シン・ニホン・・・その2

「第二の黒船」にどう挑むかー日本の現状と勝ち組

1人負けを続けた15年間
1、世界の企業ランキング・・・平成初期には上位の多くが日本企業は、現在では中国はおろか韓国にも大敗している。
日本企業は今でもスケールゲームにいそしみ、新しい技術をテコとした刷新、産業の創出に出遅れている事、仮に取り組んでいたとしても市場に上手く伝わってないことを指している。

2、GDP・・・世界的にアップグレードしている中、日本だけが伸ばせないという衝撃的な状態が25年くらい続いている。特に最近のトレンドが良くない。人口が日本の2/3のドイツに並ばれかねない状況。生産性が2/3になるという言うことでG7国としても由々しき状況。

3、一人当たりのGDP・・・30位で1960年頃の水準に戻っている。30年前は主要国の中では1位であった。

4、一人当たりの生産性・・・長らく全く伸びていない=半ば1人負け状態。バブルのせいではない。GDPが伸びないのは、人口問題以前に「生産性」が伸びていないからだ。

バブル以降15年余り、世界では一気に生産性が高まって来たが、日本だけが大きく伸ばせ無かったということだ。
我が国は半ば1人負け、もしくはゲームが始まったことに気付いていないと言っても良い状況にある。

5、産業別労働生産性

他国の生産性は、日本と比べてコマース分野などは2倍以上、今極めて大切な情報通信分野も3倍前後、農林水産分野に至っては米国が40倍以上、人口密度で比較的近い、ドイツ、英国、フランスも10倍以上と極端な開きがある。
日本の大半の産業は、やるべきことをやってないだけで、未だ着手出来ていない宿題が沢山あり、伸びしろだらけの国ということだ。

6、産業別のGDP比率
日本はインターネット、モバイル、クラウド等ICT(Information and Communication Technonogy=情報通信技術)で負けたんだ)という声が随分上がるが、日本と米国の600以上の項目をフェアに比較してみたが、ICTと呼ばれる産業セクタがGDPに締める割合は、日米でほぼ同じという意外な結果が出た。

7、産業別のGDP成長率(単位:日本=兆円、米国=10億ドル、日本:1995年~2015年、米国:1997年~2014年)

*米国のその他は不動産賃貸:70、金融・保険:45、医療・社会援助:39、専門的・科学的サービス:24、事務・廃棄物管理サービス:22、宿泊・飲食サービス:11、その他:71
この二つの比較からも、ICT分野以前に、先の指摘した通り、日本の大半の産業はやるべき宿題をやっていないだけで,厖大な伸びしろがあることが分る。

埋もれたままの三つの才能と情熱

1、2人以上世帯の貯蓄状況の推移
2017年段階で単身を除く世帯のほぼ3世帯に1つ(31%)が貯蓄(金融資産)を持っていない。
1963年(日本の発展途上期)の22%よりもはるかに高い、1950年代の戦後間もない頃の水準。
約30年前までは、ずっと1桁代、1987年は3%で実質ゼロに近い水準。
いかに、貧困層の拡大が起きてきているかが分る。

2、主要国最低賃金
①ドイツ、②フランス、③英国、④カナダ、⑤韓国、⑥日本、⑦米国
日本は、カナダ、韓国にも抜かれた。
このままの状態が続くと、2035年には貯蓄を持たない世帯が50%を超え、見事な途上国(或いは貧困国)状態に陥る。
「この状態は、少なくとも3分の1近い才能と情熱が単なる環境要因によってきちんと発揮される機会がなく、埋もれている」可能性が高い。

