会長の部屋:テレビドラマ「永遠のゼロ」-

テレビ東京で3夜に亘り「永遠のゼロ」を放映した。

 昨年映画が上映されかなり話題を呼んでいたが私は観てなかったため、このテレビシリーズはきちっと録画し、じっくりと観た。
 主人公の宮部久藏は15歳で海兵団に入団した。巧みな操縦技術を持つ航空兵であったが、妻子を案じ「必ず生きて帰る」と公言していた。命を重んじる思考から上官に意見することもあり、「臆病者」と称された。毎晩鍛錬に努め機体整備にも気を遣い、恐ろしく慎重な操縦で、実戦において無謀に撃墜することより撃墜されないことを説いた。下の者へも丁寧に話す様は馬鹿にされるほどであったが、教官としては非常に厳しく、暴力に訴えることは一切なかった。
 ところが、この宮部は26歳で鹿屋基地から特攻隊として志願し戦死している。
 
 この謎を解こうと、この宮部の孫にあたる同じ26歳の佐伯健太郎と姉の佐伯慶子が宮部を知る人達を戦友会名簿から探し出し聞き回る。
 最後の最後で、このドラマでは自分の乗るゼロ戦(最新タイプ)を旧式タイプに乗っていた大石賢一郎に譲り、自分は米国空母に体当たりし、この大石はエンジントラブルで不時着し九死に一生を得て生き残ったのであった。
 宮部はこのエンジントラブルを見越してこの機を大石に譲り、自分の妻子の面倒を大石に託した・・・と言うことになっている。
 大石は戦後宮部の妻子を探し当て、結局結婚し一生妻子の面倒を見ることになるというストーリーである。

 ここに描かれている宮部は優秀であり、心優しく、僅かな飛行訓練で戦闘させたり、最終的には特高に出したりすることに対して大きな反感を持っており、事あるごとに上官に逆らい殴られていた。
 私はこの宮部久藏もそうであるが、航空兵と云うのはエリート中のエリートであったとか学徒出陣で優秀な若者を次々に特攻出死地に追いやったとかという話を聞く度に、その当時の上官、そのまた上の指揮官、この戦争を仕掛けた日本で作戦を練るお偉い人達の“愚かさ”を思う。
 
 誰が考えてもこの戦争は最初から勝てる戦いではない。
 勝てない戦争を仕掛け、天皇の名の元に国民を駆り立てマスコミはそれに輪をかけ、戦争反対論者は「非国民扱い」にし、国のために死ぬことを美化し、尊い若者の命を奪い、結果的に戦士180万人、民間人80万人、計230万人の国民が亡くなった。

 先般岡山に行ったついでに広島まで足を伸ばし原爆ドームを見て来た。
 原爆ドームの上空600メートルで原爆が炸裂し、一瞬のうちに20万人が亡くなったと書いてあった。
 少しでも早く戦争を終結していれば、この尊い20万人の命も、長崎の7万人超の命も救えたし、沖縄の人達、東京やその他の地域での空襲による被害者、そしてあの優秀な特攻に行ったパイロット達、学徒動員で散って行った学生達も救われたであろう。
 特に特攻で散って行った優秀にして志あふれる若者が戦後に生きていたとしたら、戦後の日本の復興にどの位、貢献したか分からない。
 官僚や政治家にも影響を与え、今よりずっとましな政治が行われていたかもしれないと思うと、時の為政者の罪は計り知れない。

「戦犯」と云うと相手国に対しての罪ということになるかもしれないが、私はこの日本をそのような状態に巻き込んだ人々こそ、日本国民に対する大罪を犯したと言えるのではなかろうか?
 願わくば、戦争とか原発とか、国民の命を脅かすような政策は止め、日本がより平和で建設的な方向を常に目指すような”国の在り方”を考えて欲しい。
 今この国は力によって国を守ろうということではなく、他の国ととにかく”仲良くやる”と云う方向性を打ち出し、とにかく外交努力によって不調和や不具合を取り除くべく最大限の努力をすべきかと思う。

 日本は今世界に向かって「戦いは止めましょう!」「平和な世界を実現させるために日本は最大限の援助や活動を行います」と宣言すれば、世界中から尊敬の拍手が沸き起こるかもしれない。
 是非そういう方向を目指して欲しい。

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