昇先生語録

佐久の「笑い学会」主催の講演会のため、昇幹夫先生が佐久にやって来た。

 お昼はいつもの「やまへい」のクルミソバとアカシアの花の天ぷらということになっていたが、佐久の柳田市長との会食があるとのことで残念ながらキャンセルとなった。
 翌日はこれまた定宿となった佐久ホテルでの「朝食会」で、先生の新しいネタを色々と仕入れたため、皆さんにもおすそ分けしたい。

情報
① 玄米ヨーグルト
玄米の粒一握り(30粒位)を器に入れ、そこに豆乳を入れ、常温で(器をその辺い起きとくだけ)一晩置くだけで、ヨーグルトができる。
 玄米についている乳酸菌が発酵して豆乳がユーグルトになるというのだ。
 →これは簡単!早速当日やってみたら、次の日の朝、固まってはいなかったが、ヨーグルトっぽい味がした。
 翌日は感激!ちょっと茶色っぽいところもあるが、ちゃんと固まったヨーグルトになった。
 これはある主婦が思いついてやってみたらできちゃった!と言うことだ、
 本当に楽で良い。
 
② トヨタのイプサム(7人乗り乗用車)の開発の狙い
 この車は2009年12月に生産を中止している車だが、この車の開発に当たって、これから少子高齢化に向かい、小学生宛にDMを出したのだという。
小学生一人に付き、両親、父方の両親(おじいさん、おばあさん)と母方の両親(おじいさん、おばあさん)を併せると7人になるため、7人乗りで、その発信元となる小学生にDMを出したのだという。
 物事の“視点”によって、おじいさんの一人乗りの車もあるが、7人乗りの発想で、子供にDMを出すという発想はなかなかないかと思う。

③日本産のコーヒー豆
 地球温暖化の影響で鹿児島県「沖永良部島(オキノエラブジマ)」で、5年かけてコーヒー豆の栽培に成功したとのことです。日本の国産コーヒーです。アボガドとかも採れるようになったようだ。

④ 医療がトヨタを超える
 世界中で糖尿病患者が増え、日本の「糖尿病治療センター」がこれから脚光を浴び、痛くない針とか電子カルテとか運動用器具とかの輸出高が18兆円のトヨタを超える可能性があると言われているとのこと。

⑤ 世界で最も貧乏な大統領 ウルグアイ大統領 ホセ・ムヒカ 
ムヒカ大統領は自分の資産の80%を寄付し、郊外の質素な住宅に暮らしている。 給与の大部分を財団や政府などに寄付し月1000ドル強で生活するしているという
「貧乏なひととは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」

⑥ 村八分の意味
 むらはちぶ【村八分】とは江戸時代以降、村落で行われた私的 制裁。村のおきてに従わない者に対し、村民全体が申し合わせて、その家と絶交する ことであり、八分とは、「冠」「婚」「建築」「病気」「水害」「旅」「出産」「年回忌」を指します。(こここでの「冠」は元服のことで、今でいう成人式のこと)であり、これらのことは仲間に入れない、無視をされますが、後の二分は葬式と火事であり、これはみんなが協力するということのようだ。
 あなたは知ってましたか?

⑦ 国旗、国歌に関する法律の制定は、明治、大正、昭和、平成の時代のどちらでしょう?
 こと絵は何と平成11年、1999年、小渕内閣の時に「国歌国旗法」が正式に成立したのだそうだ。
 それまでは、「日の丸、君が代が国旗国歌であると定めた法律は無く、正式な国旗国歌でないのだから、掲揚も斉唱もしなくて良い」というどうりではあったが、誰も当たり前と思って国旗掲揚したり、国家を歌っていたため、そのような法律は必要がなかったのが、日教組の教師が君が代の斉唱を拒んだことに端を発し、これを法律で定める必要が生じたということだ。
 なお国旗は、鎖国していた日本には必要なく、ペリーの黒船来航の時に慌ててできたという話。
 また君が代の君は目上の人を表し、天皇陛下を指すものではなく、結婚式で歌われていた歌だということ。