3、国別男女別 労働時間内訳
「家事・育児」と「給与労働」の時間を国別男女別に比べた表で男性の「家事、育児」の時間は41分/日で11ヶ国中、最も少ない。
女性の「給与時間」は、272分/日で、こちらは他の国とほぼ同じ水準。
また、男女共に労働時間の一番短いイタリアと比べると倍以上働いており、11ヶ国中、最も長い。ちなみにG7の中で、一人当たりのGDPはイタリアは半分の時間で日本の9割くらいであり、イタリアの人達の方が、人生としてみれば豊かなのだ。
日本の男性の労働時間はイタリアの2倍、ドイツの1.5倍、中国やインドと加良部手も一日当たり60分以上も給与労働時間が長い。
明らかに労働のしすぎ、言い換えると非効率なのだ
1900年代後半、米国ハーバードの女性入学者が半分以上を占めた。プリストン大学は2020年の女性比率は50.8%。
方や日本の東大の女性比率は2019年でも17.4%に過ぎない。

4、死亡年齢分布
平均寿命
男:81.25年  女:87.25年 最も死ぬ人の多い年齢では、男:88歳、女:92歳。日本は世界屈指の長寿国であり、「人生100年時代」を迎えている
しかし定年は65歳、つまり最も経験値を積んだ熟練労働者は能力と関係のない理由でいきなり退場させられる。 日本は、20歳から80歳まで範囲を広げるだけで、3割以上の経験豊かな労働力が増える。
人それぞれ、元気な人はトコトン働くことが健康年齢をアップさせることにもつながる。
<著者の解決策>
①採用の際に年齢性別を問わない。
②給与水準は、労働時間ではなく、産み出す価値ベースとする。
③週5日に捉われず、週1日でも2日でも、1日Ⅰ~2時間でもOK。
④入社直後だけでなく、担当や役割が変わる毎に、本人の意欲があり道理にかなっていれば、十二分なトレーニングを行いプロフェッショナルとして育成する。
⑤ダイナミックな配置転換。一つの会社に縛り付けず、違う会社間の移動を認める。
⑥生産性を下げる要因は徹底的に排除し快適な職場を目指す。

5、GDPに占める人材育成投資比率の国際比較(OJTを含まず)

最大のリソースである「人」に投資することなしに、どうやって未来を産み出すことが出来るだろうか?シニア層に限らず、あらゆる世代、属性の人に対して、人の育成、再生にまとまった伸びしろがあることは確かだ。

国力を支える科学技術の急激な衰退

1、主要国の論文数シェアの推移
2016年、中国は化学及び技術関連の論文数で米国を抜き去り、世界一になった。それに控え、日本はインドにも抜き去られた
15年ほど前、東京大学は世界の名だたる大学の次辺りに位置していたが、2019年夏現在、世界大学ランキングでアジア6位、世界42位となっている。

2、計算機科学分野で際立つ遅れ
物理分野では、東大は世界第8位に入っている。トップ10で、米国が7校入っている。
しかし、今の世の中を変えている分野のプレゼンスは驚くほど低く、計算科学分野を見ると東大135位、東北大180位という惨憺たる状態。1位は精華大学で、中国がトップ10に4校入っており、米国、シンガポール2校づつを抜いてダントツだ。
同ランキングで他の分野を見ると、化学=京大22位、生物/生物化学=東大32位、数学=東大32位、宇宙科学=東大21位であり、計算機科学に対する日本の力の入れようが低いのが良く分る。
何故、日本は「データ×AI分野」で立ち遅れたのか?
≪その理由≫
①様々な所から多様なビッグデータが取れ、色々な用途に使えること。
②圧倒的なデータ処理力を持っている事。データ処理力とは技術でありコスト競争力だ。
③これらの利活用の仕組みを作り、回す世界トップレベルの情報科学サイエンティスト、そしてデータエンジニアリングがいるということだ。
まず①のデータについて
スマホ上のインターネットの世界は大きなデータを生んでいる。しかし日本最大級のインターネット事業会社のヤフーは日本では最大級のインターネット事業会社であるが、米国Googleや中国Baiduは一桁多い10億人前後にサービスを提供している
コマースの場合、楽天は国内最大のプレーヤーだが、同じくAmazon,Alibabaグループと比べればやはり一桁少ない。 ソーシャルの場合、LINEは国内では断トツでも、WhatsAppやWeChatなどと比べれば一桁少ない
またこれ等以外の領域でデータを利活用しようとすると、この国ではUber,Aribnbのような個人資産を活用するタイプのシェアリングビジネスはことごとく制限がかかっている。
既存業態を保護する目的で、いまだに国内での圧倒的なユーザ指示が無視されている状態だ
2015年当たりに米国の大学生の間でデファクトとなったvenmoという送金・割り勘サービスも、銀行業法の壁に遮られた。
このように日本は、ユーザ保護ではなく、既存業態保護行政のために、幅広くデータの力を解き放つことが出来ていない。
自動走行車も、日本の道は狭い道が多く、且つ双方向可能な道路が多く、すれ違いが難しいような道路が多く、実際に走るとなると難しいし、ドローンも高層ビルの間に平屋の家が有ったりして、極めて飛ばしにくい。
このように日本はそもそもAIに適したまちづくりをしてないために、データ取り込みと保護規制が仮に問題無くなったとしても利活用の壁は高い。

