会長の部屋:年末、年始に当たり-

あっという間に年末年始が過ぎ、また1つ歳をとる…と書いたが、先般読んだ本に、いつまでも脳を衰えさせないための一つに、「自分が歳をとった」とか「歳だから…」というような言葉を使わないこと…というのがあったため、私もこれからは余り自分の歳のことは言わず、むしろ歳を忘れ、自分の体力、能力に応じた計画とか行動をすることにしようと思う。

年の初めに大きな地震。
家に居た私は、かなりの揺れとその長さに2011年3月11日の東日本大震災を思い出した。(9.11とか今回の1月1日とか、災害や大きな事件はゾロ目が好きなのか?)
即、テレビを点けると、今度は石川県能登半島だった。
テレビは前回の件があるため、「津波に注意!直ぐに逃げてください!」と大声で呼びかける。これまでは確か「火の元を確認して!」というのが定番だったが、今回はひたすら「津波、津波」だった。
しかし結果的に今回は、津波の被害よりも、倒壊、火災、土砂崩れの被害が多かったようだ。
私はこのような事態の場合、即、自衛隊の出番だと思った。
状況が分からない…ということがあり、直ぐに決断をするわけには行かないと思うかもしれないが、私は直感的に「とりあえず行動」が必要だと思った。
大分昔に、写真撮影旅行で能登半島一周の旅をしており、あの入り組んだ地形ではかなり大変だろうと思っていたら案の定、道路が寸断され、孤立状態の集落が沢山出た。
それこそ、自衛隊がいち早く駆け付け、ヘリコプターやドローンを飛ばし状況確認をし、対応できるところは対応すれば、亡くなった人の何人かでも助かった可能性がある。
結構強い余震があり、ここはとても民間、一般のボランティアの出番ではなかった。

私は以前から、日本の自衛隊は「災害救助隊」という名称に変更し、様々な災害時の救助、救援、救出のレスキュープロフェッショナルとなり、そのための特殊車両から重機、ロボット等の専用の機械や道具を開発し、救援物資も即輸送できるよう常に準備しておくような態勢を取ったらどうか?と思っている。そして、日本国内は勿論、海外のいかなる国へも行く用意があるということを世界に発表し実行したら、日本は世界から絶賛される国になるのではないかと思う。
勿論、普通の国は他の国の援助要請を受けにくいだろうと思うが、まずは受け入れる国から実績を積めば、そのうちに、その国の災害にあった国民が、「日本の災害救助隊を呼んでくれ!」という話に徐々にでもなるのではないかと思う。
このように人を殺すのではなく、人を助けるための組織であれば、どんな国でも日本をリスぺクトし、もし日本を襲う国があれば、世界中を敵に回すことになり、結果的に「日本防衛」の「自衛隊」になるのではないか?と思う。

また翌2日の羽田空港での日航機と自衛隊機の接触炎上事故も衝撃的だった。
亡くなった5名の自衛官はお気の毒だったが、日航機の乗員、乗客379名全員が無事だったというニュースは凄かった。
乗客の撮った動画がテレビで流れたが、あの煙が充満してくる中、CAの「席を立たないでください!」、「バッグを下ろさないでください!」という注意をみんなが守り、結果的に全員が飛行機を降りることができたという事実は、これがもし海外のどこかで起きたのだとしたら、果たして乗客はこのような冷静な行動をとっただろうか?と思ってしまう。
そのCAも、全員が昨年4月から勤務を始めた新人だったとのことで、これもまたびっくりした。
又、機長が最後の最後、残された乗客がいないか、機内を端から端まで確認してから脱出した姿は素晴らしく、まるで映画の1シーンのように格好良かった。

セルコのことをいうと、後継社長(息子)が大分しっかりしてきており、あまり口を出すこともなくなってきたように思える。最も、私と全く同じかと言えばそれは違うため、会議で私が口を出すともめることになるので、今後は出来るだけ引っ込んでいる方が良いか…と思う。
ただ、最近は業績的にいうと、築き上げてきた5本、6本の柱がちょっと揺らぎ始め、続く6本、7本目の柱が未だきちっと台頭して来ておらず、これまでのような「飛ぶ鳥を落とす勢い」状態ではなくなってきたことで、社長も「金融引き締め状態」に入っているように思える。
しかし、ほんの8~9年前までのセルコは、借金を背負いながら地の底を這うような状態で、いつ経理から「社長、来週火曜日に手形が落ちません」と言われるか分からないようなことが日常だった。その時と比べると、「天国」のような状態なのだが、その時はその時で今は今ということか?
ただ、今の社長は現状の対応に問題はないが、「将来飛躍するための準備」とか「そのための心構え」にちょっと難点があるように思える。
それは具体的にいうと、「営業戦略」であったり「特許戦略」であったり、「人的な問題」であったりする。

