それダメ―! メイド・イン・ジャパン

テレビで「それダメー!」というのをやっているが、最近の“メイド・イン・ジャパン”の部品が結構“海外製”というのがあるようだ。

「それダメー!」なのだ。

 それは逆なのである。

 部品が全部国内産で、我々中小零細が造ったものであるならば、組み立てが多少ヘボくてもいいが、肝心の部品がきちっとしていなければ、な~んの意味もない。

 もしそのような生産体制を取っているメーカーがあるとしたら、それは本当の意味で“モノ造り”を知らない会社だということである。

 中には、ものづくりを熟知しているメーカーがあり、日本でも海外でも、自社内でも、外作でも全く問題なく造るメーカーもあることはあるが、殆どのメーカーはそこまで追及していない場合が多い。  

特にメーカーの海外工場の“内製”で部品製造というケースは要注意だ。

ブランドではいい部品は造れない。

それこそ日本の町工場のおっさんが造り出す部品の精度、バラつきの無い品質には絶対にかなわない。

誰もが、生産現場を見れば、3Kを絵に描いたような汚い工場、前世紀の遺物のような古い機械で造っているモノと、クリーンな職場で最新鋭の機械で造っているモノを比べれば、後者の方が絶対優れていると思ってしまうと思うが、それがそう単純な話にはならないのだ。

ネットで見ていたら、「最近は自動化が進み、中国でもタイでも自動機で造るから日本の部品と遜色ない」・・というようなことが書かれていたが、それもダメ!である。

日本では、どんなに小さな工場でも、ある製品が大量に続いて出るということになると間違いなく自動化を考える。

最小費用で最大効率、問題が起こらないような自動機を考える。

それは、手作業でやって来た仕事の自動化になる訳で、手作業の時の色んなノウハウや、職人芸をその機械に入れ込もうとする。

一方、大手メーカーでは自社にそのような自動化の部門がある場合は、そこを使うし、無い場合は機械屋さんに頼む。

機械屋さんにも勿論ノウハウはある。

自社工場にもあることと思う。

たとえば、当社の場合であれば、機会屋さんにもメーカーさんにも無いノウハウや技術を必ず自動機には組み込む。

これと同じように、メーカーと日本の中小零細では、自動機の造り方も違うのである。

また、最も問題になるのが、自動機の「進化」だ。

我々は、とにかく同じモノを造り続ける場合、それが手作業であろうが自動機であろうが、いかにより良く、より早く造れるかを常に考え続ける。

これは自動機ではないが、ある有名な海外メーカーのコイルを当社で手掛け、1年間ほど仕事をやったことがある。

我々は台湾製の100万円そこそこの巻線機を購入し、それを土台にそのコイルを完璧に全く問題なく巻けるようにしてコイルを納入していた。

やがて、その海外企業は、スイスの会社に依頼し“億”と云うコストをかけて当社と同じコイルを巻き始めたため、当社のコイル事業は無くなってしまったが、100万円と1億円の違っいって一体何なんだろうか?

話が飛んだが、またその度合いは会社の大きさと逆比例する。

最も小さい会社=町工場のおっさんが一番考えるかと思う。

なぜならば、ちょっとした改善が自社の収益に大きく響いてくるからだ。

100万個/月の部品を1円改善すれば、月100万円の利益になるからだ。

これが、会社の規模が大きくなればなるほど、そのような意識が希薄になってしまう。

これも、提案制度等を使って上手く従業員のアイデアやノウハウを引き出している大手もあるため、全ての・・・とは言えないが、私は相対的なことを言っている。

また、海外の場合は、いつも言うが「決められたことを決められた通りにやらせる」・・・と云うことが、まず海外工場の鉄則であり。海外工場で自由に改善をやらせたら、大変なことになってしまうケースが沢山ある。

・・・と云うことは、海外での自動機の改善は難しいということになる。

私はこれまで6年前に「立ち上がれ中小零細企業」を書いてから、ずっーと日本の中小零細製造業の危機を訴え続けてきたが、結局は、何の社会的な変化は起きず、また最近の円安、そして中国を始めとする東南アジア各国の賃金水準が上がり、さて、いよいよ日本回帰か・・・と期待していたが、結局はそれほどの回帰は無く、未だに後継者不足で小さい会社は自主廃業をし続けている。

後は、我々のような生き残った「小企業」が日本の“モノ造り”を一身に背負って立つしか方法が無さそうだ。

私は、この日本に於いて、本物の”メイド・イン・ジャパン”を目指す企業が一社でも多く現れ、世界に向けて本物の製品を送り出し、再び日本が世界の中で「やっぱり”日本製だ!“、”メイド・イン・ジャパン”が一番だ!」と唸らせるような時代を未だに夢見るものである。

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分かり易い説明

集団的自衛権を巡る賛成派と反対派の攻防が激しくなっているが、一昨日の報道ステーションで、ドイツがアメリカのアフガン紛争時に専守防衛政策から、海外派兵可能に法律を変え、アメリカの後方支援を行ったが、その際22回の銃撃戦があり55名の戦死者を出しているという説明、