次に②のデータの処理力について
日本の産業用電気代は、ヤフーの実績値で米国よりも5~10倍高い。更に中国は米国よりも格段に安いと言われており、日本と数十倍のコスト差がある可能性が高い。だから、膨大な情報処理が必要なビットコインのマイニングは大半が中国で行われるのだ
また、日本にはビッグデータ系でグローバルに使われるような「技術プラットフォーム」が無い
…と云うことで、日本はグローバルに戦えるような商業的技術基盤がないうえ、データ処理を行うためのコスト競争力がないという状況で、勝負になっていない。

③のエンジニア、専門家のこと
この国には、大量データを処理するデータエンジニアリングに熟達した人材が足りていない。
実際、ICT業界の海外の大手プラットフォーマ―からは、「もっともデータ×AI人材が手に入らない国」、「日本だけ基準を下げないと人が採れない」などと言われている。


3、理工系の学生の数
人材が少ない理由の一つに、日本では大学進学者のうち理工系(医学、薬学を除く)が2割しかいないことになる。その結果、韓国と比べても10万人以上も大卒者で理工系の人の数が少ない。ちなみに韓国の人口は日本の半分以下である。
韓国やドイツは技術立国という意識が強く、大卒の3分の2近くが理工系で、日本とは真逆。米国の3分の1、ポーランドやルーマニアなどの数学大国から比べると1桁少ない
また日本では、2017年にようやく一つデータサイエンスに関する学位取得プログラムが滋賀大学に出来、この1~2年で横浜大学他で急速に立ち上がりつつあるが、米国では同2017年には既に500以上のデータサイエンスに関する学位取得プログラムが立ち上がり、既に人財供給問題にはケリがついている。
データエンジニアリングの基礎と云うべき計算機科学についても、米国トップクラスでは半ば学ぶことが常識となりつつあるが、日本は東工大ですら定員が年間100名ほどに過ぎない。
このような状態では、「日本の若者達は持つべき武器を持たずに戦場に出ている」ようなものだ
米国や中国ではこういうテックギーク(ネットオタク)達がMBAやロースクール出身の連中と一緒になって数多くの世の中を変えるスタートアップを産み出している。
Yahooのジェリー・ヤン、Googleを産み出したラリー・ペイジ、Facebookのマーク・ザッカ―バーグ、Teslaのイーロン・マスク…皆テックギークだ。日本には現れない。
日本の500万~1000万人いる実験を握るミドル・マネジメント層は、残念ながら、このチャンスと聴き、現代の挑戦の幅と深さを理解していない人が大半だ
またこの層にこそ、ビジネス課題とサイエンス・エンジニアリングを繋ぐアーキテクト(計画立案者)的な人財が必要だが、殆どの会社で枯渇している。
逆にこの人達が、日本のあらゆる産業の刷新を止め、AIネイティブな世代を引き上げるでもなく、この国を更に衰退に繫いでしまう。
ジャマおじ」、「ジャマおば」だらけの社会になってしまっている。


