会長の部屋:予約したホテルに泊まれない!-


 バンクーバーに着いて、聴かされた第一声は・・・
「予約してあったはずのホテルに兄達も我々も全く予約されておらず、おまけにバンクーバーはメチャ混んでおり、他のホテル探しに大分苦労し半日もかかって探し回ったのだとのこと。
 兄はバンコクから、私は日本からそれぞれ別々に5月中には予約し、それぞれ払い込みも終わっており、ネットの旅行会社からも予約の確認メールも入っていたにも拘らず、そのホテルには兄、私のどちらの予約とも入ってないとのことだった。
 最終的に、第一日目はバンクーバーのメイン道路にある他のホテルに兄達も3人、我々も3人同部屋、それもそれぞれ別のホテルに泊まり、次の二日は同じホテルでそれぞれ別々の部屋が確保できた。
 
 旅行の初日から”トランジットESTA問題”、そして”ホテル予約なし”問題というハプニングが連発され、行く末が案じられたが、とにかく無事にバンクーバーで兄弟夫婦・姉、そして兄の息子の”兄弟集団6人”が一堂に介し初日のディナーは美味しいという韓国レストランの焼肉料理から始まった。
 
 このホテル予約なし問題は、結局日本に戻って3日後まで引きづった。
 旅行社が、このホテルと全く連絡が取れなかったというのである。
 私にとっては、世界的に有名なこのネット旅行社が契約しているホテルと2週間近く全く連絡が取れないなどということは考えられないため旅行中、その返金問題でイヤーなメールのやり取りをし続けることになった。
 メールはWi-Fiを定額で使えるというセットを羽田でレンタルして行き、ほぼこの装置でカバーできた。
 ロッキーの山のホテルではWi-Fi使用料が5000円などという法外なところもあり、自前で用意して行くのが正解であった。

 最初泊まったホテルは急遽確保したにしては結構名の知れたホテルであり、内容もそれなりか?と期待したが色々問題があった。
 バス・トイレの浴槽はあったが栓が無いため湯船にお湯を張れない。
 またシャワーは上部に固定式でジャバラのホ―スが付いていないため不便。
 しかし、トラブル”百戦錬磨”の私にはその位の問題は全く意に介さない。
 備え付けのタオルをその排水口に押し込み、お湯を溜めて旅の疲れを癒した。
 松本の姉は、自分のノウハウである”海外旅行には洗面器”だと100円ショップの洗面器を持って行き、これにお湯を汲んで体にかけシャワー代わりにできたと自慢していた。
 このシャワーについてはカナダ滞在の2週間の間、殆どのホテルで固定式でホースは無かったため、シャワー党の姉はずっと洗面器を使ったようだ。
 また、トイレのタンクの中のパッキンがヘタっており、水が水槽に溜まらないため、用足しの後の水がジャーと流れない・・・と云う問題も発生、これも私は、湯船に溜まった湯を、その洗面器3杯から4杯便器に流し込むと、きれいに流れるという対応策を取り事なきを得た。
 とにかく海外でのトラブルは、できればカッコよく呼びつけて対応させたいところであるが、私のへぼ英語力ではおぼつかない。また他の国では何度も経験しているが、日本のようにすぐ来て丁寧に対応してくれないことも多いのだ。
 こんな場合は、”持てる知恵を使って切り抜ける”ことが大事だ。
 
 以前タイ滞在時に、1日2000円以下で朝食付きというメチャ安いホテルに泊まった時は、冷房が効きすぎて眠れず、冷房を止めると蚊に刺されて、これまた眠れない。冷房の調節は調節のノブの部分が無く、指では回すことができない。
 そこで私はペンチを買い、このペンチで微調整をして切り抜けた。
 
 中小零細企業の社長は、とにかく様々な問題に直面しするが、とにかくそこから逃げることは出来ない。
 現在のような全く不透明で、いつ何が起きるか分からないような時代に会社を維持し続けるには、それこそ知恵と工夫で乗り切るということが絶対必要条件となる。

 また今回は車椅子を運ぶという問題があったため、持って行く荷物は最小限にしようと、洗面用品は絞りに絞った。
 そうしたら、今回宿泊したカナダの全てのホテルには、日本では当たり前、中国でもタイでも殆どのホテルが備え付けているハミガキとかヘアブラシとかヒゲソリと云ったインフラが全くない。こちらは姉に余分な歯ブラシをもらったり、持って行ったものでどうにか間に合わせた。
 
 翌朝は、みんなで街へ朝食に出かけた。
 最初に入ったレストランで外のテラス席に座ったが、いくら待っても注文を取りに来ない。
 とりあえず水やメニューを出して客を逃がさないような努力をしようというような様子も見えない。
 中を覗くと、客が満載で対応ができないようなため、「こりゃダメだ!」と判断し、6人ぞろぞろと別のレストランを探した。

 気候は日本と違い非常に涼しくさわやかで快適であった。
 緯度的には日本で言うと樺太位のため、夏でもそんなに暑くなく冬は暖流の関係で暖かいというから、ここは誰でも住みたくなる理由が分かるような気がする。
 しばらく歩いて結構盛っているパン屋さんが見つかり、ここで食べようということになったが、結局、このパン屋さんは日本人の店員も居て当たりであった。
 どのパンを食べても非常に美味しかった。
 
