スポーツの中で私が唯一かじったスポーツは卓球である。
6月4日、ドイツで行われた卓球の世界選手権ミックスダブルス決勝で混合ダブルスで吉村真晴(23)&石川佳純(24)組が48年ぶりの金メダルを獲得した。
以前日本は「卓球王国日本」として世界に君臨していた。
私は中学時代から高校卒業までは卓球をやっており、性格がとにかく「象のしっぽよりニワトリの頭」の私は、勿論主将として頑張った。
特に、高校1年生の時に県体に出場した・・と云うのが私の金字塔である。
私の入った高校は勉強も運動も中途半端な学校であり、スポーツも殆ど鳴かず飛ばず状態で何かで名を轟かすようなことはまずなかった。
卓球も、はっきり言って三流高であり、私が一年生で入った時も確か誰も県体に行った部員はいなかった。
そんな卓球部で卓球をやったが、スポーツでも音楽でも「良き指導者」がいるかどうかで、その才能が伸びるかどうかが決まるが、とにかく中途半端な学校であり、先生も先輩もそこそこで指導もそこそこだった。
私は兄が他の結構レベルの高い学校のマネージャーをやっており、時折その学校へ行って指導してもらったりしていたが、一年生にして2年生、3年生にも勝ってしまうくらいのレベルになった。
私の一番の練習は家の車庫に置いてあった卓球台での一人練習であり、一人でできる練習と云えば、サーブの練習である。
私はサーブの特訓をするうちに、同じフォームで3種類の球質のサーブを出せるようになった。
そして晴れの県体をかけた地域の大会である。
1回戦、2回戦と勝ち進み、3回戦、いよいよ県体出場をかけての試合となった。
たまたま相手チームの選手達の傍にいたらその相手の選手は3年生だったために、私が未だ1年生ということで、既に勝ったような雰囲気である。
「おめでとう!」とか仲間に言われてまんざらでもない顔をしている相手選手を見て、内心「これは行けそう!」と思った。
試合が始まった。
最近は11本勝負7セットマッチだが、昔は21本勝負、3セットマッチだった。
私は1セット目は、例の同じフォームで3種類のサーブのうち、一番オーソドックスな下に切るサーブのみを出した。
相手はすぐにそのサーブには慣れ、1セット目は簡単に取られた。
勝負は2セット目である。
今度は、同じフォームで全く逆の上に切ったサーブを繰り出した。
相手は1セット目と同じサーブだと思ってレシーブするため一向に返せない。
その内に、完全に自分のリズムを崩してしまい、結局2セット、3セット目を私が連取して、何と一年生の私が県体出場トなったのであった。
なぜこんなに詳しく私の高校生の頃に卓球の思い出を語ったか?というと、
卓球という競技は、非常にメンタルな競技であり、ひょんなことから間違いなく技術差があっても、こちらが調子の波に乗り、相手が意表をつかれてリズムを崩したりすると、そのまま進行してゲームセットになることもある競技であるということを皆さんに知ってもらいたいからだ。
テニスもかなりメンタルなスポーツだが、コートが狭い分、球が素早く返ってくる分、メンタルの要素がかなり強いスポーツとなる。
・・・・・ということで、何も今回の日本選手の快挙は、ただ日本選手が調子に乗った、そして相手選手が戸惑ったというレベルではないことは確かであるが、特に若者の活躍を見ていると実力と共に多少その傾向もあるのかな?とも思えてくる。
しかし、私がやっていた頃の卓球と、今の卓球のレベルの違いはあまりにも違いすぎる。
恐らくあの頃の私では、今の選手が放つサーブを始め、殆どの球は取れないかと思う。50年前から卓球はかなりの進化を遂げている。
あの球の切れ具合から、早さ、角度等々、まるっきり違う。
優勝した吉村、石川組のその他の選手も凄い活躍をしたが、やはり中国の壁は厚く、そう簡単には卓球王国復活とはいかない。
ただ昨年と今年では日本選手のレベルがかなり上がっていることは間違いない。
水谷選手を破った張本選手とか中国の女子チャンピオン丁寧選手に勝ったこともある平野美宇選手、伊藤美誠選手の成長ぶりは見事というしかない。
それにしても、中国の選手同士の決勝戦は凄かった。
2連覇を狙うチャンプのマ・リュウに対して挑戦するハン・シントウは互角に戦い、劣勢を挽回しラストゲームへともつれこんだ。
お互いの繰り出すサーブも凄い。
ハン・シントウは手首を使った見るからに切れの鋭いサーブで、戻った第三球を狙う。一方マ・リュウの方は、ロングサーブを出してくる。
私のつたない卓球経験からでも、ロングサーブというのは緊張すると台の外に飛び出てしまう確立が高いため、大事な場面ではなかなか出せないはずであるが、マ・リュウはこれを連続して繰り出して行く。
双方共に定番となったチキータが出る。
この猛回転して来るボールを打ち返す。
ループと云ってフォアハンドで下の方から上にこすり上げるボールもメチャ凄いが、それを更に打ち返す。
台に当たった横回転のボールはどう見ても横に弾いて行くが、これもものともせずに捉える。
決まるボールは、極端に角度が付いたボールで、どうやってもラケットが届かないところに飛んでいったボールが多い。
そんな凄い二人の卓球が、もつれもつれて最後の最後まで行ったため、否が応でも会場は盛り上がった。
勿論、私も一人でテレビを見ながら盛り上がった。
尤も、私は前日の夜のテレビ中継を録画して早朝に一人で見ているのではあったが・・・・。
先般も大相撲の話の時にも言ったが、とにかく最近の日本の若い選手は凄い。
このような超人的な中国の選手に対し、堂々と立ち向かい、一セットでも取ったりするのだから・・・・。
しかし、私はこの卓球における「中国の壁」は未だ未だ厚く、これを打ち破るのは時間もかかり、容易ではないと思う。
それでも女子の方がちょっと早そうだ。
卓球王国・・・日本の復活! 私が生きている間に見たいもんだ。