現在の状況は黒船来航時と同じ状況に

以上見てきた通り、今の日本は、データ、利活用、処理力、人…いずれの視点でも勝負になっていない。これは1853年の黒船来航時の時の状況そのものであり、当時の旗本(今で言えば霞が関の局長のような人達)と思われる侍たちが、外国人が乗り込んでくる姿を唖然と見ているような光景だ。
10年ほど前、マッキンゼーの戦略研究グループが、主要企業3000社に「事業の成長を決める本当の要因は何か」という話であった。そこで選ばれた要因は4つ。
①戦略、②実行力、③リーダー、④市場 だった。
そしてこの検討の結果「事業の7割以上が単一のファクター=『市場』によって説明できる」というものだった。
すなわち、どれほど優れた戦略、偉大なリーダー、そして実行力があろうとも、市場を間違えると、どうしようもないということだ。時代に逆行したことをすれば、どんな偉大な企業も沈んでしまうということだ
逆に言えば、時代の潮流に乗れば、ほぼ確実に成長できるということだ。これは前述の世界企業ランキングを見れば一目瞭然だ。
孫正義氏が、いつも言われるように「どこの山に登るか」が大事だ。
これほど、データ×AI化、テクノロジーとデザイン力をテコにした事業や領域の刷新という強い変化が世界的に起きている現在、この流れに乗らない手はない。自分たちはちゃんと大きなトレンドに反した動きをしていないだろうか?正しいスピードで進んでいるだろうか?
国も事業も常にこれらを確認することが重要だ。
「これからも日本が、ある程度以上に豊かな国で居られるか」という問いについていえば、ほぼNOという答えがでてくる。ここまで見てきたとおりの現状で、このまま経済的な推進力を失ってしまえば、この国はそれ程遠くない未来に半ば中進国になることが見えているからだ。」

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シン・二ホン…その一

安宅和人著

この本は昨年2月に発刊されているが、私は最近この本を読み、衝撃を受けた。
当社では、毎日勉強会を開催しているが、その一環としてこの本をとりあげた
私はいままで日本は、世界に誇るべき「最新技術」を持つ国、「先端技術」の国と思っていたのだが、全く違っていた。
この大変な技術革新の時代、とりわけ情報革新の時代の20年間、日本はこの科学技術分野において、そして他の産業においても、かなり遅れを取ってきていることを知らされたのだった。
安宅氏は「これからも日本が、ある程度以上に豊かな国で居られるか」という問いについていえば、ほぼNOという答えがでてくる。ここまで見てきたとおりの現状で、このまま経済的な推進力を失ってしまえば、この国はそれ程遠くない未来に半ば中進国になることが見えているからだ。」…と云っている。
また、「自分を取り巻く現実を直視できないのは人の常だが、それにしても、この世の中の変化と意味合いをファクト(事実)に基づき、全体観を持って語る建設的な議論はとても少ない」…とも云っている。

 一章
 データ×Aiが人類を再び解き放つ - 時代の全体観と変化の本質

  誰もが、あえて出る釘になる
  決意をしなければ、
  時代はひらかれない。
           ― 岡本太郎

Ai×データ時代における日本の再生と人材育成
1、人対AI
  囲碁での勝負・・・AIの完全勝利
  AIは3週間で3000万回の対局が出来る
  方や、人間は一日一局30年で1万1,000局
  圧倒的な訓練量の違い

