タイTIT社の創立20周年と兄の古稀のお祝い

先月、4月24日から5月1日までの8日間タイに行ってきた。

この4月と云う時期は、タイのお祭りソンクランのある時期で、一年の中で最も暑い時期であり、私は最初にタイに行った時が、この時期でメチャ暑くてえらい目にあったため、この時期のタイは避けてきたのだが、今回は、タイのTIT社の創立20周年記念式典と、今は息子が社長で、自分は会長となっている私の兄の70歳、古稀のお祝いのご招待ということで、行かざるを得ず、私の女房、姉、一番上の姉の連れ合いの義兄と4名で、この暑いタイへ向かった。

空港を降りると、以前のような強烈な暑さは無かったが、空港からホテルまでの、いつもは40分足らずの道が、なんだかメチャ混んでおり、結局2時間もかかって「ロイヤル クイーンズパークホテル」に辿りついた。

このホテルは、タイの中心街スクィンビットでそこそこのホテルであるが、何と言っても私の兄が住んでいるマンションに歩いて行かれる距離であり、地の利がとても良い。

タイの場合は、通りが1本違っただけで、そこまでエラク時間がかかることがあるため、このような地の利が活かせるホテルを選ぶことがとても大事である。

次の日は、会長とみんなで工場へ行った。

ここは、当社の仕事を現在は2種類ほどやってもらっており、そのうちの一種類がこれから結構大きな仕事になって行くため、この会社はセルコにとっても大変重要な位置付けになって行く。

日本人は社長、会長の他に2工場に一人ずついるだけ。殆どは、現地のベテラン作業者からピックアップされたタイ管理者が工程を見ている。

技術者は、会長、社長が考えたアイデアを出し指示すると、それこそアっという間に造り上げる。

普段の仕事は機械のメンテしかないので、時たま新しいモノが入って来ると、おもちゃを与えられた子供の様に嬉々として取組み、モノ凄い速さで造り上げてしまう。

今現在、この会社は総勢250名位で、パワーリレーのコイル専門工場がコンケンにあり、バンコクの西外れのオムノイ市に本社工場があるが、こちらのメインは車関係のコイルであり、結構巻線の難易度が高いコイルで、世界各国へ輸出している。

2011年の洪水の時は、メーカーの担当者が生産が止まっては一大事とこの工場に張り付いていたとのこと。

しかし水は工場の直ぐ際まで迫ったが、浸水はせず、ワーカーをボートで家まで迎えに行き、工場で寝泊まりさせて、全く遅滞なく生産を続けたというから、これは昔ながらの“セルコパワー”が、この異国の地にも根付いているということか?

私の兄は、元々はセルコの創立者でタイへ行く20年前まではセルコの社長をやっていたから、“何が何でもやり遂げる”と云う伝統的な“セルコの精神”は。私がセルコに入る前にこの兄達が造り上げていたものである。

4月27日が創立記念パーティーの日、この日はこの暑い中、記念ゴルフ大会が開催され、70名位の人が参加したが、ホールインワン賞には何とトヨタのレクサスだった。

結局は、誰も取れなかったが、一応賞品は賞品だった。

私は・・・と言うととにかく“池ポチャ”が多く、このホールインワン賞のショートも、きれいに池に落とした。

その後のパーティーはセルコ時代も含め、幼少からの会長の写真と解説のビデオが上映され、その後は、その会場の立地を上手く利用したレーザー光線とダンスのショーがあり、これは見事で、シルクドソレイユを思わせるような素晴らしさだった。

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脱デフレで勝つ

日経ビジネスの2014年4月7日号は「脱デフレで勝つ」というテーマであり、これはこれまでのいかに安く大量に売るか?という方向に対して、いかに高く付加価値を付けて売るか?というテーマの特集で、発想の転換のヒントとなる7つの企業を取り上げている。

①ダイソンのサイクロン掃除機 

 ダイソンは、一台平均2万円~3万円の高機能掃除機を9万円とか7万円のラインナップで売り、国内シェア10%を超えている。

ダイソンのコイルはタイの工場で当社が請負い、約1年間結構な数量を納入した。

自動化が出来る前まで・・・ということだったが、最初に見せられたサンプルコイルはいわゆるガラ巻といって、乱れた巻線でしたが、当社がきれいに巻いて見せ結局ダイソンでは、相当の金額をかけて整列巻きにしたようである。