 旅行に行き、確かに景色とか観光は大事であるが、基本的に大事なことは”食事”では無いか?と思う。
 最初バンクーバーに来て、韓国料理の焼肉レストランと、朝のパン屋さんでの食事はかなり良い印象であったが、それがカナダの標準ではないことが、徐々に分かって行く。
 カナダはフランス系の人が多いと聞いていたため、私は食事はかなりイケるのではないか?と思って期待していたが、ここは以前イギリス領だったということで、ニュージーランドやオーストラリアと同様、基本的には食事はそれほど美味しくはない。
 軽いモノは殆どハムやチーズを挟んだサンドイッチが多いが、これが見た目ど美味しくない。
 これは、中国のパンも同じで、なんでこんなに違いがあるのだろうと思う位、日本のパンとの相違がある。
 コーヒーもアイスも量こそは多いが円安の影響もあり450円から550円と決して安くない。
 最近タイや中国へ行っても日本の物価の安さは凄い・・・と感じることが多い。
 今、人手の問題、過酷な人の使い方で問題になっている「すき屋」の牛丼や「丸亀讃岐うどん」が300円位で食べられるということはこのカナダでは考えられない。
 はっきり言うと、「まずくて高い」のである。
 
 最近、ご飯の国日本がパンでも世界の先端を行っているような気がする。
 日本という国は、海外から来た言語でも文化でも食べ物でも全て創意工夫、学びながら自分のモノにして行く。  そして最終的にはその道で一番になってしまう。
 我々が手掛けるモノ造りも正にそうである。
 今、韓国や中国が日本のモノ真似だと言われているが、日本も且つては”モノ真似大国”であった。
 先進国で出来上がっているものを見様見真似、あるいは盗んで、同じモノを造ろうとした。
  しかし、それから60年、今や日本は世界に冠たる”モノ造り大国”となっている。
  今は”メイド・イン・ジャパン”は余りもてはやされてはいないが、間違いなくこれから日本国内で造るものが徐々に世界を席巻して行く。
 ・・・これは私の単なる”勘”であり期待でもある。
 この詳細は、先般電子自主出版した「2020年東京五輪開催の年にメイド・イン・ジャパンが復活する」(中小零細製造業の活用でメイド・イン・ジャパンが大復活する)という本に詳しく書かれている。
 本は殆ど売れないが、これは様々な私の体験から来る”真実の姿”であり、私の日本のモノ造りに対する”信念”でもあある。
 論理はごく単純である。
「いいモノはいい!」「いいモノは最終的には正しく評価され、必ず利用される。
 しかし、その段階や過程は様々であり、必ずしも”良いモノ”が短期間に世界中に広がるか?というとそうでもない。確かに日本だけにしか通用しないような”ガラパコス製品・商品”も多くありそうだ。
 
 ここカナダでも、初日から、日本人の眼から見た不具合、不都合、不便利がいくつも出てきたが、果たしてこれらのことがこの国の人達が、須らく認識・理解し改善して行くのかどうか?ということは全く分からない。
 そんなに”便利快適”、”気が付けば即改善”、”万遍なくリーズナブルで美味しい食べ物”・・・等々の日本の常識が、この国に本当に必要なのか?そういったものを追求する国民性が無く、「これでいい!」「これで十分だ!」とほとんどのカナダ人が思っているとしたら、この国には日本の”モノ造り”、日本の先進的な文化”は全く必要が無いのではないか?という疑問も沸いてくるのである。

 しかしここバンクーバーは、気候、街の雰囲気、店やレストランでの対応等の面では全く問題なく、素晴らしい。
 このバンクーバーでは、アメリカの映画の色んなシーンにこの街が多く使われているという。
 映画の撮影に街そのものが全面協力するためだそうだ。
 そういえば、私の好きなアメリカ映画のシーンに出てきそうな雰囲気の景色がアチコチにある。
 普通、日本では街から車を締め出し、人が安心して買い物ができるように・・・と歩行者優先で、車をチョイ置きしても直ぐ切符を切られてしまうということがあり、結果街には人が行かなくなり、シャッター商店が増え、街が衰退して行く・・・という歴史があるが、このバンクーバーも且つてはそのような政策を取ったが、直ぐに止め、逆に車を町に沢山入れる方向に転換し、それがこの街を活性化させているという。
 東京のような都会はともかく、私達が住む田舎は、全くの”車社会”となっており、ホンの三分先まで行くのにも車を使う習慣がある人達にとって、車の締め出しをした街にはまず行かない。
 大きなゆったりした駐車場があり、モノがあふれる大型ショッピングモールやスーパーに客が流れて行くのは当然の成り行きだということが、このバンクーバーの街を観て思い知らさせた。
 街の路上にはパーキングメータが取り着けてあり、1時間、あるいは2時間駐車がワンコイン、ツーコインで自由に出来るようになっている。
 
 我々はこの夢のような街を散策し、ショッピングを楽しんだ。
 私は今回このカナダ旅行のために買った今流行のミラーレスのカメラで取りまくっっていた。

 初日から、それぞれの国や街の在り様に着いて、色々と考えさせられる。

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