2、AIの能力
<識別>
  町中のセンサーで、即時に発砲地点を通報する
  顔画像だけで双子まで明確に判別する
  一筆見ただけで贋作を見破る
  世界最高レベルで皮膚がんの識別を行う
  動画を読唇する
  200mは離れていても心臓の鼓動で人を判別する
  歩き方から人物が誰か、認知症に羅患しているかを判別
<予測>
  電車の現在の状態を自動で察知し、問題がある場合は、事前に代替え路線を提案する
  人の購買欲の高さを予見する
  成功するスタートアップ会社を判別し予測する
  機械が壊れることを1ケ月前に予測する
<実行>
  複数言語の翻訳を瞬時に行う
  モノクロ写真に色を付ける
  モネやビートルズのような特定のアーティストの作品の芸風を学習し、酷似したスタイルで新たな作品を作る
  リアルタイムで表情と声を他の人物像に移し替える
  様々な物体のピッキング作業試行錯誤を通じ学習する
  乗車中360°を常時モニターし、周囲の交通事故に巻き込まれることを防ぐ

3、生産性
人類は2000年間で約二倍の効率になった。その後の100年で50~100倍に、これから数十年後にはもう一段跳ね上がるだろう➡指数関数的な驚異的な曲線を描く
・ディープラーニングは多用途には使えない➡用途に沿った大量データ/経験が必要
AIは、データが増えれば増えるほどその能力を発揮する。(上記の例)

4、AIとは、「速い計算環境、もしくは計算機(コンピュータ)に、情報を処理したりパターン学習したりするための情報科学技術(アルゴリズム群)を実装し、最終目的に即した膨大な訓練を与えたものだ
 早くいえば、「膨大なデータにより膨大なシュミレーションを繰り返した超高速計算機」…と云うことだ。
 マシンには人間のように経験から類推する力がないため、データがないモノ、少ないモノには使えない。

データ×AIテクノロジーの身近な例
 ①米国で100年以上同じ服を作っているリーバイスが、導電繊維を織り込んだジージャンをGooGleと共同で開発し、袖口をなでたり、タップしたリスルだけで音楽を聴けたり、ナビの機能が働くようなスマホ連動型のジージャンを2017年9月に売り出した。
 ②中国、アメリカの無人の店舗。➡お客は買いたいものを自分のバックに入れて店を出れば、スマホで自動的に支払いがされるシステム。
 ③中国のスーパーで、タグが紙ではなく電子インクで、商品の情報が記されており、スマホで読み取ると、更にその商品の詳しい情報が解る。
 ④米国のスタートアップの会社は、垂直な壁に野菜を植え、横からのLED照射により最小の農薬、肥料で野菜を育成している。季節性も、気候も超越し、都会のビルの中でも栽培が可能。
 その多くの仕事が機械に置き換わるため、私達は、より難しい問題に集中できるようになる。また、情報が素早く可視化されるため、意思決定が正確でスピーディーになる。

データ×AI活用の基本ループ
 1、サービス価値
 2、ユーザ数・ユーザ利用
 3、データ・状況把握
 4、アルゴリズムの性能が上がる
 5、打ち手の質の向上
このサイクルがぐるぐる回ることにより、学習が高まり、サ-ビスが飛躍的に向上する
・各分野では早い者勝ち。TQC等も本質的な影響を受けるであろう。
・データは持っている人と、それを必要とする人が繋がらなければ価値を生まない。
・個人情報漏えい防止ということで、データの拡散を規制する方向があるが、これは自社で様々なデータを持ち、それを1社で使えるメガプラットフォーマーのGAFAとかBATJとかが圧倒的な力を握る世の中となる。
・どこでもデータを繋がりやすくし、データの利活用をオープンに出来る国や市場が、人類の未来を産み出す“場”となる可能性が高い。
・またこの世界では、パーツの何もかもを自分で作り込む必要が無い
Uberは地図はGoogleに決済システムはBraintreeに、通話・SNS機能はTwilioに任せることでサービスを迅速に立ち上げた。これを”マッシュアップ”という。
何もかもブラックボックスにして競争優位にする時代は終わりつつある
・ソニーの新型aiboは,月々2980円取られるが、この各aiboのデータは毎日クラウドに送りこまれ、これをベースにアルゴリズムが進化し、またそれが各個体にフィードバックされるため、飼い主から見ると、aiboが日々進化しチャーミングな存在になって行く。
このaiboと同じことが、これから多くの商品やサービスに起こって来る。その商品やサービスは学習し、変化し続ける。つまり半ば生きている状態になる
テスラの車は「走るスマホ」と呼ばれる。
このようにあらゆるものがIOT化し、リアルタイムででメンテナンス、そして顧客対応が可能になる。これからは産業の多くのモノが複合機のようになり、各事業者はこれまでとは比較にならないほど顧客と長い取引をすることになる

