朝8時、この日は旅行社から女性のガイド兼ドライバーが大型箱バンでホテルにやってきた。
日本人である。
カナダには3年いるという。
どうも山が好きで、ガイドの仕事をやりながら山登りをしているようだ。
年恰好30前位。
非常に対応が良く、やはり気遣いも違う。
日本人にはに日本人が一番である。
前回と同じように兄が前に乗り我々は後ろの席に二人ずつ座る。
結局、このガイドさん、車に乗っている中、イヤホンマイクを付け、社内スピーカーを通じてガイドをしているか、兄と話しているか、ずっとしゃべっり放しであった。
恐らく眠気を誘わないようにするテクニックだったのではないか?
我々は、時差の関係があるため代わりばんこにコックリ、コックリしていたが、兄は殆どガイドさんの話を聴いたり話をし通しだった。
この日は、車を駆使しヨーホー国立公園の湖や滝を見て回ることになっている。
ヨーホーとは先住民族語で”素晴らしい”と云う意味だそうだが、その通りで本当に素晴らしい景色が次々と現れるのである。
バスクルーズ最初に訪れたところはモレイン・レイクと言う、その美しさの故に且つてカナダの20¢の絵柄に採用された湖であった。
残念ながら,行った時は殆ど霧だらけでその美しいという湖が良く見えなかったが、よっぽど我々の行いが良いのであろう、レイク・ルイーズの時と同じように時間と共に霧が上がり始め、この美しい湖とテンピークス(10の頂)という10ケの頂がこの池をぐるりと取り囲み、その風景を一層際立たせている山々も次々にその雄大な姿を露わし始めた。
カナディアンロッキーの湖の水がなぜ、トルコブルーだったりエメラルドブルーだったりするのか?というと、氷河の溶けだした水が電子を帯び、その粒子が水中に浮遊し、光の反射をさえぎり独特の色合いを見せる。
湖面の色は、天候により、時間帯によりブルー系の色が様々に変化するため、同じ湖でも訪れる度に色が違ったりするのだそうだ。
そこへ持ってきて、天気の具合により雲や霧の演出も加わり、雪の季節、芽吹きの季節、盛夏の時期、そして紅葉の時期と次々と変化し、厳密に言えば恐らく二度と同じ風景は観られないだろうというこの風景は、私の様なエセカメラマンではなく、本格的に写真を撮っている人達にとっては、たまらない被写体ではないか?
5人全員で、ガイドの女性に写真を撮ってもらった。
このガイドの女性は、恐らく毎日毎日お客の写真を撮っているのであろう。どこではどういうタイミングでどういう構図がベストか知っているようで、その写真はなかなかのモノであった。
次はタカカウの滝という滝に向かった。
タカカウとは先住民族の言葉で”壮大な”と云う意味、落差380mのこの滝は「以前より水量が多い」と兄が言っていたが、この時期は氷河の氷が最も融ける時期で水量が多く迫力満点の滝だ。
歩道があり、滝の直ぐ近くまで行けた。
ここから、昼食のためポストホテルのレストランに向かう。
ここはガイドさんお奨めの美味しい料理ということで期待したが、朝にバ
イキング料理でたらふく食べてしまっており、また全員それ程食べられるような歳でもないため、パスタは美味しく食べたが、大きな鳥肉はそれぞれが残した。
デザートのスィートも結構なボリュームがあり、私はとても食べられないので、別席に似たガイドさんに食べるように・・・と持って行ったのだが、帰りに包んで”お持ち帰り”にしてくれた。
これはその夜の例のカップヌードルパーティー時に5人で少しづつ食べた。
ここから、道路沿いにある結構大きな湖ボウ・レイクに向かう。ここからの眺望は素晴らしく、絵葉書そのものだ。
次はペイト・レイク・・・どの湖も氷河が融けた水でその色が大変美しいが
、このペイト・レイクはその中でもまた格別な美しさを誇る。
夏はコバルト・ブルー、秋はエメラルド・グリーン、時間や気温、光のあたりぐあいによって刻々と変化し、午前中の方がきれいだとのこと。
我々は午後の訪問であったが、”まるで絵の具のような・・・”と案内書には書いてあるが、本当に綺麗だ。
「20年前より湖が小さくなった」
と兄が言っていたが、地球の温暖化に伴って氷河も年々少しずつ縮小してしまっており、湖の水量もそれに伴って少なくなってきているのであろう。
20年という単位は、それを顕著に表わす。
写真をバチバチ撮り、名残りが尽きないこの湖を後にし、ここからこの日の宿泊地エメラルド・レイクへ向かうが、途中大陸横断鉄道のスパイラルトンネルが良く見える展望台に行った。
スパイラルトンネルと言うのは、この鉄道の最大の難所で急勾配のため直線で持って行けないため、8の字型に上がって行くのだが、それが殆どトンネルなのである。
この大陸横断鉄道の車両はとても長く、実際に数えたが130両から150両くらいまであり、そんなにスピードを出さないため踏切の通過などはメチャ長く、車は待つのを嫌って信号無視して突っ込み、結構事故があるとのこと。
その長い車両がこれまた8の字の長いトンネルをくぐる際、先頭の車両がトンネルを出ても未だ後ろの方の車両が見えるとのことで、運がいいと実際にそのような光景が見えるということである。
そこから1時間位走り、エメラルド・レイクに着いた。
ここもなかなか神秘的で素晴らしいのだが、生憎雨が降り出しており、辺りは殆ど霧だらけ、ここの宿泊はロッジ形式で、私達と姉は一階と二階に分かれ、兄達は違う棟に入った。
ロッジの中は個人まりしており、暖炉があったりして山小屋の雰囲気が出ている。
朝晩と普通に食べたため、今晩はみんなで一所に集まり、カップヌードルパ
ーティの夜となった。
とにかくカナダは物価が高い。
昼間でもちょっとしたモノを食べるとすぐ3000円位はする。
夜をディナーを楽しむと、軽く一人当たり5000円以上にはなりそう。
そしてそれがそれほど美味しくない。
コストパフォーマンスが非常に悪いのだ。
兄達は恐らくそのことを知っていて、カップヌードルを買ってくるようにと言ったのだろう。
兄弟夫婦和気アイアイの食事が済んだが、未だ8時前、雨も上がっており、未だ明るいため、私はお得意のカメラを持って湖をに向った。
明日の朝も晴れるかも知れないが、とにかくこの晩と、明日の朝しかチャンスが無いから、ここは何が何でもカメラに収めておきたいところだ。
明け方4時頃に兄から電話が入り、星空がきれいだから見ろと言う。
女房と起き出して夜空を眺めた。
雨はすっかり上がり、夜空には最近見られない大粒の星が沢山きらめいている。
あまりにもはっきりす過ぎていて、どれがどの星座か良く分からないが、3人で美しいエメラルド・レイクで、満天の星をしばらく眺めていた。
そのまま私はメールチェックやらしていて夜が明けてきたため、私は再びカメラを持って湖に向かった。
昨日は見えなかった遠くの山々が見えてきて、また横にそびえる山を湖が写し、これまた素晴らしい風景だ。
やがて全員ぞろぞろとやってきたため、写真に収め、朝はホテルのモーニングサービスにしようということにうなった。
私はメイプルシロップを付けて食べるパンケーキを食べた。
これは外れることは無かった。
この日は9時半頃、昨日のガイドさんが迎えに来てコロンビア大氷原と言う大きな氷河により、カナディアンロッキーの終点となる一路ジャスパーへ向かう。