⑧ 名字の読み方
 目・・・と書いて「サガン」さん その心は? 眼の左側にある文字
 横一・・と書いて「ニノマエ」さん その心は? 2の前だから

⑨ 学校では近代史を教えない
 アメリカで「真珠湾攻撃」の話が出たとき、日本の学生は三重県の「真珠湾」と思ったという。
 また、ゆとり教育では、日本の県の名前は、3県知っていればいいということになっており、現在のその時代に育った教師は県の所在地などが明確に分からない人が多いとのこと。特に関西の方では、関東の3県(茨城、栃木、埼玉)についてはどこが何県か?分からないとのこと。
⑩ 信州の「信濃の国」は優れもの!
 県歌があるには長野県だけ、「信濃の国」は地名や山、川、谷、歴史や人物等、信州の全てを網羅した歌であり、長野県の誇りとなる歌である。

⑪ 朝日建材事件
 キリスト教徒の人が言った。
「悔い(杭)改めなさい!」

⑫ 健康平均年齢
 男72歳、女75歳 先生の高校の同窓生は220人中33人亡くなっている。仕事を持っている人が一番健康で長生き・・生涯現役を目指せ!
 
⑬ あ、い、う、え、おの人生
 あ・・・会いたい人に会い
 い・・・言いたいことをいい
 う・・・歌いたい歌を歌い
 え・・・遠慮せず(笑顔での方がいいという人もいます)
 お・・・美味しいものを食べる

⑭ 一番よく効くやせ薬
  「抗がん剤」です。

⑮ 人間の脳
 「海馬」には一度聴いたり経験したことは1週間は残っている。何回も人に行ったりすることで、これが永久保存になる。
 昇先生の場合は、同じ事を講演や人に何度もいうことにより、様々な事柄が永久保存となっているということか?
 後は感動したり、ビックリしたりしたことは瞬間に永久保存となるとのことです。

⑯ 若かりし時の奥さんのネックレスがお守り?
 旦那さんのポケットに、ネックレスが忍ばせてあるのを見つけた奥さん。「貴女!これは一体何よ!?」と迫った。
 旦那は答えた。
 「これはお前が若い時にしていたネックレスで、今はお守りだよ!」
 奥さん「今の私の首にはとても入りそうもないこのネックレスが何でお守りなの?」
 旦那「首にできないんだよ」!!!???

⑰ 養殖技術
 近畿大学のマグロの養殖が有名だが、最近ではフグの養殖もできるようになり、フグの毒は毒の海藻を食べることによって出来ることから、毒のないフグができるようになったとのこと。
 その他、ヒラメやアワビ、サンマまで養殖できるようになってきたとのこと。

⑱ ナノバルブ=ウルトラファインバブル(NHKサイエンスゼロより)
「直径10億分の1mという、ナノサイズの泡に注目が集まっている。水揚げした魚をこの泡の入った水に10分間つければ、刺身の賞味期限がのびる。また、養殖魚や農作物の成長が促進。さらには環境に優しい洗浄水や、医療分野では細菌やウイルスの破壊に利用されるなど、応用が広がっている。秘密は気体の種類を自在に変えられること。国の試算では将来的に経済効果は10兆円以上という日本発の極小の泡。

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週間現代にセルコの記事が載った

 先般、取材があり週刊現代が「下町ロケット」を地で行く中小零細製造業の取材ということで応じたが、その記事が本日発売の「週刊現代」に載った。私としては、いつも言う「日本のモノ造り」の神髄は「中小零細製造業の部品にあり」を強調したかったが、記事としては、生々しい大企業による「技術盗み」の話等が中心となる。

 昨日のドラマの方は、「ロケット編の最終回」で、巨大な大企業の圧力に負けずに初の国産ロケットの重要部品であるバルブを、特許を売ったり、使用料で技術を貸し出すのではなく、自社で製造しそれをこのロケットに乗せ打ち上げを成功させるという物語である。 これはあくまでもドラマ、フィクションの世界の話であり、帝国重工の財前部長のような会社の大きい小さいではなく、その技術力をきちっと評価してくれるような人は、我々にとっては願ってもない人物像である。

 尤も、今の当社に来られるお客様は、殆ど当社の技術力を評価した上で来られるため、最近はあまりこの手の大きなトラブルはないが、対象がもっと大きく深刻な特許を巡る争いになれば、どうなるか?は分からない。