それは別として、ダイソンは、これまでの「安く、安く!」の方向から、一転して革新的な技術を高く売ることに見事に成功している企業の代表と言える。

②米バイタミックスの7万9000円の家庭用ミキサー

普通のミキサーが1万回転のところ、このミキサーは3万7000回転し、パワーも2馬力と、日本製の3倍ある。

使っている材料も高速、高馬力に耐えうるような丈夫な特殊樹脂を用いている。

「とにかく高速かつ強力に回転し硬いモノも粉砕できるミキサー」というコンセプトで、価格のことは2の次にした戦略で、販売は好調ということである。

③米ゼネラル・エレクトリック社(GE)・・・アフターサービスの充実で高く売る戦略を考えている。

GEは製品が壊れてから直す一般的なアフターサービスではなく、製品が壊れる前に感知して直してしまう・・・というアフターサービスを目指している。

これはコマツのイントラネットサービスのパクリかと思われるサービスですが、やはり機器に通信機能やセンサー機能を付け、機器の稼働状況を収集し、故障の可能性を予測し対応するというモノです。

CEOのジェフリー・イメルト氏は「人件費の安い国を探し求める時代は終わった。これからは製造業の高度化が必要だ」と社内外に宣言し、人件費の削減だけを目的に新興国に拠点を移す方針を改める意思を示した。

この話は天下のGE社の話だけに、未だに「安さ」を求めて東南アジアをさ迷い歩く日本の多くのメーカーにとって大変重要にして貴重な話かと思う。

そうなると、これからの先進国のメーカーはとにかく革新に次ぐ革新が必要となる。

GE社は全社員にシリコンバレー精神を移植し、画期的な新製品を素早く実用化し、顧客の反応を見ながら完成度を高めるべく、社内研修を今年から始めているとの。

④オランダ フィリップス社の油を使わない調理家電「ノンフライヤー」

1台3万円という価格にもかかわらず、発売から予想の4倍となる20万台の販売が見込まれているとのこと。

フィリップス社もGE社と同じような戦略であり、通常の調理器に比べれば高いこの製品を、事前に市場調査をし、間違いなく売れると読んで投入しているとのことです。

フィリップス社も2001年、2002年と2期連続の赤字に陥ったとのこと。原因はAV機器や半導体、部品など、好不況の波が激しく価格競争に陥りやすい事業の低迷だった。

そこでジェラルド・クライスラーCEO(当時)が下した対策が、不採算分野からの撤退と、高収益事業への集中だった。

2006年に半導体事業、2012年にはテレビやオーディオ事業を売却し、医療、照明、家電の3分野に特化した。

そして「儲かりにくい事業を売却して得た資金を内部留保として溜めこまず、儲かる事業を買う原資に活用する。この好循環こそ高付加価値化できた最大の要因だ」と分析しています。

これも220兆円と云う内部留保金を溜めこむ、日本の大手企業の経営者の方々に是非、お聞かせしたい言葉である。

日本のメーカーこそ、有り余る資金は、不況の備えというような後ろ向きの用途ではなく、これまでに誰も考え付かなかったようなアイデアを出し合い、全く新しいアイデア家電製品を次々と売り出すようにすれば、日本は海外などに絶対負けない製品が出揃うはずである。

GE社は壊れる前に発見して直すと言っていますが、日本は「壊れない」モノ造りを目指したら如何かと思う。

⑤米 アイロボットのロボット掃除機「ルンバ」

シャープもロボット掃除機を発売しましたが、半年で17.3%の値崩れをしているそうです。しかしアイロボットの掃除機は4.6%しか値崩れしていないとのこと。

ロボット掃除機は日本の多くのメーカーも開発をしていましたが、結局はアイロボットのルンバに先行され、多くの市場を奪われてしまったようである。

その大きな違いは両者の研究開発への取組の違いにあったようである。

ちなみにこのアイロボットの研究開発費は売上高の13%に相当する6000万ドル(60億円)であり、トヨタ自動車の4%、パナソニックの7%などの日本の主要メーカーを大きく引き離しているとのこと。

イギリスとかアメリカとかオランダとかの大手メーカーは、既にこれから先を読んだ戦略を持って進みつつあるが、日本のメーカーはどうなっちゃってるのかな?

せっかく円安になっても、日本で造るモノが少なくなってしまっているため、海外への輸出は進まず、逆に輸入額が割高となって、貿易赤字が増大する一方である。

日本が、もっと早くからメイド・イン・ジャパンを意識し、国内にて多少高くてもホンモノのモノ造りに徹していたら、今頃、中国、ロシア、インドの富裕層から中間層までが、こぞって日本製品に群がっていたかもしれない。

 〈日本企業の事例〉 

 勿論、この特集には日本の企業も登場している。

① 安売り合戦で疲弊し赤字経営を余儀なくしていた長崎ちゃんぽんのリンガーハットが食材を国内野菜に切り替え、「餃子と共に食べると大人の一日の野菜の目標摂取量をほぼ賄える」とのうたい文句の下に価格を490円~500円に切り替え、集客を伸ばし黒字に復帰した。