これは、現在の日本にとって非常に分かり易い説明かと思う。

一方、阿部首相は、テレビ番組で、隣近所が助け合い、協力し合うことで泥棒に狙われるのを防ぐ・・とか、戸締りを強化することによって外部からの侵入を防ぐようなものだ・・と説明したという。

集団的自衛権は隣近所との連携や、戸締りや強化のたとえ話では全くピンと来ない。

それに比べ、このドイツの例は、非常に分かり易い。

国民に本当にその真意を分かってもらいたければ、これを阿部さんが国会で言うべきである。

「ドイツではアメリカの後方支援で55人もの犠牲者を出してでも、アメリカの要請に従がおうとしております。我が国もアメリカの軍事力のお蔭で戦後70年の間、戦争をせずに来れました。これからは積極的に戦闘にも参加し、このアメリカの恩に報いる必要があると私は思います。平和を守るためには誰かが犠牲となる必要があります。日本を取り巻く状況は中国、北朝鮮、そしてイスラム国と予断を許さない状況です。皆さんもこれまでの”平和ボケ“ではなく、覚悟を決めて憲法を変え、アメリカの強力な片腕となれるような国を目指そうではありませんか!?」

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7月1日よりの「新体制」

 6月の株主総会後、7月1日より当社は新体制を敷いた。

 現T.I.T. electoronics社の小林延守会長が当社の代表取締役会長となった。
 私の兄でありセルコの創立者で元社長であることから、社長を辞めて、約20年ぶりにセルコの代表に返り咲いた・・・と言うことになる。
 セルコはこの7月末で満45年を迎える。
 45年前、延守会長は千葉工業大学の仲間3名と共にこのセルコを創立した。
 最初は「馬屋で生まれたイエス・キリスト」ならぬ「廃バスの中に巻線機を持ち込んでの創業」で、夏になると暑くて仕事にならなかったという。
 そのうちに、小諸市の東外れ、佐久平に近い現在の地に移ったが、ここは当時は狐か狸が出そうな僻地であったが、今は佐久に高速道路インター(佐久北インター:当社から車で約3分)、新幹線の駅(佐久平駅:同約7分)ができ、当社のすぐそばに取り付け道路が通ると共に周りに色んな商業施設が立ち並び5200坪の結構広い敷地は今や一等地になってしまった。
 
 セルコは当時の信州精機(現セイコーエプソン)からドットヘッドのプリンターのコイルを受注し、これがこの会社のメインとなり、他に何も考えることなしに約20年の間、エプソンさんの完全下請として安定した仕事をし、最大で小諸、上田、丸子3工場120名に達したこともあった。
 当時小林会長は、恐らく能力があり余っていたのであろう、このセルコの一社依存の仕事に飽き足らず、サンデンという会社のストーブとか未だ世の中に出たての自動販売機とかを売る販売店をやり、県内でもいち早く自動販売機のベンディング事業をする等、とにかく時代を先取りした仕事を好んで事業化していた。
 
 その中で、当時パソコンが未だ出始めの頃に、上田市の駅前に「マイコンプラザ・上田」というパソコン教室を開き、NECのPC8000という当時の大ヒットのパソコンを使い、ベーシック言語を用いたプログラミングを教えながらパソコンを売り、またシステムのソフトを売る会社を作った。
 この会社は現在は「テクニカル・イン・長野」という会社で、鈴木さんという社長が後を継ぎスポーツクラブや医療用のオリジナルパッケージソフトを開発し、顧客からも好評で、今は営々と会社を運営されている。

兄は、「先見の明」があった。
日本のバブル崩壊後、日本にはもう仕事は無いと、いち早くタイへの進出をした。
その過程で、当時健在だった父と私と意見が合わずセルコを辞め、タイのコイルの新会社を息子と共にゼロから立ち上げたが、日本とは違い仕事は間違いなくあった。
 しかし当時のタイは、未だインフラ面を始め、様々な面で”後進国”そのものであり、相当の苦労の果てに現在のような大変効率が良く理想的な工場を構築していった。

 その間、私の方も苦労した。
 とにかく仕事がなかった。
 しかしこの会社は「技術力」だけを頼りに、現在どうにか20年前の売上レベルまで戻すに至った。

 今、その中核を為す生産がTIT社である。
 今後、セルコとTIT社は一体化を目指す。
 セルコは「営業」と「開発」・・・と言うよりは試作中心の会社とし、大量量産品はタイのTIT社に任せる。
 これまで、「セルコは技術力はあるけども、量産体制に難が・・・」と云われていたかと思うが、ここにタイにおける立派な量産工場を得ることができたのである。

 TIT社も今後、日本で最先端開発品の量産コイルの生産拠点となる訳であり、この2社を併せ、強力な試作から量産へのリレーインフラが整ったのである。

 なお、当社には大連工場があり、こちらは数量が少ないがかなり難易度が高いコイルから組立品を手掛け、本当に僅かな多品種少量品は日本の社内で展開する。
 勿論、国内で自動化・・という手も当然考えられる。
 