5、キカイは分子レベルでデザインする時代
 分子レベルのキカイになると当然ながら、エンジンもモーターも不要。化学的なエネルギーで動く。(2016年にノーベル賞受賞=15,6年前から研究していたということ
 人間すらデザイン可能な時代になった。2018年11月に遺伝子改変した胚から本物の人間の子供が誕生した
 世界の重心が急速にアジアに戻りつつある。
 中国は遅くとも2030年までに米国を追い越して世界経済、情報科学のトップになる。
 インドも中国に続く。
 マイクロソフトのCEO,グーグルのCEOは共にインド系だ。
このような地政学的な重心の変化は日本にとっては千歳一隅のチャンスと云える。現在トップの米国と同盟関係にあり、次のトップとなる中国の隣国

6、未来の方程式
1900年のニューヨークの写真…馬車が沢山走っている。
1913年     〃    …車で溢れかえっている。馬の代わりに車の世話をする産業が一気に花開いた。
                たったの13年!
2007年にi-Phoneが生まれてから12年、世界のPCの出荷の7割がスマホになり、インターネット利用の半分を超している。(2019年)
アマゾン、アップル、アルファベット、フェイスブック、テンセント、アリババと世界の時価総額トップ10の企業の半分以上がスマホ関連業務を本業とするのは当然といえる。

質的に変わる富を生む方程式
テスラが企業価値でGMを抜いた。(今はトヨタも抜いた)…売上はGM、トヨタ、VWの1/30以下。
特に留意すべきは、これらのスタートアップ企業は、それまでのIBM,GE,ウォルマート等の巨大企業から生まれたのではないという事実だ。
全く見えないところから新しいゲームが始まり、そこに参加しなかったために、今じり貧となってきているのだ。
これは、極限的な下剋上の時代に突入している。オールドエコノミーのど真ん中にあった自動車産業で起きたようなことが、これからあらゆる産業で起きる可能性が高い。
これまでは「スケール」をとり。大きな売上、付加価値、そして利益を生めば企業価値に繋がることが、富を生む方程式だった。しかし、これからは、「未来を変えている感」が企業価値になり、これをテコに投資し、最終的に付加価値、そして利益に繋がるという真逆の流れになった

ld  Game             New Game

市場でのプレゼンス・寡占      未来への期待感・寄与

既存の枠組みの中での規模と     既存の枠組みを超えICT、技術革新を

効率の追求             テコに世の中をアップデート

既存のルールでのサバイバル     ジャングルを切り開きサバイバル

スタートアップには大企業のような信用はないが、逆に重荷になるような資産や組織が無い。必要な人員だけで成り立ち、お荷物になる人が居ない。
自由奔放に人や金を集めることが出来る

主要先進国は人口調整局面に突入
 これらの既に大きなシェアを持つ大企業は、この人口減少のマクロトレンドは負の方向に働くが、伸びしろの大きなスタートアップには、全く影響しない。企業価値の下剋上が起こりやすい理由の一つはここにある。
 アジア、アフリカも遠からず人口調整局面に陥って行く
 単にリアル空間でのスケールメリットの時代は終了した。技術をテコに世の中を刷新、アップデートできるような企業に事業価値が生まれるようになったのだ。
 電話、計算機、PDA(携帯情報端末)、iPodを全て統合し、iPhoneを産み出したスティーブ・ジョブズ、そして持続可能なエネルギーの世界を創るというイーロン・マスクのように、「妄想し、カタチにする」ことが冨に直結する時代だ。
 企業価値はハード軸・実数軸を中心とした規模間の世界から、データ、AI,ロボティスクのような情報・新技術をベースにした虚数軸を掛け合わせた世界、すなわち“複素数平面ゲーム」へと移行したということだ。
 モノ・カネ(実数)…トヨタ、GM,ExxonMobik等
 データ&AI/Robot(虚数)…Apple,Microsoft,Alphbet,Facebook,Amazon,Tencent,Alibaba等