 一般的に中小零細は、ある程度の大きな仕事になると、上手く行かないと経営が傾くとか、仕事が無くなってしまうという危機感が常にある。特に社長は借金の担保は勿論、全ての借入の連帯保証となっているため、もしものことがあれば、家も財産も全て失ってしまうという断崖絶壁に立ってモノ造りをしている。  我々のモノ造りは、どんなに時間がかかろうが顧客の仕様に入らない場合は請求ができない。代金がもらえなければ、給料やその他の支払いに即、影響が出るため、何が何でも受けた仕事はやり遂げる必要があるのだ。  

 今回の下町ロケットは、“社長の夢”を強調していたが、現実的には、我々は“ハングリー精神”がまず根底にあり、それらがどうにかなると、”夢“とか”意地“とか”理想・理念“の問題となって行く。  それにしても、私が7年前に作った歌の詞は、我ながら上手い表現をしていると思う。     

  「中小零細Q.C.D.」 Songs by セルパップ・ブラザーズ   

    ♬ 中小零細は大変     昼もない 夜もない 休めない   危険 きつい 汚い 3K    オンボロ機械の  オンパレード    だけど俺には 夢がある 誰にも負けない意地がある  目指す技術は世界ナンバーワン!      日本のモノ造りは 中小零細の底力    決して大企業の 力なんかじゃないぜ     オイラの技術は本物 誰にも絶対マネできない    何がタイだ中国だ インド ベトナムもいいけど     そんなの そんなの関係ねぇ    全然全然関係ねぇー ♬

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藻谷浩介氏講演(10/20上田信金主催)

「地方創生に求められる住民の意識改革」

  山口県出身 51歳  世界32ケ国訪問 著書:「里山資本主義」等
精力的に日本全国を飛び回っている人である。
お母さんが佐久病院に入院しているということで、この佐久地域についての大変に詳しい。足で得ていると思われるが、佐久のみならず各地の様々な情報を持っている人である。

そのほとんどの時間は、「イメージが強いため、事実と全く違うことが多い」というテレビ、新聞、雑誌等の世の中からの情報のイメージと、実際の統計上の数字とは結構かけ離れていることが多い・・ということの証明に費やした。

設問1)日本の殺人事件の件数は増えているか減っているか?→減っている
マスコミが騒ぐため、非常に多いように思えるが、年々減ってきてい
る。一日3件位。交通事故もイメージとしては増えているようだが、実際はかなり減っている。 且つての16,000人が3,000人位
 設問2)東京大学卒業者の就職率は97%~46%の大学卒業者の就職率(46%~97%)の中でどの位に位置しているか?
 ヒントは早稲田、慶応と同じ位等ことであるから当然、トップクラス
だと思ったら、66.4%ということである。東大生の場合はペーパーテストはすごいが、実際の仕事となると別で、逆に使い勝手が悪いらしい。ちなみに東証マザーズ上場企業の社長は高卒が多いとのこと。
 設問3)長野県の空き家率は何番目くらいか?→長野県が全国第二位。
しかし空き家数が多いのはダントツには東京(82万件)、次いで大阪(68万件)、神奈川、愛知、北海道、千葉となる
 ・その他、国防上、危なさから言えば北朝鮮とかロシアの方がはるかに危ないが、絶対にありえない中国が危ないと言っている。
・尖閣より北方領土の方が問題。
・久米宏のプロダクションが「報道ステーション」=左寄り?、「テレビタックル」=右寄り?の両方の番組を作っている。
・日本は何処と国際競争をしているか?
<負けている国>中東のガソリン、灯油 14兆円/年の赤字 ロシア、オーストラリア、イタリア、インドネシア、マレーシア、タイ
<勝っている国> アメリカ 13兆円/年の黒字 オランダ、イギリス、韓国、台湾、シンガポール、メキシコ、ドイツ
・フランス、中国、カナダ、ブラジルはさほどの差はない。
・中国は±ゼロ、ロシアもたいしたことない   
・自動車部品は日本が圧倒的に強い。
・サムソンやアップルの主要部品の大部分は日本製
・工作機械やロボットも日本製
・2014年に特許料がアメリカからとれるようになった。
・日本人は、自分ができていることを知らない
・アメリカに負けているのは、経営管理ソフト等の産業用ソフトが大負け に負けている。
・中国は日本に特許料と旅行で2兆円払っている
・中東との取引は、円安で赤字が膨らんだ 円安は最悪14兆円の赤字
ドル建てのため、大企業はバーチャル最高益になっている。
・ロシアに対しても円安で赤字が激増。
・原発事故後、省エネで節電効果があり、原油の輸入量は全然増えてない。金額が増えているのはただ単に円安のため。
・原発が止まって原油の輸入が増え、電気代が上がると言ってたのは原発で儲けていた人たち。 
・星野リゾートには以前から小水力発電と地中をも利用し、エネルギーの 自給ができていた。
・イタリアに対し日本は震災後大幅な赤字になっている。ピザ、スパゲッティ、ワイン、オリーブオイル等
・スイスに対して1兆円の赤字。スイスの非正規労働者の賃金は日本の3倍であるが、日本から荒稼ぎしている。
スイスの100万円の時計のうち、クォーツは日本製(2000円)、その他の99万8千円はスイスの稼ぎ。