 海外の食材(安いが不安あり)から、国内野菜に切り替え、安心・安全、栄養面をピーアールすることにより値上げをしても、お客が付いてきたという事例だ。

② スーパーの食品トレーメーカーの日本最大手メーカーのエフピコは、それまで増収増益を続けてきたが、昨年来の原材料の高騰により、急速に業績が悪化した。

 小松会長は、これからは高く買ってもらえるトレーを開発するため、内部留保を溜めこむのではなく、新素材研究などに資金を積極的に詰め込むとし、今まで20%程度だった独自製品比率を2016年度までに70%まで高めるとしている。

これまでの日本の経営者の殆どが、不況になるとただただお金を溜めこむというスタイルから研究開発にお金をつぎ込み、従来の経営戦略から大きく抜け出す経営者の例だ。

③ 山梨県で4店舗を展開する高級スーパーのアマノは、「安売りせず良い商品を提供し、他社と差別化することこそ、地場スーパーが生き残る道だ」と夕方4時からは、有名レストランやホテル出身のシェフ総勢70人が腕を振って最大45品目の本格的な高級総菜を惣菜バイキングとして、ずらっと並べ、多くのお客が喜んで買い求める。

 調味料も品数が豊富で高価格のモノをそろえ、全体の品目数も平均的な1店舗当たりの2万品目よりも30%多いン、2万5千品目が常時陳列されている。

 スーパーといえば、「安売り合戦」がすぐ目に浮かぶが、このスーパーは「差別化戦略」を取り70名の優秀なシェフが腕を振るって高級食材を作るということ。(立ち食い本格レストラン「俺のフレンチ」、「俺のイタリアン」を彷彿(ほうふつ)させる手法だ。)

今の日本には正にこのような戦略が求められているのかも知れない。

恐らく、この店に来るお客はこの高級総菜だけを買って帰るわけではなく、普通の食料品もついでに買って帰ることだろう。

必要なのは「ブランド」。ブランドになりうる製品を造りだすことが必要かと思う。

④ 山口県岩国市の純米大吟醸「獺祭(だっさい)」・・・旭酒造

このお酒は、米を最大77%磨いた芯の部分だけを使用し、極限まで雑味を取り除き、日本酒らしくないフルーティーな香りがするすっきりとした飲み口が受け、一本3万円でも飛ぶように売れているとのこと。

それも売れているのは日本だけではなく海外のワイン通をもうならせており、富裕層を中心に、タイ、インドネシア、エジプトの3ケ国で新たな販売を開始し現在は20ケ国で販売しているとのことである。

2014年中にはワインの本場フランスに直営店を出すようであるが、正に本物の「ブランド」になって行く。

この事例が、私が主張するメイド・イン・ジャパンのブランド戦略に最も近い戦略かと思われる。

まず、日本できちっとした他社との差別化製品を造り上げ、これを海外に売り出す。やはり新興国の富裕層がこの高いお酒を買うという構図である。

⑤ 東京世田谷で1斤3000円の高給食パン・・・イコールコンディション

これは毎日100本限定の完全予約制の食パンで、この他シナモンパン1斤3143円、バニラパン1斤4096円などと常識では考えられない値付けをし、受付開始すると、数日から1週間で予約が埋まってしまうとのこと。

このパンは小麦や水、天然酵母などの素材にこだわるのは勿論、通常の5倍近い時間をかけて発酵させているとのこと。

また工房にはモーツァルトを流し、空気清浄機を回して清潔な空気を保ち、酵母菌の済みやすい環境を整えているとのこと。

この日経ビジネスのテーマは「脱デフレで勝つ」というテーマだが、これらの事例は正に私が唱える「メイド・イン・ジャパンの復活」そのモノである。

この今回の事例で問題なのは、家電メーカーは全て海外メーカーの事例であり、いかに日本のメーカーの考え方や戦略が先進国としての方向を向かず、未だにただただ「安さ」を追い求めて、彷徨っているという事実である。

そして逆に日本のスーパーや食品関係の会社が、多少高くても、それなりの品質と魅力があれば、十分に国内でも売れ、また海外でも十分に商機があるということを示している。

日本こそ、この日本のモノ造りインフラを最大限に活かし、とにかく「良いモノ」、「壊れないモノ」、「便利快適・省エネ製品」を造り、きちっと世界一厳しい国内消費者の支持を得た上で、海外に打って出る・・・という明確な戦略を打ち出すときかと思う。