 ウェブ上でも、昨今の新聞、雑誌等は、『新しい技術』の話ばかりしているが、本当に技術だけを身に付けたら未来は生み出せるだろうか?
 答えは否だ。
 未来は我々の課題意識、或いは夢を何らかの技・技術で解き、それをデザイン、パッケージしたもの、すなわち「未来(商品・サービス=課題・夢×技術(Tech)×デザイン(Art)」なのだ。
 こんな課題を解きたい、こんな世界を産み出したい、そういう気持ち無しで、“手なり”以外の未来など生まれる理由がない。
 ここでは技術軸そのものの発展については棚上げしている。様々なAIの利活用のベースとなる「システム×データ×ハード」の進化の方向性はある程度見える。
 しかしどんな未来が創られるかは、我々がどのような課題にどう技術を適用するか、そしてどんな未来を描くかによって全く違うものになって行く。

デザインの新しい定義
 ソニーのウォークマンとアップルのiPodの違い
 機能的にはほとんど変わらないが、iPodは明らかに「描いた絵の大きさ」、「デザイン、それも画期的なクリックホィールによる操作性、iTunesに代表されるソフトウエアとの完全なる融合、デジタル音源の版権処理、それを流通させるためのビジネスモデルなど、全てが一体となったデザインだ。
 これからの未来を変えようと思うのであれば、デザインという言葉の意味を幅広く捉え直し、鍛え上げる必要がある。日本語の「デザイン」は意匠にとどまった意味になりがちだが、英語本来の意味合いに立ち返る時が来ている。
 技術の実装だけで未来を変えることは難しい。単なる技術オタクではダメなのだ。大切なのは、目に見えない特別な価値を生み出せるかどうかだ。素晴らしい世界を描き、領域を超えたものをデザインする力が。これまで以上に重要な時代となった
 この観点からも、習ったことをきっちりやる”マシン”的な人では、新しい価値を生み出しようがないということが分る。
 従来型の喫茶店とスターバックスの違いは何か
 人がいいなと思うことを先んじて感じ、それを自分なりに表現できる人が重要になる。言葉でもえでもいい、両方あるとさらに良い。そういう「目に見えない価値を創造し生み出せる人を育てたり、自分もなれるようにする必要がある。
 新たな価値観(夢)とそれを形にする力(デザイン)が我々の未来の価値を生み出して行くもう一つの力になる