この国の人たちは、「国際競争に負けている」「生産性が落ちている」「景気が悪い」等の言葉に振り回されている。
 調べれば、ちゃんと正しい統計情報があるのに、上(政府)から下(一般市民)まで全く無関心。
不安をお互いにあおり「不安」を拡大・共有している。
定義のあいまいな言葉を持ち出して、なんでも「マネー」に換算してあおる話はまったく問題の本質をついていない。

もっとも大事なことは、化石燃料を使わず、自然エネルギーを使うこと。

 結局は、工業製品を売って、油を買っている。
 円安で、一見景気が浮上したように思っているが、実際のところは、逆にかなりのマイナスとなってしまっている。$=100円位が適当
 諸悪の根源は「円安」と「エネルギー政策」

 本題の「地方創生」については、  
・人口減が最大の問題。→人口の再生に失敗
・遊休土地建物が急増
・貯金が消費に回らない
・客観的な事実認識ができていない。
・人、モノ金が循環してない。
・50年後には人口減少が止まる。

・震災以降、佐久は人口が増えている。
・軽井沢、ニセコ(8割が移住者)はすごい。
・子供が生まれないで、団塊の世代が65歳以上になると途端にマイナス 1万人になってしまう。
・地方に「若い人の働く場」があるか否か?
・北海道のニセコは、若い移住者が多く、外人もたくさん住んでいて活気に充ちたモデルタウンだ。
・地元に金を落とすこと(地消地産)を考えるべきだ。

<私の感想>
 我々がいかに、世の中のいい加減な情報に振り回されているか?ということ。
 正しい情報をキチットつかめば、何をすべきか?何処へ向かうべきか?おのずから見えてくるはずだ。
 →この藻谷氏の統計を見る限り、日本の全エネルギーを自然エネルギーで賄えたら、日本の貿易赤字はなくなり、1000兆円の国の赤字も消すことができる。・・という私の持論になりそう。

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「下町ロケット」のテレビドラマ化

 昨日10月18日(日)夜9時から「下町ロケット」というテレビドラマがTBS系で始まった。

 この原作の本を以前私がこのブログで紹介したが、読み返してみると、殆どそのままで問題ないため、再度池井戸さんの本のドラマ化を機に、このブログに載せる。

TBSのテレビドラマ「半沢直樹」が大ヒットした。ここで、この原作者池井戸潤氏が書いた直木賞受賞作品「下町ロケット」という本を紹介しておきたい。

 これは、ある人と半沢直樹の話をしていた時、「社長は池井戸さんの『下町ロケット』という本を読みましたか?あの本に書かれている会社は御社とそっくり、御社そのものですヨ」と言われ、基本的にフィクションモノは読まない私だったが、即、この本を買った。

 その内容は、言われる通り技術力を盾に大企業と渡り合っている当社を誇張して描いたようなストーリーであり面白くって一気に読んだ。

 主人公は東京大田区にある従業員200名位の小型エンジンを造る佃製作所という町工場の佃社長。この会社は、技術にこだわりを持ち、誇りを持って営業しているが、ある日、大手のメーカー、ナカシマ工業から90億円の特許侵害で訴えられる。

