セルコの新体制と事業承継

 この度、6月29日の株主総会、取締役会において新体制、新組織が決定した。 これまで役員は私と私の兄と私の妻のみであったが、今回同時に3名を役員とした。  私は社内で5年後の75歳で会長に退き、私の長男靖知(ノブトモ)を社長とすることを発表した。  事業承継は我々のような小さな会社にとっては大変な問題だ。  70歳になる私は、周りからも「もうそろそろ考えろ!」と言われては来たが、なかなか経営内容が思わしくなく、ここまで来てしまったという感がある。  ここのところ、当社もようやく「人並み」の経営状態になって来たため、ここで一気に体制を整え、次の世代が自分達で会社を運営できるような“準備期間”を設けることにしたのである。  今回は「運営本部」を置き、私の長男を取締役運営本部長とし小林本部長(5年後の社長)下で、現状の試作・開発を除く全ての業務を運営するようにした。  また、私を本部長とした「新規顧客開拓本部」の設置により、浅沼取締役常務、櫻井取締役室長による新規顧客開拓の推進に特化するという組織立てとした。  運営本部の主要メンバーは30代後半であるが、会社の殆どの管理運営を自分達で考え、自分達で実行し、自分達で結果責任を取って行く体制。  そして我々は運営本部を横目で見ながら、とにかく5年先、10年先の新規の柱となる注文を確保しようという背水の陣といった体制である。  会社の発展は偏(ひとえ)に従業員一人一人の成長にかかっており、この5月からアチーブメントという会社にお願いし社員全員の自己啓発研修を実施し始めた。  3日間缶詰状態での研修であったが、脱落者も出ずに全員最後まで頑張った。  次は9月と来年1月に研修をする。  そう簡単には意識が変わるものではないが、確実に何かしらの変化が社内に出始め、今後この会社の先行きが楽しみになって来た。  決して安いものではないが私は社員の“学び”の費用は惜しまない。  伸びる人には、遠慮せずに思い切り天井知らずに伸びてもらいたい。個別の研修も含め、会社として全面的に応援している。  また、社員への福祉という面では、タイへの研修旅行を実施しており、既に過半数の社員がタイへ行き、観光と共に当社のメイン機種を製造しているTIT社を見てきている。  また先ほどの研修の後、私は従業員の誕生月に私が招待する「食事会」を実施し、社員とのコミュニケ―ションを図っており、大変良いアイデアだと思っている。  もちろん長男も一緒であり、このような文化を次の時代にも是非受け継いでもらいたいと思っている。

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本当は凄いニッポンの発明力

 日経ビジネス7月4日号に載った特集である。 「世界が欲しがる商品18」として色んな事例が載ってい。   現在世界でもてはやされている製品の多くが、実は“日本発”の技術だったということである。リコール問題で話題となったエアバックも、掃除ロボットも3Dプリンタも日本人が発明したものが、他国で市場の主導権を握られてしまったということである。  掃除ロボットは「もし仏壇のローソクに掃除ロボットがぶつかって火事になったらどうする!?」というリスクを考えて没になったということである。  バブル崩壊以降、大企業の経営者は失敗を恐れ、斬新な商品開発には否定的で、結局開発者は既存商品の改善に明け暮れたことが一因とのこと。  最近では大企業を飛び出し、起業をする人が増えてきているという。  そう言えば、当社にもそのような話が何件か飛び込んできている。  そういった人達が我々のような部品メーカーと組んで新しい製品を造り、うまく流通に乗せられれば、今後の日本の新しい方向性が出てくる可能性がある。  もちろん、これは私がいつも唱える”メイド・イン・ジャパン”で、これが昂じてくれば、日本のモノ造りの凄さで他の国を圧倒できるようになるのではないか?  本日参議院選挙だが、一向に盛り上がらないのは、自民党も民進党も日本の経済の本質を知らないだからだ。  大企業を厚遇すれば官僚の天下り先とか企業献金とかの見返りがあり、直接的な恩恵があるからどうしても大企業を優遇する方向に政治は向いて行くのだろうが、国を維持発展させるためには、日本の99%以上を占める中小零細企業を活性化させるしか方法がない。  現に、業績が多少良くなってきた当社は、今まで我慢していた設備の購入、社員の保険加入、建屋の修理、大分おんぼろになった車の買い替え、生産管理ソフトの導入、PCの買い替え、LED照明への付け替え等々、確実にお金が色んな市場に流れて行っている。  しかし、大企業はただただ不況に備え、内部留保の確保をするだけで今や355兆円もため込んでいるという。  これからはドイツやアメリカのようにベンチャー企業や中小零細企業をどう育成して行くかに焦点を合わせなければ、本当の意味での経済の活性化にはならない。

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中国インフラ輸出難航   ~ 米・欧・アジアでトラブル相次ぐ ~