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ホームページリニューアル

大分長らくお待たせいたしました。
ようやくホームページのリニューアルとなりました。
その代わり、今回のホームページは、当社の最新情報が入っており、きっと皆さまのお役に立てることと確信しております。
この数ヶ月間、コロナでどこへも行けず、来るお客様も少なく、頼みの綱のホームページも「工事中」で、心もとない状態だったが、私が唯一手掛ける「高密度圧縮・成型コイル」の営業は、結構ロングランのものが多く、そこへ確実に1件、また1件と増えつつあり、今や開発は手一杯状態だ。
今迄の当社の新規技術は、殆ど開発の室長一人でこなしていたが、ここに来て彼の甥っ子と当社の新社長がその技術を引き継ぎつつあり、体制も整いつつある。
今後は社長が後塵に、その技術を伝授できれば、更に分厚い開発・試作部隊が整ってくるかと思う。
このコロナ禍で変わってきたことと云えば、「渦電流損」の話が、同時多発的に増えた…と云うことだ。それまでは銅損対策で、とにかく占積率を上げることに特化していたのが、急にパラ線、リッツ線、集合線…と云った、太線を分割する巻線技術が求められ、これも占積率を上げる高密度巻線を求められるようになってきたということだ。
そこへ行くと当社は、パラ線巻きの高密度化は、これまでやってきていることだし、リッツ線はIH関係で20年以上前から手掛けており、パナソニックさんの立ち上げ当初は当社が電線会社の下請けで巻いてアッセンブリーしていたことから、様々なノウハウ、技術はその当時から身に付いている。
また撚らなくてよい「集合線」は、これこそ当社の高密度巻線が生きてくるし、更に占積率の問題になれば、圧縮技術も使える。
やはりこういう状態になると、コイルに関しては様々な事をやり続けてきた当社の強みが発揮される。
リッツ線と云えば、無接点充電の関係も当社は強い。
今は、AGV(無人運送車)の関係が多いが、最終的にはやはり車載用となる。
こちらも様々な試作をやりながら技術を集約しつつある。

とにかく、ホームページが復活したことからその辺の技術も紹介しているが、なかなか秘密保持の関係でオープンに出来ない技術も多い。
私は、2025年からと云われる車関係もいいが、もっと足の速い家電とか、産業機械とかの分野でこれらの技術を使い他社との差別化を図って戴きたいと思っている。

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リッツ線、集合線の引き合い

このところ、EV車向けのモーター用コイル中心にリッツ線とか集合線の引き合いが増えている。
渦損対策のようだ。
当社は、これまでコイルの「占積率アップ」を錦の御旗にして技術を蓄積してきたが、ただただ占積率を上げても、特に太線は表紙効果の問題があり、銅損は少なくなるが、渦損が発生し思ったような特性が出ないということのようだ。

当社のリッツ線の歴史は古い。
IH技術を寡占化したパナソニックの前身の量産はセルコが電線会社の下請けとして担当していた。
リッツ線についての特許はパナさんが殆ど抑えていったが、このIHのコイルを巻く技術、リッツ線の取扱技術については、当社は様々なノウハウを持っている。
パナさんは、20年以上前に電線会社が電線が売れれば…ということで、パナさんの技術者を4~5人連れてきて、装置の説明をしたり、写真を撮ったりして帰り、仕事は来なくなったが、その後も様々な会社からロット数は少ないもののIHの仕事はずっと続いてきている。

このIHコイルの製造技術により、当社にはEV時代には欠かせない「無接点充電」の話が、結構舞い込んで来る。
IHコイルにしても、無接点充電にしても、ただ「リッツ線」と云っても、ピンキリであり、撚り方、扱い方はそれなりに工夫が必要で、巻線技術、電線会社とのコラボは不可欠である。

一時、複写機のIH定着装置用のコイルが、各複写機メーカーから次々と受けた時期があったが、この時には、このリッツ線を巻いておいてこれを「曲げる」という技術が必要となった。
これらは試作のみで、終に一社として量産には至らなかった。
理由はパナさんの特許を超えることが出来ないと云うものだった。
 しかし、当社は、これらの様々な試作をこなすことによって、様々なノウハウ、知見を得ることが出来た。

 今、EV化の波で、リッツ線を使った巻線は、正に当社の出番・・・という状態にある。
 また集合線に関しては、当社の丸線で高密度巻線が使える可能性がある。コイルを密に巻いたものを集合線にするという発想だ。
 更にこの集合線の占積率を高めたいというお客様には、コイルの圧縮技術(当社の特許技術)も使えるかも知れない。
 当社は、これまで被膜を損傷せずに電線をいかに圧縮したり成型したり、曲げたりするか・・・という技術を磨いてきた。
 今回の「リッツ線」、「集合線」が必要になってきた時代は、正に「セルコの時代」が訪れた…ということか。

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