会長の部屋:教育について-

私はこれまで「日本は”モノ造り”しかない・・・と言ってきた。
 「日本人」は世界の中の“エイリアン”とも言ってきた。
 日本人の祖先は、1万年~1万数千年の間、縄文時代を過ごして来た。これ
は途方もない時間であり、その間、共同の自給自足の狩猟生活を続け、争いは
殆ど無く穏やかに暮らしていたというから驚きだ。
 狩猟といっても、点々と住居を変えるのではなく、竪穴住居で栗やクルミ、
山菜、貝やさかな等を食べ、後は近隣の動物を捕まえて食べていたようだ。
 その時の様々な道具が見つかっている。
 その後、弥生時代に稲作が始まり、地域によっては争いがあったようである
が、総じて争わない人達であったようだ。
 この人と人の和を重んじ、一つのことをコツコツコツコツやり続けるこの国
の人達のDNAは、”モノ造り“には最適の特性なのである。
 
 最近の学生は”モノ造り“に対してはどうだろう?
 コンピュータの時代となり、ネットビジネスが花盛り、金融、保険、商社と
華やかで実入りの良い企業を目指すのは無理のないことだと思うが、自分の手
を汚してモノ造りをしようという人は少ないかと思う。
 私の言うモノ造りとは農業も含まれる。
 今はメーカーに入ったとしても、なかなか大卒で実際にモノを造る部門には
回されることはないため、やはりまず実際に自分の手でモノを造ることはない。
 そこへ持って来て、後継者不足の中小零細製造業はドンドン廃業して行ってしまう。
 ・・・ということになると、日本のモノ造りの将来は・・・ちょっと大変な
ことになってしまう可能性がある。
 画期的なアイデアや技術は実際の現場から出てくるものであり、机の上やコ
ンピュータの画面からはなかなか出るものではない。
 実際、我々の色んな革新的な技術を見ると、常識の中からではなく、殆ど非
常識の世界から生まれてきている。
「そんなことできるはずがない!」と言われていたものが、やむに已まれずや
ってみたら、出来てしまった。・・・というようなことが実際の現場では良
く起きるのである。
 ノーベル賞を取る人も、今までの常識の中でいくら研究をしても、それまで
のものしか出てこない。それこそ何年も何年もコツコツコツコツ、人が諦めよ
うが「我が道を行く」人が、ノーベル賞に輝いているのではないか?と思う。
 
 先祖から受け継いだコツコツ精神を一番必要とするモノ造りをやる人が少な
くなったら、日本は経済的にも、技術的にも衰退する。
 いくら観光立国を目指すといっても、この国はモノ造りなしには生きて行け
ない国であることを、国民全体が認識すべきだ。
 英語を小学校から教える・・とか言っているが、そんな時間があったら、何
か工作をやらせるとか、農業実習をさせるべきである。
 毎年当社には、近隣の中学高より実習体験の生徒がやって来る。
 今年も二人来た。
 感想文を読むと、モノ造りの大変さとか難しさが書かれていたが、当社でゲ
ーム機のコイルを造っており、その作業をやってもらうと、「ああ、これがあ
のゲーム機に付いてるんだ!」ということがはっきり分かり、非常に良い実
習となる。
 の子供は、野菜がどのように育っているか知らない・・・というような話を
聴くが、自分の手で野菜を作ったり、動物を飼ったり、することが私はこの国
にとって非常‐に大切なことだと思っている。
 先般近隣の展示会に、小学生がやはり授業の一環で、わが社のブースに来
て、色々と質問をしていた。
 私はその聡明そうな子供に、このセルコという会社を覚えていて、大きくな
ったら、この名刺を持って面接に来なさい。最優先で入社させてやるから・
・・と名刺を渡しておいた。
 10数年後が楽しみである。

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