もたもたしていると、海外のメーカーが日本の中小零細の技術を使い、私の言う「メイド・イン・ジャパン」を実現し、利益を持って行かれてしまうかも知れまない。

当社もそう長くは待てない、他の優秀な中小零細企業も、恐らく独自の展開で、海外企業と始める可能性が大である。

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佐藤芳直氏講演「何のために生きるか」

佐藤芳直氏講演「何のために生きるか」(2014年4月4日 於:上田市民会館

                   上田情報ビジネス専門学校入学式

今日はS・Yワークスというコンサルタント会社の社長佐藤芳直氏の講演を聴いた。

佐藤芳直氏は、船井総研時代の有名なコンサルタントで、私も何冊か氏の本を買ったり、氏のテープを聴いたりしたこともあった。

たまたま私の学生時代の友人が、この会社の講演の講師をしており、私の本と同じようなことを佐藤氏が仰ってるということから、2月に仙台まで出かけて行って会おうとしたが、行き違いで会えずにいた。

今回、上田情報ビジネス専門学校の入学式の講演に上田に来るということで、小諸から約30分の以前に日野原重明先生の講演の時に使った取り壊し寸前(既に新しい会館が出来つつある)の上田市民会館にやってきた。

客席に座りながら、あの時、「新老人の会」東信ブランチの代表として1400人の満席の会場で、日野原先生には全く不釣合なおやじロックバンド「セルパップブラザーズ」を演奏したり、締めのご挨拶をしたりしたかと思うと、私もかなり図々しい男だなぁと我ながら思った。

佐藤氏は、34年前に船井総研に入社し、1800社のコンサルタントをしてきたということですが、この日は、ビジネス学校の入学式の講演のため、「何のために生きるか」という演題で講演が始まった。

幸せな生き方を学ぶということであるが、就職とは生き方を見つけることである。これからは75歳定年制になる可能性があるため、仕事上で幸せになれなければ、人生の幸せは有り得ない。

私は、私の会社の月曜日の朝礼で、事あるごとに言っている。

「みなさんは、たまたま縁あって、この会社に入った。しかし、会社がただの生活のための手段と思って時間から時間までおざなりにつとめて帰ってしまうような仕事をしている人は結局、人生を無駄にしてしまうことになる。

 なぜならば、人生は正に「時間」であり、その多くの時間(一日の起きている時間の2/3以上)を仕事に費やしているからです」

「仕事を、受け身や指示待ちでやっていては何も生まれない。自ら考え、自ら行動する、セルコの社名の基となっているセルフコントロールによって、積極的に仕事をすることが大事です」

「積極的に仕事をすることで、仕事も早く身に付き、失敗や成功から様々なことを学び取り、結果、仕事が楽しくなり、自分の人生そのものが充実してくるのです」

「皆さんが、仕事に喜びを持ち、仕事に生き甲斐を感じ、仕事を通じ成長をすること・・・これが私の一番の喜びです。」

そして社員は常に輝いていなければならない。“社員はシャイン(Shine)”なのです。

幸せは人それぞれということであるが、3・11の大震災時に、全世界が日本の、日本人の生き方にその「幸せ」ということを感じ取った。

今や日本は、世界の文化を引っ張っていると言ってよい。

オリンピック開催決定時に話題となった「おもてなし」は、それまでに「おもてなしスピリット」としてアメリカやヨーロッパでは既に使われていた。

「おもてなし」は英語では表現できない言葉であり、英語ではホスピタリティがこれに近いが、ホスピタリティというのは神の愛を他の人に施すことであり、おもてなしの様に何の見返りが無い行為というモノはアチラの文化には無い。

アメリカではレストランで「水をください」と言っても担当以外のウエイトレスには拒否されたり無視される。この国では、自分の担当以外のお客にサービスをするとその担当者の業務侵害となってしまうため、拒否したり、無視したりするとのこと。

日本では考えられないが、これが文化の違いと言うことだ。

また「思いやり」という言葉も英語、中国語にはない。

更に日本の江戸時代には「うかつ謝り」という言葉があり、誰かが慌てて他人にぶつかった場合、ぶつかられた方が謝る。また足を踏まれても足を踏まれた方が謝る。勿論ぶつかったり、足を踏んだ人も負けずに謝る。こんなことは他の国では全く理解できず、宇宙での出来事のようだ。

「幸せ」とは「良い人間関係を作ること」であり、「よりよい人間関係の中に、よりよい自分がある」そして、「よりよい人間関係を作ることが仕事なのである」

成功したり幸せになる人は能力ではなく、性格である。

日本人の持つ、この互助の精神、譲り合いの精神は、決して家庭や学校で学んだものではない。これは、日本という島国にして農耕民族であったという独特の環境の中で、しかも他の多くの国と異なり、山とか、岩とか大木=自然を尊び、崇めるような、極めて自然そのものが”神“というような独特の宗教観を持ち得る国民であったことに起因しています。

お話にもありました「うかつ謝り」を始め「こぶし腰浮かせ」とか「傘かしげ」等々素晴らしい「江戸しぐさ」という慣習があった日本ですが、最近は西洋文化が入り込み、車の接触事故などでは、逆に「絶対に自分の非を認めるな!謝るな!その後の補償問題で不利になるから」・・と言われます。

