想。来年は年7億は間違いなく、数年後には10億の大台を目指す。3大得意先と10数社の固定得意先、年間100社近い試作、少量多品種、開発のお客様。最近は特に車(EV、HVのモーター)、医療(微細コイル、超特性コイル)等が増えてきている。
 基本は、リニアーモーター用のコイル等産業機器用。
 下請時代の「一社依存体制」からの脱却が一番の課題、現在は3本の柱に10数社の小柱、将来的には5,6本の大きな柱にして行きたい。
 試作引き合いは、多い時は1ケ月13件(二日に1件の割合)、少なくとも5,6件の引き合い。日本の錚々たるメーカーから問い合わせが相次ぐ。
 キーポイントは「他ではできない技術力」
 「高密度コイルのセルコ」をどうやって浸透させるか?
①まずは、必要とする技術者の目に留まること。
→「日経ものづくり」に広告を出す。
②殆どの人が、セルコのホームページを見る。
→分かり易い製品の写真を出来るだけ多く載せること。
 「常識を疑ってみませんか?」「会長ブログ」が人気!
③出来るだけ有力な展示会に出品する。
④新聞、雑誌、テレビ等のメディアに出る。→昨年10月「NHKスペシャル」に出る。本を書く。
ブログを書く。イプシロンロケットに当社コイルが搭載された。(推躍弁)
 工場を見せないこと。
 古き良き下請時代。今は「ただで技術を提供する」ことのみが活きており、親会社が下請け会社の面倒を見る・・方はなくなってしまっている。

2、日本と日本人の特性
①農耕民族で先祖伝来の狭い土地で、いかに良い作物を多く作るか?→コツコツコツコツやり続ける。
また、近所の人と助け合いながら作る→モノ造りに最適な文化、DNAを持つ。=職人。
 どんなに凄い発明や発見でも、基本は”コツコツ”。今後の発明、発見は日本人が主役になる?
 特に「創意工夫」が凄い。
 しまむらのパート社員の創意工夫。
 新幹線の7分間清掃の見事さ。

②中国、アメリカ、欧州の殆どの国は遊牧民族で、自分の土地が涸れたら、他の土地を奪い、自分の土地とする。→交渉、戦略に長ける。営業に適している=商人
③「平和」の概念→欧米では戦争と戦争の間の一時を平和といい。日本では平和は当たり前。
 「ノーと言えない日本人」は実は非常に文化的にも人間的にも高度な人種である。相手の人の状態、立場を考えてモノを言う。思いやり、気遣い、おもてなし、慮り等々、海外には無い言葉や風習が日本にはたくさんある。
 これらは、「恥」ではなく、「誇り」なのです。

3、経営のコツ
①セルフコントロールの会社→自分のことは自分でやる。自主的に考える。
→技術面は非常にうまく行った。社長の口出しが無かった?
②「任せる」こと→1年前から運営委員会の設置。(税理士に見てもらう)
→特にメンバーは責任を持つようになってきた。
③最終的には稲盛さんの「アメーバ管理」
              以上が「立ち上がれ中小零細企業」の内容
 最終的には、みんなが「経営者」の感覚を持てば良いが、なかなかそうはいかない。

4、「2020年東京五輪の年にメイドン・イン・ジャパンが復活する」~ 中小零細製造業の活用でメイド・インジャパンが大復活する
①なぜ今、国内回帰か?
円安、現地の賃金高だけではない。
②なぜ中小零細製造業なのか?
かつて”ジャパン・アズ・ナンバーワン“と云われた時代の日本のモノ造り=メイド・イン・ジャパンは、日本の中小零細製造業の高精度な部品造りがポイントであった。
現在の、メイド・イン・チャイナ製の問題点ハ、部品の現地調達、メーカーの自社生産が問題。
日本のモノ造りの凄さは、”改善、改革の力“
中国から戻った金型の話
スマホの主要部品は日本の部品メーカーが占める
これから世界中で”便利快適“を求め始めると、益々日本の均一にして壊れにくい製品が必要となる。
③なぜ、大メーカーの部品造りではダメなのか?
 メーカーが真似をしても出来ないモノがある(隠し技、匠の技)
マレーシアの巻線の件
 メッキの件
 メーカーの「まっ いっか!?」がメイド・イン・ジャパンの本質を見失わせた

④なぜ、組み立ては自動、部品は中小零細か?
 日本の賃金は高い→ただし大企業は・・中小零細は安い=半分以下
 日本には究極の内職制度もある。(300円、400円)
 大企業は220兆円と言われる内部留保のお金を使って、国内でロボット化し、部品は中小零細製造業に出す。
テレビ「シルシルミシル」の食品業界の自動化がなぜ進むか?
電子部品も全く一緒、大量に長く続けば、日本の小さな部品メーカーも間違いなく自動化に向かう。
 自社のノウハウを詰め込んだ自動機で均一にして精度の高い部品を大量に早く造り、電気は太陽光等の自然エネルギーで賄えば、日本は間違いなく世界で一番安いモノ造りができるはず。
メタンハイドレードの可能性もあり。
 中小にも課題⇒勉強をしない。自社のPRがヘタ。いつまでも大企業の注文を待つ。
⑤なぜ、日本のモノ造りはすごいのか?
  日本人は島国で、農耕民族、先祖伝来の土地で近所の人達と助け合いながら「コツコツコツコツ」といいものを出来るだけ多く収穫しようと創意工夫してきた。
 しまむらのパート社員
 新幹線の7分間清掃 ⇒タイや中国の清掃員と比べる。
            運送業の人足は最低レベル 日本のヤマトとの比較

⑥なぜ、中国人は”メイド・イン・ジャパン“を欲しがるのか?
ラオックスのキヤノン一眼レフに群がる注後幾観光客
本文を読む
 ラオックス
⑦日本に軸足を置くメーカーの検証
 トヨタ、マツダ、富士重工、コマツ、東レ他
 日本での”モノ造り”が基本。トヨタは300万台は日本で造る。マザー工場化。ある程度の”量”を造らないと改善、改革、改新は出来ない。
5、もう一つの経済活性化 再生可能エネルギー産業の促進
6、日本は、世界の中枢技術を席巻する。→軍事大国ではなく、技術大国を目
 指せ!
イプシロンロケット
±11cmのGPS 三菱電機,NECとJAXA
炭素繊維、IPS細胞等

 間違いなく、メイド・イン・ジャパンは復活する。時間の問題
 そして、世界の人々が求めるものは、最終的に”良いモノ“だということ。

7、質問事項
①会社はだれのモノか?

②会社にとって一番大事なことは何か?

③あなたの会社にとって今現在最も大事な課題は何か?

8、質疑応答
                               以上

株式会社セルコ

〒384-0808 長野県小諸市大字御影新田2130-1


TEL (0267)23-3322 FAX (0267)23-2233

株式会社セルコへのお問い合わせはお気軽に

お問い合わせ