高密度圧縮成型モータ用コイル

「高密度コイルのセルコ」として、この10数年、当社は他社とは違う方向を向いて、とにかくコイルの高占積率を狙った巻線技術を追求してきた。

最初それは丸線から始まった。
半導体メーカーに売り込みに行ったら、「丸線でも角線でも構わないから占積率(被膜込み)が90%以上のコイルが欲しい・・・と言われ必死になって巻線したが、どう頑張っても85%位止まりであり、それ以上は巻線のみでは不可能ということが分かった。
ここで諦めれば、この受注は取れない!
・・・と云うことで、「押してはいけない」、「潰してはいけない」というコイル業界のタブーを破り、コイルを占積率96%迄圧縮し得意先に持ち込んだ。
結局92%程度で良いということになり、その後10年以上、全く問題なく、この高密度コイルは半導体の露光装置用ステッパーに使われ続けている。
今回の「高密度圧縮成型コイル」の技術は、この高密度コイルの延長線上にある技術であり、モーターコイルの段付き状態の形を圧縮成型し、モーターコアを全てコイルで埋め尽くすためにそれぞれのコイルを精度よく成型すると云う画期的な技術である。(別欄「高密度圧縮成形コイル」参照)
当社は、現在補助金がらみでこのコイルの自動化を進めており、近い将来、この技術の量産化に備えている。

また、更に占積率100%を狙いたいという人は、やはり「平角α段付き積層湾曲コイルのアッセンブリー技術」をお勧めしたい。
コイルの占積率を語る時、これは「平角α巻き」しかない。
但し、このコイルは2層しか巻けない。
多層巻にするためには、コイルの巻始め、巻終わりをそれぞれつなぎ合わせる必要がある。
またコアに隙間なくコイルを埋め込むためにはこのコイルを段付きに積層し、湾曲させる必要がある。これは手がかかり大変ではあるが、最終的にはどこかのメーカーで採用される可能性があると思っている。

今のところ私はコスト含め、丸線を「高密度圧縮成型」したコイルがお奨めである。
占積率は、その仕様=線径、巻数、コイル形状等の諸条件との兼ね合いで、どこまで圧縮できるか?を被膜の耐圧レベルを考慮しながら検討する必要がある。
占積率は92%~96%位までの間と考えて戴きたい。

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日野原先生ご逝去

 105歳の聖路加病院名誉医院長、そして「新老人の会」の会長の日野原重明先生が昨朝亡くなられました。
 数年前にお会いした時のご様子からは、このまま110歳、120歳と歳を重ねられるのではないか?と思うほどお元気でしたが、最近は車椅子を使い入院されたりしているというお話もあり、ちょっと気にはかかっておりました。
 私はその「新老人の会」信州支部東信ブランチの代表として、3年前に先生を上田市の旧市民会館にお招きし、講演会を開催しました。
 1400人の超満員の講演で大盛況の裡に終わりましたが、終わった後、上田駅までお送りし、たまたま先生と駅のベンチで二人きりになる場面があり、私も間を待たせるために、「お疲れでしょう!?」と一般的な会話を持ちかけましたが、その時、先生は毅然として「疲れていない!」と仰って、私にスケジュール帳を見せてくれました。
 そのスケジュール帳には、殆ど毎日、あちらで講演、こちらで講演・・・とスケジュールがいっぱいでした。
 私はその時思いました。
「この方は、恐らくこのスケジュールによって生かされている部分があるのではないか?」と・・・。
 一般に歳を取ると、何もやることがなくなり、周りも「年寄りだから、そっとしとこう・・」と、考えるかと思うが、この先生を見ている限り、その様な考えは全く当てはまらない。
 自分の「命をとことん使いきってやる!」というような迫力がそこにあった。
 確か、上田講演の前後くらいで、新たにフィスブックを始められ、「新老人の会」のフェイスブックはかなり賑わっていた。
 我々のブランチでも、会員にスマホやタブレットの講習会を開いたりして教えた記憶がある。