 私も何回か接触事故を起こした時に、後から考えると、こちらが100%責任で無いにもかかわらず、最初に謝ってしまう・・という極めて日本的な対応をしてしまいますが、これは私に備わったDNAが後から受けた教育に勝っているという私自身の例かも知れません。

 会社でもやはり、一番大事なのは「人間関係」です。当社の経営理念にはこの「調和」ということを最も高く掲げております。

 このお話の中では「成功したり幸せになる人は能力ではなく、性格である。」というくだりである。これは、能力があり、いくら好成績を上げようが、すばらしい成果を上げようが、自分がそれにより何かを得、またそのことにより周りの人々がハッピーにならなければ意味がない(調和)。・・ということかと思いますが、確かに、そのような状態を作りだす元は、その人の「性格」というか「人徳」というか能力、実力のような作為的な面を超えたところにあるのかも知れません。

命の使い方が分かった日が「立命の日」というが、佐藤氏は船井幸雄氏に入社試験の時に「お前は一体何のために働くのか」と問われたが、その答えは、「人間はみんな何かしらの役割を持って生まれてきている。」そして「その役割は働くことでしか見つからない。」

「だから人の2倍、3倍働き、1日でも早く自分の役割が分かったら、うれしくないかい?」

と言われた。

今現在も、「役割」はなかなかはっきりしないが、人間が生まれてきた役割は分かるようになった。

佐藤氏の息子さんが先天性発達障害者、知的障害者であり、この息子さんから教えられたことは、「人間は誰でも、誰かに喜ばれるために生まれて来る。」ということ・・・。

そして、「成長は人に喜ばれることによって成長する」

「仕事とは、お客や仲間に喜ばれること」

「産まれた目的は、人に喜ばれること」

「人間は一つの言葉、一つの動作、一つの表情で誰かを喜ばせることが出来た時に初めて人間となれる」

「 挨拶」「掃除」「素直」がこの学校の基本である。

「挨拶」一つでも、本気の挨拶をすることが大事。

集めた「アリガトウ」の数だけ人間は幸せになれる。

 佐藤先生のお子さんが障害児であることは、確か以前の船井のカセットでお聴きしたことがありましたが、昨日講演の中で改めてお聴きしました。

 佐藤先生の人間に対する洞察力の鋭さ、深さは、このお子さんから学ばれたことが大きいのではないか?と推測致します。

お話の中でのお子さんとの逸話には感動と共に、「人間は人に喜ばれるために生まれて来る」・・ということがスッと胸に落ちました。

そして、入社式に船井幸雄氏が言った言葉

「メモを取る」

「お見送りをする」

「手紙を書く」

という極めて簡単なことをきちっと完璧にやることである。

あいづちを打ちながらメモを取る。

分かったとは言わずに、分かったような気がしますと言え。

お見送りは、キリの良いところで切り上げること。見えなくなるまで、お見送りすると、お客に逆に気を使わせることになる。

手紙には、相手の名前を3回書く。出逢い時のエピソードを書く。最後に希望を書く。(またお会いしたい等)

これは、早速、実践したいと思いますが、手紙を書く部分は、メールを書くことで代用させて戴きます。

世界で幸せになれる人とは、誰かの利益に一生懸命の人。

「自分」のためはNG。

2011年4月の画像「広野君兄弟が福島の支援する自衛隊員に手を振り、ありがとうを連呼し続けた」・・・何の見返りもない行為を出来る国民は、日本人を置いて他にいない。私達は、自分たちを大いに誇りに思うべきだ。

日本の「おもてなし」や「おもいやり」の精神の凄さは、」この”見返り”を求めずに、只管真心からの思いを実践すること・・であると思います。

これは、全ての価値基準を“お金”屋”自分の権利”におく西洋文化とか中国文化とは全く違う世界であり、これこそが日本が世界に誇れる最大の精神的価値ではないか?と思います。