 セルコは今や本当の意味での「コイル及びコイル周辺Assyのソリューションパートナー」になりつつある、

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中国人はメイド・イン・ジャパンがお好き

昨日の新聞にラオックスがオンワードと提携し日本国内で衣料品を開発・生産し、中国を中心に広くアジア向けに売り出して行くという記事が載った。

 ラオックスは、元々電化製品の量販店であったが、業績不振が続き、2009年に中国の会社に身売りをし、その後中国人向けの総合免税店に転身した。

 2002年3月期から12期連続赤字だった同社は、2014年12月期に黒字転換を果たし、2017年12月期には営業利益目標を120億円に設定する程の好調な売り上げ状態にある。

 ネットを見ると・・・・

「訪日観光客向けに特化しているため、国内客を奪い合う他の家電量販店と違い、価格競争に巻き込まれることがない。家電製品を中心としつつ、高採算の日用品や高付加価値の日本製品も取りそろえていることも、収益を押し上げる。主な家電量販店と比べても、経常利益率  やROE(自己資本利益率)といった収益性を測る指標で、高水準を誇る」

ポイントは高採算の日用品や高付加価値の日本製品を売っているということである。

家電製品出”メイド・イン・ジャパン“を探しても、なかなか見つからない。

電気釜、洗濯機、キヤノンのカメラなどで見かけるが、殆ど中国製である。

 ラオックスの経営者は中国人で、中国人の感覚を一番よく知っており、できるだけ”メイド・イン・ジャパン“製品を取り揃え、中国人観光客の”爆買い”に対応している。

 しかし、メイド・イン・ジャパン製品はなかなか無い。

 そこで、オンワードと組んで日本で作るべく、手を打ったのである。

 そこへ行くと、日本の家電メーカーは何をやっているのか?

 未だに安い賃金を求め、地の果てまで行こうとしている

 日本で良いものを造ろうというメーカーはなかなか現れない。

 ソニーの音楽CDをTEACのCDプレーヤーで録音をした。

 モニターで確認しながら録音しているにも関わらず、後で録音状態をチェックすると途中で音が消えてしまっている。

 TEACに連絡をとり、プレーヤーの故障として修理依頼をしたが、どこにも異常が見つからないという。

 とにかくおかしいから直してほしいと云うと、録音部のユニットを全取り替えして戻してきた。

 1万5千ほど支払い、再度録音してみたが、全く同じような症状だ。

 再度送った。

 やはり異常が見つからないという。

 こちらは困るので、とにかくもっとよく見て欲しいとお願いした。

 しばらくして電話がかかって来た。

「CDのメディアはどこのモノを使ってますか?」

「ハイ、ちゃんとソニー製を使ってますヨ!」

「それはどこの国製ですか?」

「中国製です」

「そうですか!中国製には時々録音できないモノがある場合がありますので、日本製を探して録音してみてください」

・・・と言う話であった。

この話をある人に話したら、その人もDVDの録画を何枚かしたが、そのうちの2枚が録画できないことがあったという話だ。

そう言えば、録音したCDを2回、3回と聴いているうちに音飛びがしたり、聞こえなくなったりしたことが度々あった。

 この事例は、良く現行のメーカーの実情を表している。

 確かにCDモDVDも非常に安い。

 しかしいくら安いからといって日本のメーカーが「不良品」を堂々とメーカーのラベルを貼って売っている姿はぞっとする。

 以前にも書いたことがあるかもしれないが、当社の大連の副総経理が中国で日本のメーカー車(中国の合弁会社製)を買った。

 私が隣に乗ってシートベルトを締めようとしたが、なかなか金具が上手く相手の金具に嵌らない。

 部品の精度が悪い。

 その副総経理が、ある時ブレーキを踏んでも車が止まらなくなり、サイドブレーキでどうにか止まって事無きを得たという。

 車を買って半年もしないうちの話である。

 最近また電話が来た。

 今度はナビが壊れて使い物にならないという。

 ちなみにその副総経理の弟はトヨタの車をその1年前に買ったが、未だに何ともないという。

 これは、ただ単に偶然ではない。

 「モノ造り」の本質を知っている会社と知らない或は知っていてもむ無視して安さを追い求める会社の違いなのである。

「安かろう、悪かろう」は中国の代名詞である。

その安かろう悪かろうでもいいからとにかく安く造れ・・と言う会社は最終的には中国のローカルメーカー或は韓国のメーカーには絶対に勝てない。

 日本のメーカーは本社の固定費が重すぎるからだ。

 いいモノを日本で造り、日本大好きの中国人に売る。

 また、日本のモノ造りを続けながら、最終的には海外各地で、日本で確立した最高の製法を標準化してものづくりをすれば、日本製とそれ程遜色のないモノ造りができるはずだ。

 その前提は、あくまでも「日本でマザー工場」的でも良いから、モノ造りをすることである。

 これを外したら、アウトなのである。

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