 上田の講演の思い出をもう少し話すと・・・・
この講演の際、私はこの日野原先生のアトラクションで、何と例の「おやじバンド」をやってのけたのである。
はっきり言って、日野原先生はクラシック派であり、各地で行われる先生の講演のアトラクションは「合唱」というのが定番であり、私がおやじバンドをやると言い出したら、東京の本部からはかなりの抵抗があり、仲間内からも批判の声が上がったが、私はこれは「一世一代」のチャンスと思い、黒装束にサングラス、皮パンツスタイルで、「中小零細Q.C.D.」を歌いあげた。
最初は一応帽子もサングラスも取り、普通のオッサンの顔で登場し、「新老人の会」東信ブランチの代表であることを告げ、これがこうなるンです・・と言いながら帽子とサングラスをかけ「イェー!」とやったら、会場からはどっと来た。
そして、そのままロックを歌いまくった。
NHKテレビの生番組で歌ったことはあるが、1400名というこんなに大勢の人の前では、まず歌うことはない。これは日野原先生のお陰・・・というよりも殆ど強引に出張ったということである。
実を言うと、私は日野原先生の意に反したことをやるに当たり、「新老人の会破門!」を覚悟でこのイベントに臨んでいたが、結局、何のお咎めもなく、却って先生も大変喜んでいたという話も聞いた。
打ち上げの挨拶の際にも、こんなに楽しい講演会はなかった・・と言っておられたから、良くとらえれば、私の歌が受けたのかもしれない。(うぬぼれ?!)
 
 日野原先生は、常に命の大切さを説き、戦争の放棄を訴えていた。
 未だにアチコチでテロが起きたり、戦争の可能性あるため、それに備えるべきだとの動きがあるが、日野原先生が望まれたのは、間違いなく「永久平和」であったと思う。
 その昔でいえば「長老」のお言葉である。
 私達は、長老のお言葉に従い「永久平和」を目指した国家を築き上げて行く必要があるのである。
 長年にして多くの人々に大きな影響を与え、大きな精神的な遺産を残された日野原先生!
 どうか安らかにお眠りください!

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華為技術(ファーウェイ)が日本でスマホ生産

「情報から支払いまで全てが集約され重要な役割を担う機器=スマホは品質確保のため日本で造るべきだ」・・・と私は常々訴えて来たが、富士通が造っているという話の他には、どこも手を出そうとしなかった。
 ところが先日、日経の一面に華為(ファーウェイ)が千葉に50億円かけてスマホの生産工場建設の記事が流れた。
 この会社は以前から横浜に研究所があり、当社にも以前アクセスがあった。
 主要部品の4割は日本の部品メーカー製と言われているスマホを日本で、日本の最先端ロボット技術と生産技術、品質管理を駆使して造る。そしてもしこの会社が日本の中小の部品を使ったら本物のメイド・イン・ジャパンとなるが、この辺は、富士通も華為も詳細は分からない。
 しかし、この華為の経営者が、そこまで日本製にこだわった時は、逆に恐ろしいことが起きてしまう。
 日本のメーカーが忘れてしまった本物のメイド・イン・ジャパンが中国の企業によって成し遂げられるということになるからだ。
 私はこれまで、日本のモノ造りに関してずっと叫び続けて来た。
「日本のモノ造りはピカイチである。」「日本人は縄文の昔から受け継がれてきた素晴らしいDNAがあり、これは絶対に他の国には追随できない。」
 その根源の一部をなすものが、我々中小零細企業(いわゆる”下請け“)が造る違わぬ寸法精度を常に守り続ける”部品“なのである。
 このすばらしい部品を欠いた日本メーカーのモノ造りは結局、衰退の一途を辿るしかなかった。
 プラスチック成型品にしても、プレス部品にしても、もちろんコイルにしても、バラつきのない部品を組み立ててこそ、間違いのない、壊れない製品が出来上がるということを、日本のメーカーはもう一度認識すべきである。
 中国のメーカーに先を越されないうちに・・・・。

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卓球王国日本

  スポーツの中で私が唯一かじったスポーツは卓球である。

6月4日、ドイツで行われた卓球の世界選手権ミックスダブルス決勝で混合ダブルスで吉村真晴(23)&石川佳純(24)組が48年ぶりの金メダルを獲得した。

 以前日本は「卓球王国日本」として世界に君臨していた。

 私は中学時代から高校卒業までは卓球をやっており、性格がとにかく「象のしっぽよりニワトリの頭」の私は、勿論主将として頑張った。

 特に、高校1年生の時に県体に出場した・・と云うのが私の金字塔である。

 私の入った高校は勉強も運動も中途半端な学校であり、スポーツも殆ど鳴かず飛ばず状態で何かで名を轟かすようなことはまずなかった。

 卓球も、はっきり言って三流高であり、私が一年生で入った時も確か誰も県体に行った部員はいなかった。

 そんな卓球部で卓球をやったが、スポーツでも音楽でも「良き指導者」がいるかどうかで、その才能が伸びるかどうかが決まるが、とにかく中途半端な学校であり、先生も先輩もそこそこで指導もそこそこだった。

 私は兄が他の結構レベルの高い学校のマネージャーをやっており、時折その学校へ行って指導してもらったりしていたが、一年生にして2年生、3年生にも勝ってしまうくらいのレベルになった。