勿論西洋にも、ナイチンゲールのような無私の精神を発揮した人達がいましたが、日本では、広く一般の人達の心にそのような心があることが凄いのです。

先般、東京に物凄くきれいな虹が見えた。

虹は米国が6色、ドイツは5色、ポピ族は2色、日本は7色だが、7色と言っている国はそんなに多くない

「心が違えば、見え方が違う」

経験、環境、教育によっても違う。

船井幸雄氏に教えられたこと「素直に心のありのままに見る」それを伝えることが出来る。

協和株式会社のハイポニカ農法を見せられた。

これはガイアシンフォニーという自主上映作品の映画で有名となった野沢重雄氏のビニールハウスで、本物のトマトが一つの幹に13,000ケ生っていた。

非常に美味しい。地球上では一本で30m位、宇宙空間では無限となる。

「常識で生きるな、惰性で生きるな、常識を捨てろ」

自分の常識がドンドン広がって行く。

人間はその受容力で決まって来る。

「受け止める力」が必要となる。

 人間は常識とか、科学とかに捉われていると、“真実”が見えない。

 私の会社のホームページには「常識を疑ってみませんか?」というページがあり、そこに様々なコイルに関する常識を打ち破る技術が沢山載っている。

 通常の常識から、物事を捉えている限り、新しいモノは決して生まれない。

 先ほどの日本人の自然崇拝の話ではないが、私は、人間が万物の霊長とし、この世界の全てを知り尽くし、全てを支配できる・・・と言うような思い上がった感覚でいると思いますが、自然の叡智、自然の大きさ、自然の凄さは、私達が想像するよりも、遥か遠くにあると思っています。

 私達は自然に逆らたり、自然を侮ってはいけない・・と思います。

 以前に「地球を守るために地球を破壊しようとする人類を滅ぼしに来た」という宇宙人の映画を見ましたが、何時までたっても、化石燃料を堀り出し、原発を動かし、戦争は必要悪とするこの世の中を見ていると、正に私はこの映画が、決して空想の世界では無いような恐怖心を覚えました。

「必然、必要、ベストの理」

どんな失敗も学びのために起きる。

あらゆる出来事は、世の中に何かを教えるために起きる。

一度目:学び、2度目:教訓、3度目:警告

失敗の数だけ成功に近づく。

若いうちに失敗しなさい。

弟子はどんな言葉であっても、理解しようと努力しようとすること。

「3・11の大震災をも必然、必要ベストと言えるか?」

「あんな大変なことがあったから、私達はこんな未来を作ることができた」・・・と言うべき。

色んな出来事をただの結果で終わらせてはいけない。

全てを原因にしなければいけない。

 3・11の大震災で、多くの人達が命を落とし、多くの人達がその被害に会われました。

 これも「必要、必然。ベスト!」と言えるのか?ということで、佐藤先生は大分悩んだとのことでした。

 これを、教訓に・・というには、あまりにも、悲惨で、あまりにも多くの犠牲者が出たからです。

 しかし、先生はよくよく考えた末に「この教訓を活かし、次の時代に、未来を作って行くべきだ」と結論されたとのことです。

 日本は、先の第二次世界大戦で、壊滅的な敗戦を味わい、原爆という地球を破壊するような力を持つ兵器の実験場にされ、その後、唯一の被爆国として、不戦の誓いを立て、原爆の不使用を訴えてきました。

 また、3・11時の福島での原発事故により、未だに20数万人の方々が、自分の家に帰れずにおり、福島原発そのものの汚染水問題も、使用済み燃料問題も、何も解決しておりません。

 船井先生の「一度目:学び、2度目:教訓、3度目:警告」ということですが、戦争や原発事故は、2度、3度はありません。

 特に、“自然を尊び、自然を愛する”この国は、平和や思いやりの心を広く世界に訴え、日本人の素晴らしい叡智で、自然エネルギーで全てを賄えるようなシステムに全力を傾けることが、地球的視点というか宇宙的視点から見た、“我が国の使命”であると、私は思います。

「どうせ仕事をやっているんだから、一流になれよ」

「自分を一流だと思い込めば良い」

「立居振舞を完璧にすること」が一流。(ホテルの泊まった後をきれいにする。新幹線の背もたれ、ゴミの片づけをする等。)

「目の前の人に一生懸命喜んでもらえ」・・メモを取る、お見送りをする。

「離れている人に一生懸命喜んでもらえ」・・手紙を書く

「見ず知らずの人にも一生懸命喜んでもらう」・・道路掃除をする。

 一流の人間になることは、難しいかも知れないが、少なくとも私達は一流の人間を目指した行動をすることが大事かと思います。

人間の本気の言葉は、永遠に残る。

1時間20分の話の中で、何かを誰かの心に残せたか?

自分の命を使ったか?

終戦時の特攻攻撃がいかに英米にダメ―ジを与えたか?

