昨日の新聞にラオックスがオンワードと提携し日本国内で衣料品を開発・生産し、中国を中心に広くアジア向けに売り出して行くという記事が載った。
ラオックスは、元々電化製品の量販店であったが、業績不振が続き、2009年に中国の会社に身売りをし、その後中国人向けの総合免税店に転身した。
2002年3月期から12期連続赤字だった同社は、2014年12月期に黒字転換を果たし、2017年12月期には営業利益目標を120億円に設定する程の好調な売り上げ状態にある。
ネットを見ると・・・・
「訪日観光客向けに特化しているため、国内客を奪い合う他の家電量販店と違い、価格競争に巻き込まれることがない。家電製品を中心としつつ、高採算の日用品や高付加価値の日本製品も取りそろえていることも、収益を押し上げる。主な家電量販店と比べても、経常利益率 やROE(自己資本利益率)といった収益性を測る指標で、高水準を誇る」
ポイントは高採算の日用品や高付加価値の日本製品を売っているということである。
家電製品出”メイド・イン・ジャパン“を探しても、なかなか見つからない。
電気釜、洗濯機、キヤノンのカメラなどで見かけるが、殆ど中国製である。
ラオックスの経営者は中国人で、中国人の感覚を一番よく知っており、できるだけ”メイド・イン・ジャパン“製品を取り揃え、中国人観光客の”爆買い”に対応している。
しかし、メイド・イン・ジャパン製品はなかなか無い。
そこで、オンワードと組んで日本で作るべく、手を打ったのである。
そこへ行くと、日本の家電メーカーは何をやっているのか?
未だに安い賃金を求め、地の果てまで行こうとしている
日本で良いものを造ろうというメーカーはなかなか現れない。
ソニーの音楽CDをTEACのCDプレーヤーで録音をした。
モニターで確認しながら録音しているにも関わらず、後で録音状態をチェックすると途中で音が消えてしまっている。
TEACに連絡をとり、プレーヤーの故障として修理依頼をしたが、どこにも異常が見つからないという。
とにかくおかしいから直してほしいと云うと、録音部のユニットを全取り替えして戻してきた。
1万5千ほど支払い、再度録音してみたが、全く同じような症状だ。
再度送った。
やはり異常が見つからないという。
こちらは困るので、とにかくもっとよく見て欲しいとお願いした。
しばらくして電話がかかって来た。
「CDのメディアはどこのモノを使ってますか?」
「ハイ、ちゃんとソニー製を使ってますヨ!」
「それはどこの国製ですか?」
「中国製です」
「そうですか!中国製には時々録音できないモノがある場合がありますので、日本製を探して録音してみてください」
・・・と言う話であった。
この話をある人に話したら、その人もDVDの録画を何枚かしたが、そのうちの2枚が録画できないことがあったという話だ。
そう言えば、録音したCDを2回、3回と聴いているうちに音飛びがしたり、聞こえなくなったりしたことが度々あった。
この事例は、良く現行のメーカーの実情を表している。
確かにCDモDVDも非常に安い。
しかしいくら安いからといって日本のメーカーが「不良品」を堂々とメーカーのラベルを貼って売っている姿はぞっとする。
以前にも書いたことがあるかもしれないが、当社の大連の副総経理が中国で日本のメーカー車(中国の合弁会社製)を買った。
私が隣に乗ってシートベルトを締めようとしたが、なかなか金具が上手く相手の金具に嵌らない。
部品の精度が悪い。
その副総経理が、ある時ブレーキを踏んでも車が止まらなくなり、サイドブレーキでどうにか止まって事無きを得たという。
車を買って半年もしないうちの話である。
最近また電話が来た。
今度はナビが壊れて使い物にならないという。
ちなみにその副総経理の弟はトヨタの車をその1年前に買ったが、未だに何ともないという。
これは、ただ単に偶然ではない。
「モノ造り」の本質を知っている会社と知らない或は知っていてもむ無視して安さを追い求める会社の違いなのである。
「安かろう、悪かろう」は中国の代名詞である。
その安かろう悪かろうでもいいからとにかく安く造れ・・と言う会社は最終的には中国のローカルメーカー或は韓国のメーカーには絶対に勝てない。
日本のメーカーは本社の固定費が重すぎるからだ。
いいモノを日本で造り、日本大好きの中国人に売る。
また、日本のモノ造りを続けながら、最終的には海外各地で、日本で確立した最高の製法を標準化してものづくりをすれば、日本製とそれ程遜色のないモノ造りができるはずだ。
その前提は、あくまでも「日本でマザー工場」的でも良いから、モノ造りをすることである。
これを外したら、アウトなのである。