今月初めに中国大連工場の従業員の結婚式があり、大連に出張に行った。
ちょうど中国は国慶節に当たり、工場は休みであり結婚式が済んだ週末に観光地へ行った。
これが、どこへ行こうが凄い混みようで、”日本人面”しておっとり構えていると、チケットも買えない。
日本に戻ってからの情報で、中国のこの国慶節中の観光客は、何と4億2千8百万人だったということである。
実に中国の人口の1/3、日本総人口の約4倍近い人がこの休み中に観光に繰り出した・・・と言うことだ。
それまで、自分の街かその周辺しか行ったことのない人々が、経済発展の恩恵を受け、香港、上海、北京、万里の頂上等々の観光地を中心に、多くの人々が繰り出した。
最近、中国経済の失速、シャドウバンキングの関係でバブルがハジケルのでは?と盛んに言われているが、この観光客を見る限り、中国経済の失速はまずない!と思われる。
確かに、各地区で滅茶苦茶な開発をし、ビルが建てかけたまま放置されたり、マンションが建っているにも拘らず、人が全く住んでしないような、ゴーストタウンが中国国内に沢山あるらしいが、私が大連に最初に行った10数年前にもそのような光景を見た。
空港から大連へ向かう道すがら、このゴーストタウン的なマンションの連立状態を見た。
勿論最初にマンションが建った状態で人が住んで居ないのは当然だが、これが1年、2年経ってもさっぱり人が入らない状態を見たら、これはどういうことか?と誰しも思うかと思う。
私も、そう思った。きちっと計画され、需要と供給のバランスを考えながら、進むのが”経済”の原則であり、いくら行政がやることだからと言って、1年も2年も前に先行してマンション等を建ててしまうというようなやり方は無いだろう・・・と思った。
それから、しばらくの間私は大連に行っていなかったが、2年ほど前から、また工場設立のため、行くようになった。
これがまた驚きであった。
このゴーストマンションが一杯に埋まり、逆にあっちでもこっちでもさらなる高層マンションが立ち並び、更に建設中のマンションが数知れなくあるのである。
”経済発展”と言う”お化け“の姿を目の当たりに見たのである。
日本の経済成長期も全く同じで東京はもとより地方の開発もすさまじかったが、中国のようにマンションを建ててから数年誰も入らない・・・と言うようなことはなかったかと思う。
自由経済圏の日本と社会主義国の中国との違いを感じさせる事例である。
とにかく、多少のバブルでゴーストタウンがアチコチ立ち並ぶかもしれないが、中国の経済はまだまだ”発展途上”にあると感じた。
あの観光地の賑わいを見ていると、そのパワーの凄さは、すさまじく、簡単にブレーキはかけられそうにない。
ただ、急速な経済発展は様々な社会の歪を生み出し、環境の破壊をもたらす。
最近の大気汚染は車や工場の発展に伴い輪をかけてひどい状態になってしまっている。
中国としては、ここは、やはり発展途上国の先般としての日本のノウハウを素直に学ぶべきであるし、日本も手を差し伸べるべきである。
尖閣諸島で国同士がにらみ合っても、何もいいものは生まれない。
中国は、これから日本の一番のお客様である。
中国は、環境汚染の問題もそうだが、今まで日本が歩んだ道を歩む。
勿論、自分でできることはやるかと思うが、間違いなく日本でしかできないモノが沢山ある。
日本の経済振興のためにも、これからは、隣の国同士で互いに助け合い、手を組みながら進むべきであり、軍備の強化とか、国力の増強だとか”は日本にとって害はあっても益はない。
本日の日経に下記のような記事が載っていた。
中国からの観光客が戻ってきたという記事である。
日銀の高田恭介札幌支店長は5日、北海道への観光旅行者について「中国や台湾、韓国を中心に東日本大震災の前の水準に戻ってきた」との認識を示した。国内の観光客も「格安航空会社(LCC)の定期便就航による効果もあって震災前の水準に戻りつつある」と語った。今後は「LCCが台湾やタイなどから定期便の乗り入れを予定しているほか、中国からチャーター便が就航する予定で、(観光客数の増加を)期待できる」とした。
北海道への観光客数は震災直後に急減した。昨年7月ごろから少しずつ持ち直し、『今年の春節(中国の旧正月)休みには中国の観光客が増えた』。国内の観光客は「LCCの就航による効果がかなり大きい」と指摘。当初は既存の航空会社の旅客減につながるとの懸念があったものの、「これまで北海道に来ていなかった層が来るようになった」という。
今まで来なかった“層”が来るようになったということは注意すべき点である。
中国の経済は、”片寄り“はあるかと思われるが、裾野まで広がり始め、中間層の拡大が進んでいる。
様々な報道では、中国全体が日本を”悪者扱い“しているように見えるが、そのまま鵜呑みにしてはいけない。
報道というのは、”正確さ“、”公平さ“が最も大事であるが、私が見聞きする範囲においては、その新聞社、そのテレビ局の意向に沿った報道になりがちになるかと思う。
テレビなどは、一番は”視聴率”であり、色んな事件もできるだけ大げさに報道し、世間の同調を鼓舞すれば、ドンドンエスカレートして行ってしまう危険性がある。
以前もお話したかと思うが、マスコミを信じるか否かということに関して、イギリスでは10%以下、アメリカでは20%位で、日本は70数%という数字だったかと思うが、先進国の中で、日本人ほど、マスコミ(マスコミを操る権力)による誘導に弱い国民は無いだろうと思う。
まぁ!これが日本人のいい面でもあり、問題になる部分でもあるということだが・・・。
事実、尖閣諸島問題が勃発した直後に私が大連へ行き、ローカルのテレビを見ていたら、韓国の竹島問題については結構詳しく報道していたが、肝心の“尖閣諸島問題”は全く報道してなかった。
大連は、あの件でストもデモも何も起きなかった。
行政も日本企業に対し、気を使っているのだと思う。
あれが、過酷な報道を毎日流していたら、大連でもどうなったか分からない。
ついでに、大連で面白い光景を見てきたので、お話しておきたい。
夜な夜な町のあちこちの広場で、若い人は若い人達、年寄りは年寄りで集まり、あまり明るくないどちらかと言えば、暗い場所で踊りを踊っているのだ。
その踊りというのが、盆踊りのような昔ながらの踊りではなく、ジャズダンスとかエアロビクスのような最近の音楽のリズムに合わせて、一定の決まった“振り”に合わせて踊っているのである。
若者たちは、結構速いリズムに乗せて踊っていて、私はそちらはちょっと無理だったが、年寄りのダンスに参加して踊ってきた。
辺りが暗いため、私が日本人かどうかということも分からないかと思うが、結構色んな曲が、途切れずにドンドン流れてきて、私もちゃんとその輪の中に入って、最後まで踊り通した。
大体毎日7時ごろから9時ごろまでがダンスタイムのようだ。
お金もかからないし、若者もいい発散場所になり、年寄りは毎日やったら、日本のカーブスなんかにも負けない健康運動の代わりになりそうで、とてもいい習慣だと思った。
何か、中国も裕福になり始め、国民の生活にゆとりが生まれ、これまでの個人主義、拝金主義から人との繋がりとか、仲間意識とかへの変遷が始まりつつあるのかな?と思った。