 世の中は、有名大手のナカシマ工業がちっぽけな町工場を訴えたとなると、どう見ても大きい方が“正統・有利”、小さい方は“不当・不利”という見方をする。

 案の定、メイン得意先の一社より内製化による発注打ち切りにあい、資金繰りに困りメインバンクに融資の相談に行くと、この訴訟問題が大きな障害となり、融資を断られてしまう。

 そこへまた、大手のロケットを手掛ける帝国重工より、別途にこの社長が手掛け開発したロケット用の水素エンジンの特許を売ってくれとのオファーが来る。

 当然、この帝国重工はこの佃製作所の苦境を知って、この隙に安く買い叩こう・・という魂胆である。

 ところが、色んな展開の末、結局この佃製作所はナカシマ工業に対し逆提訴、それに勝訴し逆に50億円を超す和解金を得ることになってしまった。

 それまで、融資を渋っていたメイン銀行の支店長が飛んできたが佃社長はこの銀行に対し「取引停止」を言い渡す。

 帝国重工はなかなか特許の売りも、特許の使用契約にも同意しない佃製作所に、結局この水素エンジンを造らせるべく監査をすることとなった。

その監査の当日の場面が面白い。

 この帝国重工の監査人は、最初からこの会社を監査で振り落とそうとの意向があるため、現行赤字状態を責めたり、様々な荒探しをしたりする中で、訴えて逆敗訴したナカシマ工業が造ったシリンダーと佃製作所製のシリンダーの性能比べをする場面がある。

 最初に試したシリンダーは完璧であり、もう一つの方は60点と監査員が点を付けた。

 当然、最初の製品がナカシマ工業で後が佃製作所のモノと思っていた監査員に佃の社員が言う。「最初のがウチのシリンダーで、次のモノはナカシマ工業製です」

 私が、今までに言ってきたことが、フィクションではあるが見事に書かれている。

 大企業は、よーいドンで同じものを造ったら、絶対的に自分の方のモノが優れていると思っているが、実は、機械設備も劣り、学歴も劣る中小零細のモノ造りの方が優れていることが多いのである。

また、大企業にとっては中小零細の技術、ノウハウは“只”。

 だからナカシマ工業のように、先を越された特許に対し、金と大企業の総合力で佃製作所を押しつぶしてやろうという考えが浮かぶ。

 この物語は小説だから逆提訴して逆に和解金をせしめたが、通常はそうはいかない。特許があろうが無かろうが、特殊技術があろうが無かろうが、自分の欲しい技術は、あらゆる手を尽くして手に入れるのが日本のメーカー。

 その際、金を払って話を付ける・・・という選択肢はよっぽどのことでなければ取らない。

 これはこの帝国重工の逸話を見ても分かるかと思う。

 社長命令で、全て自社の技術で賄うという大原則に立ちはだかったのが、この佃製作所の特許技術。この特許技術を避けて開発するとなると時間がかかり とても無理、①佃からの特許の購入、②特許の借り入れ、③当該部品の購入・・・という選択肢の中で結局は佃製作所の粘り勝ちで③の選択となった・・というストーリーであるが、このような大企業にとって”最悪の事態“となるまでの帝国重工内での葛藤は、”さもありなン”と思わせるような場面がふんだんに登場した。

 モノ造りは、一般的に大きい会社は全てにおいて上・・・ましてや製品の品質に関しては会社の“大きさに比例する”と思っている向きもあろうかと思うが、現実は異なり、この物語の通りなのだ。

 総合力ではとてもかなわないが、その部分、部分、製品の部品一点一点であれば、間違いなく町工場=中小零細のモノ造りが勝るかと思う。

 だから大企業は、素直にこれを認め、中小零細をきちっと一個の企業と見做し、対価を払い、強力なパートナーとして部品を発注すべきなのだ。

 コマツ製作所のように、協力工場との固い絆が構築されていれば、それこそ湯水のような様々なアイデアが出てきて、カイゼン、改革がドンドン進み、たちまち製品毎に”最高品質“を目指すことも可能となること請け合いである。

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