 本日の日経新聞の記事である。  日本の新幹線のインフラ輸出は中国に、ここ数年でアメリカで負け、タイで負け、殆ど決まっていたインドネシアでは土壇場でひっくり返された。 「メイド・イン・ジャパン」を推奨する私にとっては、それこそ面白くない話であった。  コストは日本の1/2、1/3、短納期で品質は問題なし・・と言うことで受注してきたものが、アチコチでトラブっているとのことだ。  まだ家電製品であれば、「壊れちゃった・・・」で済むかもしれないが、ことインフラ事業となると、ただ安いから・・とか早いから・・では済まされないと思うのだが、なぜか各国は中国へ発注した。  その結果が、案の定ということになった。  私はいつも思う。  日本の・・というよりは日本人の「モノ造り」は間違いないから、もっとじっくりジワジワと世界に浸透させればいい、慌てて中国、東南アジアと価格競争をして日本の信用を落とすより、きちっと日本のモノ造りを踏襲し、間違いのない製品を世界に向けて作り続けることである。  それを証明するようなこの記事であった。  確かにこの戦略は「歩み」が遅いかもしれないが、確実に時間と共に世界に浸透して行くかと思う。  私も何も全て国内だけで造るべしとは言わない。  私の会社も今は、主力はタイと大連であり、日本でのモノ造りは少ない。  しかし、私は敢えて胸を張って言える。 「セルコの製品は”メイド・イン・ジャパン”だ!」と・・・。  我々はタイでも中国でも、日本のモノ造りと同様、それ以上のことをしている。  海外に出て、中には日本と遜色(そんしょく)のないモノ造りをやっている会社も結構あるが、多くのメーカーは海外で、その国のレベルに品質を落としてしまっている。  品質が海外のメーカーと同じで価格が高い、価格が同じでも製造コストが高くつく日本製品は競争力があるわけがない。  だから家電関係は皆撤退するしかない。  本来は日本ブランドを守り、ある一定の水準以下には絶対に品質を落とさない、従って多少高い製品を売っていれば、確かに販売数量は少ないかも知れないが、間違いなく撤退はありえない。  世の中には、多少高くても「良いモノ」が欲しい人が何割かは居り、高くても買う人がいるからだ。  中国観光客の「メイド・イン・ジャパン買い」はその顕著な表われであり、この傾向はタイでもインドでもどこでも同じはずである。  トヨタはモノ造りの姿勢を崩さずに見事、世界一となったが、この姿勢を見習えば良い。私もそんなに詳しくは分からないが、恐らくトヨタは中国でも、品質を落として安売りはしてないと思う。トヨタ車を買った中国人は3年経っても一度も故障してないということを聴いている。  逆に他の日本のメーカーの車は、ひっきりなしに故障するという話を聴くと、「大丈夫かい?」という気がする。  部品は、確かにローカルメーカー製を買えば、1/2以下になるかも知れないが、品質もそれなりなのだ。  ダメな部品の寄せ集めは、結局ダメな製品になる。     短期勝負ではない、これから5年、10年、30年、50年、100年と続けて行くためには、きちっと自分のスタンスを固めてじっくりと“歩”を進めて行く必要がある。  昨今は大企業の不祥事が相次ぎ、中国が日本を見習うのは分かるが、日本が中国を見習っているかのごとき状態を見るとプライドのある日本人として恥ずかしくなる。  ダメなモノは先の中国のインフラ事業のように時間が経てば間違いなくメッキがはがれ、問題が露呈(ろてい)する。日本のモノ造りは、そんなちゃちで貧弱なモノではない。  1万3000年の縄文文化のDNAを持つ我々日本人は、胸を張って堂々と歩んで行くべきだ。

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イチロー選手の快挙と舛添知事の醜態

イチロー選手がピート・ローズの記録を破って、「号外が出たことをご存知ですか?」と記者に聴かれ「他の件(舛添知事辞職)のことは知ってるけど自分のことは知らない」と言っていたが、正に対照的な号外ニュースであった。  イチローは日本とアメリカ合わせての記録であり、別に目標としていたわけでもないので、ただの通過点だと淡々と語っていたが、ピート・ローズの方は往生(おうじょう)際(ぎわ)が悪く、あくまでも楽な(?)日本でのヒット数との合計だから、記録が破られたとは思わないと嘯(うそぶ)いてた。  その辺はどうだろうか?  日本の方が大リーグに比べ1シーズン30数試合少ないというから、逆に不利だったのではないか?という話もあり、ピート・ローズは素直にイチローの快挙を認めるべきではなかったか?  認めないという意味では、舛添さんも最後まで、自分の「セコイ」金の使い方についての釈明がなされないまま、「やめればいいんだろう!」と言わんばかりの辞任であった。  しかし今回の件ではっきりしたことは、使い道は何であれ、領収書さえあれば法的には全く問題がない・・・と言うことである。  今の多くの政治家は、とにかく「選挙」であり、選挙に勝つための「金」である。  そのような法律であれば、どうやって上手く資金を貯めるか?が最大の関心ごとになるのは当たり前のことかと思う。  今回は舛添さんに注目が集まったが、法律には触れないかも知れないが、他の国会議員、都議会議員、県会議員も調べればかなり多くのいろんな領収書が出てくるに相違ない。  安倍首相の外遊費が88億円とのことだが、どうやってそんなお金が使えるのか?と不思議に思う。  私もこのところ会社も多少安定して来ているため、「社長はビジネスに乗るように・・・」といわれるが、根っからの貧乏性で、専(もっぱ)ら1/3の価格の格安チケットを探し求めている。  議員になると、人の金を使い放題使っていい・・と言うことなのか?  ちょっと我々の感覚からは、かなり乖離(かいり)している。

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