アメリカが日本の恐ろしさを一番良く知っている。

自分の時間=命

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最近学んだこと

ここのところ、色んなセミナー、工場見学、講演に参加して、新しい情報を得たため、ここに皆さんに披露したい。

まずは、3月3日上田東急インで行われた、長野県中小企業振興センター主催、ジェトロ共催の」「中小企業グローバル展開戦略セミナー」である。

第一部の方で「ラオス・カンボジア経済視察団」に参加された振興センターの下條専務から報告があった。

1、国際関係

2015年には、「AEAN経済共同体」が発足し、同時にメコン流域の国をまたぐ道路整備が着々と進み、物流の効率化が図られるため、これからどこで造り、どこで売るかの選択肢が益々増加してくるであろう・・とのことであった。

2、政治・制度

政府による税制面での外資奨励が盛んであり、輸入依存から自国内生産へ二次産業へのシフトのスタート地点であり、日系企業も年々増加してきている。

しかし、行政や法運用の不透明性は、他の新興国が辿ってきた道のりと同様様々な問題が横たわり、政情は比較的安定と言われるが、最近のカンボジアは、インドネシア同様、賃上げ闘争があり、少し不安が残る。

3、市場、需要

両国とも、人口規模が小さく、労働市場、消費市場もベトナム、タイとは違う。

少しずつ、富裕層が形成され、若年層の多さもあり、今後の市場の伸びに期待。

4、コスト

 労働力や土地が安い。ワーカーの賃金は、10数年前の中国程度。

 原材料や部品、製造機械の殆どが現地調達できず輸入品頼りでコストが高い。

 特にラオスは海が無く、他国の港湾と陸路を使わざるを得ない。

 電力

 ラオス:水力発電で、周辺国と比べ、安価で供給も安定している。

 カンボジア:60%以上を輸入であり、割高で供給不安定。

 結果的には、日本とあまり変わらない。

5、人的資源

 労働スキルは、未だ低く熟練労働力が不足している。ラオスは加えて高い離職率の問題がある。

言われたことはキチンとやるが、日本人の様に厳しくすると、叱られたと思い、辞めてしまう。

 労働力は、農村部には未だ潜在労働力があるが、その数には自から限界がある。大きな工場が出来ると、途端に労働力が不足する。

仏教国で、親日的である。

このセミナーの話を聴く限り、私の主張する“チャイナプラスワン”“新・新興国”への進出は容易ではないことが解る。

賃金が安いというメリットも、絶対的な労働力が不足しているため、賃金は驚異的な勢いで高騰する可能性が高い。

また土地は安いかもしれないが、インフラ的には、殆ど自力で整備する必要があり、トータル的に見た場合、それ程メリットがあるようには思えない。

また、労働争議は、これらの国は遅かれ早かれ発生し、カンボジアのみならず、タイからラオスへ進出した日本企業がこの労働争議でどうにもならず、ホウホウノテイで、逃げ帰ったという話もある。

“離職率の高さ”と云う問題は、結局、いつまでたっても品質が安定しない・・と言うジレンマに陥る可能性が高い。

次に愛知淑徳大学の学部長、真田幸光氏の「中小企業グローバル展開戦略セミナー」という講演であった。

この先生は、かなりはっきりモノをいうタイプであり、聴き方によっては、非常に分かり易い。

結論から言って、中小零細がこれからグローバル化で、新・新興国途に出て行くことは、お薦めできない・・・とはっきり言っている。

これは、大企業とて全くの同じことであり、言葉、通貨、法律、製造基準、会計基準・・それぞれが異なり、これらが、非常に大きなリスクになることが多い。

特に、為替の問題は、全く予測がつかないリスクである。マネー経済は実体経済の20倍規模であり、いつ何時、円高になったり、円安になったりするか誰も予想がつかない。

先生のグローバル化の定義というのが面白い!

先生は、「自社の強みの製品を、一番高く評価してくれる国、企業をと取引することが、グローバル化だと言うことで、何もリスクの高い海外に出て行って、他のコストの安い企業とローコスト競争をするのがグローバル化ではない・・・と言うことだ。

自社の強みで、他社にまねができなければ、値決めも自分のペースで決められ、取引も有利に展開できる。

日本に居ながらにして=雇用を守りながら、世界に売って(打って)出、外貨を稼ぐのが、また、あまり大量品を狙わず、少量多品種、高付加価値の製品を売ることが、これからの日本の中堅・中小企業にとって一番良い方向ではないか?としている。

日本が特に強いモノは

「インフラ輸出、核心部品、高度素材、製造装置、世界富裕層に対する高度耐久消費財の生産・販売、各地進出による各地耐久消費財の生産・販売、メンテナンス・アフタ―ケア」の分野とのことである。

先生のプリント中で、赤字で書かれた部分に大変良い“お言葉”があったので、紹介しておく。

「キーワードは、とにかく自力再生!」

「人にはできない力量、=無形資産=に究極の価値を見出し、人に頼りにされながら、社会のお役に立ちながら、胸を張って生きて行こう!」

「日本の製品や技術は今までのままで十分に凄い!世界に通用する。だからこそ、当面は技術輸出や人材の海外派遣による外貨獲得の可能性も模索すべき。」

海外展示会参加のコツ

「その業界で世界最大の展示会に参加すること」

「参加企業のリストアップをし、行く前にパワーポイントを作り、その企業に送り込んでおいてから、参加する、勿論、ミーティングのセットアップを事前にしておく→先手必勝!」