 私の一番の練習は家の車庫に置いてあった卓球台での一人練習であり、一人でできる練習と云えば、サーブの練習である。

 私はサーブの特訓をするうちに、同じフォームで3種類の球質のサーブを出せるようになった。

 そして晴れの県体をかけた地域の大会である。

 1回戦、2回戦と勝ち進み、3回戦、いよいよ県体出場をかけての試合となった。

 たまたま相手チームの選手達の傍にいたらその相手の選手は3年生だったために、私が未だ1年生ということで、既に勝ったような雰囲気である。

「おめでとう!」とか仲間に言われてまんざらでもない顔をしている相手選手を見て、内心「これは行けそう!」と思った。

 試合が始まった。

 最近は11本勝負7セットマッチだが、昔は21本勝負、3セットマッチだった。

 私は1セット目は、例の同じフォームで3種類のサーブのうち、一番オーソドックスな下に切るサーブのみを出した。

 相手はすぐにそのサーブには慣れ、1セット目は簡単に取られた。

 勝負は2セット目である。

 今度は、同じフォームで全く逆の上に切ったサーブを繰り出した。

 相手は1セット目と同じサーブだと思ってレシーブするため一向に返せない。

 その内に、完全に自分のリズムを崩してしまい、結局2セット、3セット目を私が連取して、何と一年生の私が県体出場トなったのであった。 

なぜこんなに詳しく私の高校生の頃に卓球の思い出を語ったか?というと、

卓球という競技は、非常にメンタルな競技であり、ひょんなことから間違いなく技術差があっても、こちらが調子の波に乗り、相手が意表をつかれてリズムを崩したりすると、そのまま進行してゲームセットになることもある競技であるということを皆さんに知ってもらいたいからだ。

テニスもかなりメンタルなスポーツだが、コートが狭い分、球が素早く返ってくる分、メンタルの要素がかなり強いスポーツとなる。 

・・・・・ということで、何も今回の日本選手の快挙は、ただ日本選手が調子に乗った、そして相手選手が戸惑ったというレベルではないことは確かであるが、特に若者の活躍を見ていると実力と共に多少その傾向もあるのかな?とも思えてくる。

 しかし、私がやっていた頃の卓球と、今の卓球のレベルの違いはあまりにも違いすぎる。

 恐らくあの頃の私では、今の選手が放つサーブを始め、殆どの球は取れないかと思う。50年前から卓球はかなりの進化を遂げている。

 あの球の切れ具合から、早さ、角度等々、まるっきり違う。

優勝した吉村、石川組のその他の選手も凄い活躍をしたが、やはり中国の壁は厚く、そう簡単には卓球王国復活とはいかない。

ただ昨年と今年では日本選手のレベルがかなり上がっていることは間違いない。

水谷選手を破った張本選手とか中国の女子チャンピオン丁寧選手に勝ったこともある平野美宇選手、伊藤美誠選手の成長ぶりは見事というしかない。

それにしても、中国の選手同士の決勝戦は凄かった。

 2連覇を狙うチャンプのマ・リュウに対して挑戦するハン・シントウは互角に戦い、劣勢を挽回しラストゲームへともつれこんだ。

 お互いの繰り出すサーブも凄い。

 ハン・シントウは手首を使った見るからに切れの鋭いサーブで、戻った第三球を狙う。一方マ・リュウの方は、ロングサーブを出してくる。

 私のつたない卓球経験からでも、ロングサーブというのは緊張すると台の外に飛び出てしまう確立が高いため、大事な場面ではなかなか出せないはずであるが、マ・リュウはこれを連続して繰り出して行く。

 双方共に定番となったチキータが出る。

 この猛回転して来るボールを打ち返す。

 ループと云ってフォアハンドで下の方から上にこすり上げるボールもメチャ凄いが、それを更に打ち返す。

 台に当たった横回転のボールはどう見ても横に弾いて行くが、これもものともせずに捉える。

 決まるボールは、極端に角度が付いたボールで、どうやってもラケットが届かないところに飛んでいったボールが多い。

 そんな凄い二人の卓球が、もつれもつれて最後の最後まで行ったため、否が応でも会場は盛り上がった。

 勿論、私も一人でテレビを見ながら盛り上がった。

 尤も、私は前日の夜のテレビ中継を録画して早朝に一人で見ているのではあったが・・・・。

 先般も大相撲の話の時にも言ったが、とにかく最近の日本の若い選手は凄い。

 このような超人的な中国の選手に対し、堂々と立ち向かい、一セットでも取ったりするのだから・・・・。

 しかし、私はこの卓球における「中国の壁」は未だ未だ厚く、これを打ち破るのは時間もかかり、容易ではないと思う。

 それでも女子の方がちょっと早そうだ。

 卓球王国・・・日本の復活! 私が生きている間に見たいもんだ。

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