経営には2つの視点がある。
1つは、現状…現実からの視点である。
まずは目の前の売上、利益、資金繰りとかという極めて現実的な視点であり、これができないと会社は即、おかしくなる。
どんなに内部留保をため込んでも、一旦会社が傾き始めれば雪だるま式に資金は消えて行く。だから会社は、お金をため込んでいてもダメなのだ。
それでは何にお金を使うかというと、これが第2の視点に繋がって行く。

2つ目は、戦略であり「未来、将来のための布石」である。
そしてまずは「人」である。
但し「人」=従業員ということには必ずしもならない。
自分の会社の中で、将来この会社を担うであろう人にお金をかけることだ。
お金をかける=給料を上げることだけではない。
それは、その人物が伸びるであろう「学び」のためであったり、「設備投資」であったりする。
いうなれば「先行投資」ということだ。
そして次に「営業戦略」だ。
社長としては、様々なチャンネルを持つべきであり、そのチャンネルの中から、新しい世の中の動きを掴んだり、正しい本物の情報を得たりする必要がある。
我々中小は得てして「井の中の蛙」状態になってしまう。
付き合いが、どうしても同規模の社長とその周辺になってしまう。
それでも、その中から何かしらのコネクションを見出し、他の業界とか大企業の社長とか幹部とのコネクションを持つことが必要となる。
そして中小の社長の最大の仕事は、営業であろう。
「トップセールス」で、「ここっ!」という時は、担当に任せきりにせず、自分が出て行く必要がある。得意先の方も社長が出て来ることで、その会社の「本気度」を知ることができる。
「特許戦略」にしてもそうだ。
コイルの世界はモータの世界と一緒で、戦後、殆ど改革、革新がないまま推移してきた。
ようやく最近の「EVの波」に促され、「小型にして高効率なモータ」が必要となり、その余波で「高効率コイル=高密度コイル」の需要が生まれてきた。
いわば、開発してから20年近く経って、ようやく「セルコの技術」が採用されるようになり始めたのだ。
ここで、ただ「ウチの技術は凄いです」と言っていてもダメ。その技術を何らかの権利化し、それを守る体制を作っておく必要がある。
そして、有能な弁理士先生、実績のある弁護士先生に何かあったらお願いできる状態を作っておく必要がある。


さて、昨年は…と言うと、私の1番の思い出は「イギリス、リバプールのBeatle Week参加」だったであろう。
これこそ、自分の歳をすっかり忘れ、若者達に交じって20代の青春を謳歌した1週間だった。
耳を澄ませば、「いい年をして~」とか「好きだねぇー」とか色々な中傷ややっかみが聞こえてきそうだが、「行ったモン勝ち」、「やったモン勝ち」といったところか⁉
又、3年間コロナで封印されていた「大忘年会」も開催でき、1年間習い続けた玉置浩二の「メロディー」を歌ったこと、ビートルズ絡みは「ヘイ・ジュード」を大合唱できたこと、とにかく3時間のプログラムを時間ぴったりで終えることができたことで大満足だ。
政治の方は相変わらず「金の金による金のための政治」であり、「国民や国のための政治家不在」状態をどうにかしてもらいたいものだ。
私は以前このブログでも言っているが、とことん迄行ったときに、若者が立ち上がり、この国の政治を変えるという強力なパワーが出てこない限り、何も変わらないだろうと思っている。
又、戦争の問題も、武器商人や独裁政治がのさばっている間は、なかなか戦争は収まらない。人間は最終的には、「猿の惑星」のラストシーンのように、サルではなく人間(チャールトン・ヘストン)が核のボタンを押して地球を破壊する方向を取るしかないのかも知れない。
異常気象については、私は余りゼロカーボンだとかSDGsのような方向性は好きではない。恐らく地球は、何千年か何万年の周期で、温暖化、寒冷化を繰り返しており、今は温暖化の最中なのだと思う。
地震だ、噴火だ、気候変動だ…と、結局人間は自然を克服したと思っていても、何1つ防ぐことができていない。
「自然と共に生きる」ことが、人間の本当の『叡智』なのではないか?

そんなことをツラツラ思う、この年末年始であった。

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