3月10日には長野テクノ財団、ア様テクノポリス地域センター主催で、「コマツ 小山工場 見学会」に参加した。

この会社は、世界中に売っている会社であるが、この販売比率は、見事である。

日本、北米が筆頭で各17%、中南米15%、アジア13%、オセアニア12%、中国7%、欧州、アフリカ各6%、その他7%と、世界中に万遍なく売っている。

売る地域で、車体は造り、社員の58%が外国人ということで、まぎれもないグローバル企業である。

しかし、この会社の“モノ造り”の基本は全くブレていない。

日本をマザー工場と位置づけ、開発と生産化の一体化を図り、日本での生産を非常に重要視している。

工場長が、「協力工場の実力の高さによる日本一極調達」・・・ということを仰ったが、日本国内に於けるモノ造りを中心として、各国の工場の面倒を見るとのことである。

改善活動が盛んで、1991年に200件そこそこであった提案件数は、今年は3265件に昇り、累計で約16万件となっているとのこと。

1月300件近く出される提案のうち、工場長審査に残るのは20件位とのこと。

但し、各提案には、きちっと回答を出すようなシステムが構築されているとのこと。最近は、特に”安全“に関する提案を奨励し、効果が出ているとのこと。

「海外の提案活動はどうか?」と私が質問したところ、「海外もやっているが、レベルはそれぞれです」との答え。

海外では、日本の様に従業員からの提案は、あまり望めないのではないか?というのが私の見解である。

この小山工場は、エンジンと、油圧機器の工場であり、この双方の工場を見せて貰ったが、4000名弱とのことだが、日本で久しぶりに、モノをガンガン造っている工場を見た。

1日に平均でも2組は来るという見学ツアーの担当の女性の慣れた説明を聴きながら、工場を見て回ったが、大体の概要は分かるが、詳しくは分からない。

とにかく、大型から小型の建機のエンジンや、シリンダーが、次々に完成品に向かって動いている様は圧巻であった。

生産技術は100名、外部指導は、以前にトヨタの改善を指導されたが、今現在は自社で独自でやっているとのこと。

“ダントツ品質”を目指し、工程にも、様々な工夫を凝らして品質を守り、安全を守る姿勢が随所に見られた。

技能検定があり、全員ではないが、かなりの人が技能検定者としちぇ名前が貼り出されていた。

その中に、指導員、世話人の資格を持つ人がおり、この人達が、新人や外国人の指導に当たるとのこと。

また、社内で年一の「技能オリンピック」があり、「ビギナー技能」、「一般技能」、「熟練技能」、「高度熟練技能」の4つのレベル技能を競う。

建機は、原則として2.5屯以下は電動、それ以上は油圧方式となる。

コムテックスという、独自の通信システムを使い、自動運転トラック等を動かし、24時間稼働とかも可能にし、稼働率の向上に強力なツールとなっている。

私も、今回の「2020年 東京五輪の年にメイド・イン・ジャパンが復活する(下巻)」で、このコマツを取り上げているが、トヨタを始め日本で強い会社は、日本での”モノ造り“を中心として、世界に展開しているというこの重要なポイントの確認をしたくて、今回このツアーに参加したが、間違いなく、この会社も”本物のモノ造り“を熟知し、実行している会社であった。

次の日は、先般のセミナーと同じく、上田市の東急インでキヤノン電子の坂巻久社長の講演があり、こちらも参加した。

坂巻社長の声が、非常に聞き取りにくく、耳を澄ましていたが、半分以上は聞き取れなかった。

プリントがあったので、こちらを中心に展開する。

今後の製造業にとって世界で勝ち抜くには

① すり合わせの技術を持つ→デキタルとアナログ技術のすり合わせ。

② 高度な機械的な機構を持つ→自動化、半自動化の推進。

③ 製造ノウハウを外部流出させない→製造装置は」出さない、見せない。

④ 高付加価値製品(製造コストが見えないようにする)。

⑤ 自社のコア技術力を発揮できる成長市場へ。

その他、

選択と集中→選択したら、長く持続して集中させる。

目標の明確化→小泉元首相の様に短い単語で周知徹底する。

経常利益は15%を目標とする。

物流コストの低減 現在は売り上げの0.75%。

モノ造りは決して学歴ではない キヤノン電子では、中卒、高卒の人が活躍。

社員には、自主的に自分自身で考えさせる

提案を出させ、やらせる→提案は決して拒否しないこと。

1/2のルール→コストは半分にすることを目標とする。無駄をなくす。

日本回帰をする場合は、早くやる→円安(103円~106円)が6年位は続きそう。

新規事業を始めた時が会社の危機となり易い。

キヤノンが50%国内回帰をし、国内調達を増やす。→長野県を中心に調査中。

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