会長の部屋:台北にて・・・その1-

<親日的な国> 

台湾・台北は2度目である。
 前回は一泊しただけのチョイ寄りで殆ど何も分からなかったが、今回はタイに居る兄夫婦がソンクランの休みに台湾旅行をしたいということで、私もそれに便乗した。
 また当社の主要取引先の董事長等に二晩に亘り大変なご馳走をしてもらい、大いに親交を深められたし、巻線機のメーカーを訪問し、じっくり機械を見て回ったりし、公私一体、全てが仕事であり全てが遊び、結局全てが”我が人生”の私にとっては正に当を得たりの「出張旅行?」であった。

 ・・・ということで今回は色々と観て回る機会があり、台北をじっくり見聞きできた。
 大変「親日的な国」である。
 なんでも日本のいいところを学ぼうという姿勢があり、中国、韓国にも是非見習ってもらいたい国だ。
 セブンイレブンがタイのバンコク程ではないが、かなりアチコチにあり、時々ファミリーマートも見かける。
 ネットで調べると・・・・・
「人口2300万人の台湾には他社を含めて約1万店のコンビニがひしめき合っており、その密度は世界一。セブンイレブンは業界最大手に君臨し、2013年からチョコレート菓子”ビックサンダー”の販売を開始したところ、供給が追いつかないほどのブームを巻き起こしている。」
 コンビニ密度が世界一・・と云う事なのだ。
 お店に入ると、おでんコーナーがデ―ンとありビックリする。また品物もネットの言う通り日本のお菓子やらがずらっとならび、おにぎりまで売っている。
 車もトヨタ社が圧倒的に人気らしく、タクシーもトヨタ社だ。
またバイクの数が圧倒的に多く、人口2270万人に対し、バイクの数が1280万台で1.8人に一人の割合とのこと。たとえば同じくバイク天国のベトナムでも5.9人に一人という事であるから、いかにこの国のバイクの利用度が高いかが分かる。
 お店に行くと、年寄りばかりか若者も結構日本語を話すため、言葉の不便さは他の国に比べて余り感じない。
 面白いのはレジのソートに8桁の番号が打たれており、これが、2ケ月に1回、宝くじの様に抽選がありが当たり出るのだそうだ。
 これは消費税(台湾は5%)を払うことに対するサービスで、レシートは支払額の多寡とは関係なく10元でも1万元でも一枚は一枚としての効力があるとのこと。
 数字が全部あった場合は20万元(約8百万円)であり、これがなかなか当たった人が現れないと1000万元になったりし、台湾には「レシートドリーム」が広がっているとのこと。
 日本の良いところを取り入れると同時に、独自の政策を盛り込む台湾、日本もただ消費税を上げてどこへ行ってしまうのか分からないようなことをしないで、このような方法を見習って消費者還元でもすれば、多少でも消費者の購買意欲を煽ることに繋がるのではないか?

<故宮博物館> 
 故宮博物館を丸一日かけてじっくり見てきた。
 今から七、八千年前の新石器時代から宋、元,明、清の4大王朝を中心に、各時代の至宝を約65万4500点、常設展示はそのうちの約2万点に及ぶという正に中国の誇るべき遺産の数々が置かれている。
 この展示物は元々中国北京にあったモノが日本軍の侵入により疎開を繰り返し、最終的に蒋介石により安全な台北に持ち込まれ、戦後一度戻されたが、中国の内戦により再び台北に持って来られ、そのまま展示されているのがこの故宮博物館の展示物ということだ。
 そのまま北京に置かれていたら、日本軍はおそらくきちっと管理したかと思うが、文化大革命時にイスラム国の文化遺産破壊のようなことが起こっていたらどうなっていたか?と思うと結果的にこの台湾疎開は大正解であったかも知れない。

 これらの遺物や書画骨董に詳しい人であれば、何日見て回っても飽きることがないだろうが、普段全くそのようなものに興味を持たない我々は、ガイドさんの説明を聞きながらほぼ一日かけて1楷から3楷までくまなく見て回った。
 特にガイドさんから強調されたのはかの有名な親子三代に亘り掘り続けられたという清の時代の「象牙透彫雲龍文套球」という少なくとも17層、24層とも言われている象牙の球であり、あの硬い象牙をどうやって何重にもくりぬきながら形作ったかか皆目見当がつかない。これは究極の象牙細工と呼ばれている。
 
 次は昨年初めて日本に持ち込まれ展示された2品。
 一つは、やはり清の時代の作品で「肉形石」と呼ばれるどう見ても豚のばら肉ブロックの角煮であり、ホンモノそっくりにメノウに彫刻、染色されている作品だ。
 もう一つはこれまた清の時代、有名な「翆玉〈スイギョク)白菜」という、ヒスイの白の部分と緑の部分を上手く使って掘り上げた作品で王の妃の嫁入り道具とのこと。
 葉の部分にキリギリスとイナゴがおり、これは繁殖力の強い虫を拝することで”子孫繁栄”を願ってのことだという。

 たまたまタイの兄が頼んだ女性の台湾人のガイドさんは大変勉強していて説明が大変分かりやすかった。
 このガイドさんの説明で色んな事が分かった。
 殆どの製作物の色や形には様々な”意味”があるということだ。
 たとえば、丸は天を表わし、四角は地を表す。
 下方が四角で上方が丸の置物などは、天と地にへの感謝の願いというような意味となる。
 ”天と地と人で王という字となる”と云う事で王は全てを支配するということ。
 ヒョウタンが結構アチコチにあったが、これはヒョウタンの種が多いことから”子孫繁栄”を願うもの。
 桃は長寿の意味があり、蝶々も長寿を著し数が多く描かれているほど長生きできるという。黄色は皇帝の色、龍の足の本数が色々あるが、5本が皇帝、4本が僧侶、3本は平民とか決まっているようだ。
 鹿は禄に通じ豊の象徴、特に白い鹿は沢山の財を成すと言われている。
 ラーメンのどんぶりの淵のカクカク模様は縁起の良い模様とのこと。
 鯉と龍が一緒に描かれている作品が多いが、これは鯉の滝登りと龍が天に向かって飛び交う様を表わし、立身出世とか”隆運”を表している。
 
 面白いところで、こちらでは「扇子」は別れることを言い、時計は終わりを意味するものだそうだ。(掛け時計と置時計が対象で腕時計は良いとのこと)
 当社の40周年記念で、台湾のお客様にも掛け時計を送ってしまったことを後悔してみても今や遅い。

 様々な芸術品に様々な願いや思いが込められている。
 そうやって見て歩くと、私のような芸術品音痴でも、結構面白く見て回れた。

<中国は職人の国だった?>
 しかし、中国4000年の歴史とは云うが、これだけの各年代の遺物を良く歴代の皇帝が守り続けてきたものだと感心する。
 書画等には、歴代の皇帝が自分の印を押してあり、多い作品は10数個も押してあった。
 また最も分からないことは、これらの展示品は、どれをとっても職人技であり、日本の職人に負けづ劣らず素晴らしいモノが所狭しとある。
 ・・・ということは、現在商人の国となっているこの中国は実は職人の国だったのではないか?と思うのだ。
 これはかの文化大革命の時に旧文化を否定・破壊したことにより職人文化がなくなってしまったのか、それとも華僑の成功により職人の文化から商人の文化への移行が徐々に進んだのかは全く分からない。
 しかし人のDNAと云うのはそう簡単に失われることはなく、いかにして中国が清の時代からの100年余りで現在のような状態になったのかは十分研究する価値がありそうだ。

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